樹木葬とは?種類やメリット・デメリット、後悔しないために知っておくべきことを解説
お墓の在り方も多様化しており、ご先祖から受け継いだ墓に入る一般墓のほか、永代供養や樹木葬、散骨などさまざまな選択肢があります。「緑に囲まれた墓」や「自然に還る墓」などのイメージから、樹木葬を希望する人も少なくありません。
しかし、樹木葬について正しく理解していなければ、後悔する事態ともなりかねません。そもそも、樹木葬とはどのような墓を指すのでしょうか?また、樹木葬のメリットや注意点は、どのような点にあるのでしょうか?
今回は、さまざまな弔いの方法のうち樹木葬に焦点をあて、種類や注意点などをくわしく解説します。
樹木葬とは
樹木葬とは、樹木をシンボルとしたお墓のことです。
日本には、お墓に関するルールを定めた法律として、「墓地、埋葬等に関する法律(以下、「墓地埋葬法」といいます)」があります。この法律では「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない」旨が規定されています。
また、墓地などを経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければなりません。つまり、たとえ野山に気に入った樹木があったとしても、その樹木の根元に無断で遺骨などを埋めることは法令違反ということです。
樹木葬は、自然界にある気に入った樹木を自由に選んで納骨をするものではありません。樹木葬であっても、一般墓などと同じように、墓地埋葬法による許可を得た事業者が定めた区画に遺骨を埋葬することとなります。
ただし、一般墓での場合その区画内に墓石を設置するところ、樹木葬の場合は墓石の代わりにシンボルとなる樹木などを設置する点が大きな特徴です。
【埋葬場所別】樹木葬の種類
樹木葬には、さまざまな種類があります。「樹木葬」というだけでお墓を決めてしまってから後悔しないよう、樹木葬の種類を把握したうえで、自身が希望する樹木葬はどのタイプであるのか理解しておくとよいでしょう。ここでは、埋葬場所別に樹木葬の種類を解説します。
- 里山型樹木葬
- 都市型樹木葬
里山型樹木葬
1つ目は、里山型樹木葬です。
里山型樹木葬とは、墓地埋葬法による許可を受けた里山(山林)に、遺骨を直接埋葬する樹木葬です。「自然に還る」という点で、多くの人が持つ樹木葬のイメージに近いでしょう。
墓地としての許可を受けた区画に新たに植樹する場合と、もともと野山に自生している樹木を活かす場合があります。里山型樹木葬には広い敷地が必要であり都市部への設置は困難であるため、都心から離れた郊外にあるものがほとんどです。
都市型樹木葬
2つ目は、都市型樹木葬です。
都市型樹木葬とは、一般墓と同じように、墓地の区画内に設置される樹木葬です。墓地全体が樹木葬専用となっているものと、墓地のうち一部の区画が樹木葬専用エリアとなっているものがあります。
樹木葬エリアには埋葬者ごとの樹木が設置される場合もありますが、シンボルツリーの周りに複数人の遺骨が埋葬されるタイプが多いでしょう。
【埋葬方法別】樹木葬の種類
樹木葬は、埋葬方法からの分類も可能です。ここでは、「合祀型」「共同埋葬型」「個別埋葬型」それぞれの概要を解説します。
合祀型
合祀型とは、遺骨を骨壺から取り出し、他者の遺骨とともにシンボルツリーの周囲に埋葬する方法です。
個別のスペースは決まっておらず、一定のスペース内に他者の遺骨とまとめて埋葬されるため、原則として埋葬後に遺骨を取り出すことはできません。身寄りのない方の場合には、このタイプを選択することが多いでしょう。
共同埋葬型
共同埋葬型とは、一つの大きなスペースに、骨壺や布袋に入った状態の遺骨や、遺骨をパウダー状にしたものを入れた専用容器を埋葬する方法です。
不特定の他者と同じスペースに埋葬される場合もあれば、家族ごとなどに区画が決まっている場合もあります。
ただし、埋葬から一定期間が経過すると、合祀スペースへと改葬されることがほとんどです。改葬までの期間は運営者ごとに異なるため、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
個別埋葬型
個別埋葬型とは、一人ずつ区切られた専用の区画に埋葬する方法です。
区画内に、骨壺や布袋に入った遺骨や、遺骨をパウダー状にしたものを入れた専用容器を埋葬します。一般墓のイメージに近いものの、共同埋葬型と同じく、埋葬から一定期間が経過すると合祀スペースへと改葬されるものがほとんどです。
樹木葬の主なメリット
樹木葬を選択することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、一般的なメリットを解説します。
- お墓の維持管理が不要である
- 一般的なお墓より費用が安い傾向にある
- 散骨と比較してお墓参りがしやすい
- 宗派を問わないものが多い
お墓の維持管理が不要である
1つ目は、お墓の維持管理が不要であることです。
樹木葬は永代供養の形をとっているものがほとんどであり、埋葬後はその墓地を経営するお寺などがお墓の管理を担ってくれます。原則として、残されたご家族がお墓の維持管理をする必要はありません。
そのため、お墓の承継者がいない場合や身寄りがない場合であっても、利用しやすいといえます。
一般的なお墓より費用が安い傾向にある
2つ目は、一般的なお墓と比較して、費用が安い傾向にあることです。
樹木葬には原則として、墓石が必要ありません。また、埋葬のための区画も一般墓より小さい傾向にあります。そして、先ほど解説したように、個別埋葬型や共同埋葬型では当初は区画が分かれていても、一定期間の経過後には合祀とされることが多いでしょう。
そのため、一般的な樹木葬では、一般墓よりも費用がかかりにくいといえます。
ただし、樹木葬の形態はさまざまであり、場合によっては一般墓より費用が高くなる可能性もあります。費用が高くなりやすいケースは、後ほど改めて解説します。
散骨と比較してお墓参りがしやすい
3つ目は、散骨と比べてお墓参りがしやすいことです。
樹木葬と並んで近年選択する人が増えつつある弔いの方法として、散骨が挙げられます。散骨とは、海洋や山岳などにパウダー状にした遺骨を撒く供養の方法です。
「自然に還りたい」との意向などから散骨を選択する場合があるものの、散骨の場合は撒いた場所に遺骨が留まるわけではありません。風に乗って飛散したり、海の中を漂って流れたりします。
そのため、遺族がどこに「お墓参り」をすればよいかわからず、戸惑うケースもあるようです。また、散骨をした場所にお墓参りをしようにも、遺族が高齢になれば散骨場所まで船で向かったり、登山をしたりすることが困難となります。その他、海の中に花束などを投下すれば海洋汚染につながるおそれがあるため、献花の量も節度を持って行わなければなりません。
一方で、樹木葬の場合は「埋葬」するため、遺骨がその場所に留まることとなります。この点で、散骨と比較してお墓参りがしやすいといえるでしょう。
宗派を問わないものが多い
4つ目は、宗派を問わず利用できるものが多いことです。
寺院が管理する一般墓では、宗教や宗派が異なる人は埋葬できないことが多いでしょう。埋葬するには、原則としてその寺院の檀家にならなければなりません。
一方、樹木葬は宗教や宗派などを問わずに入れるものがほとんどです。
樹木葬のデメリットと注意点
樹木葬の選択で後悔しないためには、よい面だけを見るのではなく、デメリットも理解しておかなければなりません。ここでは、樹木葬の主なデメリットと注意点を6つ解説します。
- 合祀型の場合は遺骨を取り出せない
- 粉骨が必要となる場合がある
- 親族から反対されることがある
- 必ずしも「安い」とは限らない
- 景観は変化する可能性がある
- 里山型の場合はお墓参りがしづらい可能性がある
合祀型の場合は遺骨を取り出せない
1つ目は、合祀型の場合は後から遺骨を取り出せないことです。
先ほど解説したように、合祀型の樹木葬では遺骨を骨壺から取り出したうえで、他者の遺骨とともに同じスペースへと埋葬されます。そのため、後から遺族が「やはり一般墓へと改葬したい」「転居するので、引っ越し先の近くの墓に改葬したい」などと希望しても、遺骨を取り出すことはできません。
また、当初は共同埋葬や個別埋葬であったとしても、一定期間の経過とともに合祀とされることが多いため注意が必要です。
粉骨が必要となる場合がある
2つ目は、粉骨が必要となる場合があることです。
樹木葬の場合、遺骨をそのまま埋葬することもあれば、粉骨したパウダー状にすべきこともあります。粉骨が必要となるか否かは、その樹木葬の管理者や区画などによって異なります。
そのため、粉骨に抵抗がある場合は、申し込む前に確認しておくとよいでしょう。
親族から反対されることがある
3つ目は、親族から反対される可能性があることです。
樹木葬は、伝統的なお墓の形態とは言えません。また、一般墓と異なり墓石などがないものが多く、お墓参りの対象があいまいとなりがちです。そして、里山型樹木葬は郊外にあるものがほとんどであり、その場所へ出向くことが難しいと感じる人も多いでしょう。
このような理由から、親族などから反対される可能性があります。そのため、亡くなった者に親族がいる場合は、たとえ樹木葬とすることが故人の意向であったとしても、あらかじめ親族によく説明して理解を求めることをおすすめします。また、自身の「終活」として樹木葬を契約する際は、あらかじめ自身で樹木葬を希望する旨を親族に説明しておいてください。
自ら親族に説明をしておかなければ埋葬などを依頼した遺族と樹木葬に反対する他の親族との間に確執が生じるおそれがあるほか、親族の意向で一般墓に埋葬される可能性もあります。
必ずしも「安い」とは限らない
4つ目は、樹木葬であるからといって、必ずしも安いとは限らないことです。
先ほど解説したように、一般的な樹木葬では、一般墓よりも費用を抑えられることが多いでしょう。ただし、樹木葬の形態はさまざまであり、次の場合などにはかえって費用が高くなる可能性があります。
- 一人用の埋葬スペースが広い場合
- 凝った意匠の銘板や特殊な樹木を設置する場合など、こだわりを反映した場合
- 合祀へと改葬される期間が長い場合や、合祀としない場合
また、埋葬する人数が多い場合は人数分だけ費用が掛かるため、結果的に一般墓より高くなる可能性もあります。そのため、費用を理由に樹木葬を選ぶのであれば、「樹木葬だから安い」と思い込むのではなく、詳細な見積もりをとったうえで検討することをおすすめします。
景観は変化する可能性がある
5つ目は、景観が変化する可能性があることです。
樹木は季節によって葉を落とすなど、墓石などと比較して景観の変化が大きいものです。特に、冬になると葉を落とす落葉樹は季節を感じやすい反面、冬場の景観が寒々としたものとなる可能性もあるでしょう。
特に、里山型の場合は「自然に還る」との意味合いが強い反面、年月の経過とともに景観が大きく変わりやすいといえます。また、積極的に樹木葬の申し込みを受け付ける時期には樹木をきれいに剪定(せんてい)していても、運営者の状況などにより、その後管理が不十分となり景観が変わる可能性も否定できません。
そのため、樹木葬を選択する際は、年月の経過により景観が変化する可能性を考慮に入れる必要があります。また、必要に応じて運営者が信頼できるか否かなども確認しておく必要があるでしょう。
里山型の場合はお墓参りがしづらい可能性がある
6つ目は、里山型樹木葬の場合は、お墓参りがしづらい可能性があることです。
先ほど解説したように、里山型樹木層は広いスペースが必要であるため、都心に設置することは困難です。そのため、里山型樹木葬は広い敷地を確保しやすい郊外に設けられていることが多いでしょう。
郊外にある樹木葬の多くは公共交通機関だけでは出向けず、車での移動が必要な場所に設置されています。また、車を降りてから埋葬場所まで、広大な敷地を歩いて向かうべきことも珍しくありません。
このような理由から、お墓参りがしづらい点を理解しておく必要があります。
樹木葬の場合における埋葬までの流れ
樹木葬の場合、亡くなってから埋葬まではどのような流れとなるのでしょうか?最後に、樹木葬の一般的な流れを解説します。
- 役所に死亡届を提出して火葬許可証を受け取る
- 葬儀をして火葬する
- 樹木葬の管理者と契約を締結する
- 樹木葬の管理者に埋葬許可証を提出する
役所に死亡届を提出して火葬許可証を受け取る
故人が死亡したら、まず役所に死亡届を提出します。死亡届の提出先は、次のいずれかを管轄する市区町村役場です。
- 死亡地
- 故人の本籍地
- 届出人の所在地
死亡届を提出すると、役所から火葬許可証が発行されます。
参照元:死亡届(法務省)
葬儀をして火葬する
次に、葬儀を行い火葬します。
葬儀でお困りの際は、家族葬のアイリスへお問い合わせください。家族葬のアイリスは全国での葬儀に対応しており、お問い合わせは24時間365日受付中です。また、ご危篤の際やお亡くなりの際には、深夜や早朝であっても1時間以内にご訪問致します。
火葬を行うと、火葬許可証に火葬済の印が押され、埋葬許可証へと変わります。この埋葬許可証は埋葬時に必要となるため、大切に保管してください。
樹木葬の管理者と契約を締結する
次に、希望する樹木葬を探し、契約を締結します。埋葬後に後悔しないよう、複数の墓地を見学したうえで決めることをおすすめします。
なお、故人が樹木葬を希望していた場合、生前に契約が済ませてあることも少なくありません。契約書を探したり、故人から聞いていた情報をもとに契約がないか管理者に問い合わせたりして確認するとよいでしょう。
樹木葬の管理者に埋葬許可証を提出する
契約を締結したら、樹木葬の管理者に埋葬許可証を提出して埋葬を行います。具体的な埋葬の段取りやスケジュールについては、その樹木葬の管理者へご確認ください。
まとめ
樹木葬の種類やメリット、注意点などについて解説しました。
埋葬の形は多様化しており、樹木葬を選択する人も増えています。樹木葬では原則としてお墓の管理が不要であるうえ、一般墓と比較して安価な傾向にある点などがメリットです。
ただし、プランやこだわりの内容によっては一般墓より高くなる場合もあるほか、お墓参りがしづらいこと、親族から反対意見が出る可能性があることなどに注意しなければなりません。
また、一口に「樹木葬」といっても、合祀型や個別埋葬型などさまざまな種類があります。そのため、「樹木葬」というだけで選ぶのではなく、具体的なプランや料金を確認したうえで選択する必要があるでしょう。
家族葬のアイリスは全国で葬儀場のネットワークを構築しており、低価格ながら通常の葬儀と変わらずしっかりとしたお見送りを実現しています。お身内が亡くなられてお困りの際などには、家族葬のアイリスまでお気軽にご相談ください。
24時間365日スタッフが常駐しているため、深夜や早朝であってもお問い合わせいただけます。また、ご危篤の際やお亡くなりの際は、対象地域に限り1時間以内にご訪問致します。
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