多様化する葬儀のスタイル

多様化する葬儀のスタイル

元気なうちからお葬式について考える方が増えています。

葬儀社が開催する会館見学会や終活セミナーは活況を帯びてますよね。

 

さまざまな方が自分たちのお葬式の方法を考えるようになったので、

自然とそのスタイルも多様性を増しています。

 

「小規模」「自分たちらしく」

これがキーワードになっているようですね。

 

葬儀社や業界側は、多様化する葬儀へのニーズを整理しようと、

あらたな需要を発掘しようと、さまざまな「〇〇葬」を提案しています。

ところがこれが少し乱立しすぎて混乱を与えかねない状況になったりもしています。

 

【「一般葬」の定義】

「一般葬」と呼ばれるスタイルがあります。

この呼び方を用いない葬儀社もありますが、「一般葬」と言えば、従来の葬儀のスタイルを指します。

それは、

  • 通夜葬儀の2日間で
  • 仏教寺院に供養していただき
  • 関係先や縁故者にも広く訃報を流して参列していただく

…というようなものです。

このスタンダードな葬儀のスタイルは、

バブルの崩壊や核家族の進行に伴って

縮小化していきました。

 

現在の一般的な葬儀スタイルはまぎれもなく、

「家族葬」でしょう。

 

この「一般葬」のさまざまな側面を差別化していったのが、

これからとりあげる「○○葬」たちです。

それらを1つずつ取り上げてみます。

 

【日程の違い】

□一日葬

通夜葬儀といった従来の2日間の日程を取りやめ、

葬儀と火葬のみを1日で執り行うスタイル。

通夜は、一般会葬者の参列の場という意味合いが強く、

家族葬が普及した昨今では通夜を執り行う必要性がなくなったと

思われる方が多くいるようです。

□火葬式(直葬)

通夜や葬儀といった儀式を執り行わずに火葬だけを執り行うスタイル。

合理性と経済性を突き詰めたものだと言えます。

【会葬規模の違い】

□家族葬

家族だけで葬儀を執り行うスタイル。

親縁(親戚)や、地縁(近隣の方や自治会など)や社縁(勤め先の会社の方々)などの参列を断ります。

とはいえ、その定義も曖昧で、親族までは呼ぶ方、

仲の良かった友人だけは呼ぶ方など

、その範囲はそれぞれのお葬式によって実にさまざまです。

 

【宗教の違い】

□神式葬

神道の葬儀。神社の神職をお招きして執り行う。

 

□キリスト教葬

キリスト教の葬儀。カトリックとプロテスタントによって内容が異なる。

 

□友人葬

創価学会の葬儀

 

□無宗教葬

宗教儀式を排除した葬儀。導師の読経ではなく司会者の進行、

焼香ではなく献花、弔辞ではなくお手紙などが特徴。

 

□音楽葬

無宗教葬の一種。葬儀の最中に音楽の生演奏を取り込んだスタイル。

 

□お別れ会

無宗教葬の一種。宗教性のない、パーティー形式の会。

食事や弔辞などで故人を偲ぶ。

葬儀を親族だけで執り行い、後日関係者向けにホテルなどで

開催されるというスタイルが多く採られる。

 

【主催者の違い】

□社葬・団体葬

遺族ではなく会社などの法人が施主となる葬儀

 

□密葬

誰にも声を掛けずに家族だけで執り行う葬儀スタイル。

個人の社会的影響が大きい場合などに採用され、後日、

本葬やお別れ会を開催することを前提にしている点で、

「家族葬」とは区別される。

 

【その他、様々な葬法】

これらは遺骨の処理をめぐるさまざまな葬法です。

□海洋葬

遺骨を海に撒くスタイル。「散骨」ともよばれています。

 

□樹木葬

石塔ではなく樹木を墓碑として遺骨を埋葬するスタイル。

 

□ゼロ葬

遺骨を火葬場引き取ってもらい持ち帰らない方法。

遺骨はそのまま行政で処分される。

お墓や仏壇も不要だとする、宗教学者の島田裕巳氏が提唱するスタイル。

 

□宇宙葬

宇宙空間に遺骨を撒くスタイル。

多様なニーズに応えようと、様々なスタイルが主張されています。

 

でも、ここまで選択肢が増えてしまうと、

喪主の側が逆に迷ってしまうのではないかという心配も起きてきます。

 

故人の死後の安寧と、遺されたものの心の平穏を願う儀式ですから、

その儀式のスタイルで迷いが起きてしまうというのは、なんとも皮肉にも思われます。

 

メディアの叫ぶことは話半分で聞いておいて、

本当に自分たちのあるべきお葬式のスタイルをご家族みんなで話し合うのが賢明だと、思います。