お葬式で遺族にかける「お悔やみの言葉」の伝え方は?例文・注意点・マナーを解説
お葬式に参列する際は、ご遺族にお悔やみの言葉をかけることが一般的です。しかし、お悔やみの言葉の表現を誤れば、ご遺族を傷つけてしまうかもしれません。そのため、お葬式への参列経験が少ない場合などには、何をどのように伝えればよいかわからず不安に感じてしまうことでしょう。
では、お葬式でのお悔やみの言葉は、どのように伝えればよいのでしょうか?また、お悔やみの言葉を伝える際は、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?今回は、お葬式や訃報に接した際のお悔やみの言葉の基本や注意点を解説するとともに、お悔やみの言葉の具体例も紹介します。
お葬式でお悔やみの言葉をかけるタイミング
お葬式に参列した際、お悔やみの言葉はいつ伝えればよいのでしょうか?はじめに、お葬式でお悔やみの言葉をかけるタイミングを紹介します。
- 受付をするとき
- 喪主や遺族と挨拶をするとき
受付をするとき
お葬式に参列する際、まずは受付でお悔やみの言葉を述べるとよいでしょう。社葬などの場合を除き、受付をしているのは故人のご遺族など近親者であることが多いためです。
喪主や遺族と挨拶をするとき
お葬式の会場に到着すると、受付の前後に喪主やご遺族などから「本日はお忙しい中故人のためにご会葬くださり、ありがとうございます」など、参列のお礼を告げられることがあります。この際に、お悔やみの言葉を述べるとよいでしょう。
お葬式で伝える代表的なお悔やみの言葉
お葬式では、ある程度定型的なお悔やみの言葉があります。代表的なお悔やみの言葉、3つ紹介します。
- お悔やみ申し上げます
- ご愁傷様です
- 残念でなりません
「お悔やみ申し上げます」
「お悔やみ申し上げます」は、ある程度汎用的に使用できるお悔みの言葉です。故人の死を悼み、弔いを伝える言葉であり、口頭で使用するほか文章で使用することもできます。
「ご愁傷様です」
「ご愁傷様です」は相手の心の傷を憂う表現であり、口頭でのみ使用できるお悔やみの言葉です。
なお、日常の場面で相手の失敗を揶揄する意味合いでこの言葉が使用されることもあるようですが、本来は揶揄する意味合いなどはありません。
「残念でなりません」
「残念でなりません」も、お悔やみの言葉としてよく使用される表現です。「お悔やみ申し上げます」など、他の表現と組み合わせて伝えることが多いでしょう。
(参考)口頭ではあまり使わないお悔やみの言葉
「哀悼の意を表します」という表現も、お悔やみの言葉です。しかし、これは文章で使用されることが多く、口頭ではあまり使用しません。
お葬式でお悔やみの言葉を伝える際の注意点
お葬式でお悔やみの言葉を伝える際は、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?注意点を知らなければ、たとえ悪気がなかったとしてもご遺族を傷つけてしまうかもしれません。ここでは、主な注意点を6つ解説します。
- 宗教ごとに異なる表現に注意する
- 忌み言葉を使わない
- 長々と話し込まない
- 死をプラスに捉える表現を避ける
- ご遺族を無理に元気づけようとしない
- 亡くなった原因を尋ねない
宗教ごとに異なる表現に注意する
1つ目は、宗教ごとに異なる表現に注意することです。
弔事の場面でよく使用される「ご冥福」や「供養」、「成仏」は、実は仏教独自の用語です。キリスト教式や神式の場合には、このような表現は使いません。
先ほど紹介した「お悔やみ申し上げます」や「残念でなりません」、「ご愁傷様です」といった言葉は、宗教を問わずに使用できる表現です。不安がある場合には無理に難しい言葉を使おうとせず、簡潔な表現に留めるとよいでしょう。
忌み言葉を使わない
2つ目は、忌み言葉を使わないことです。
忌み言葉とは、そのシーンにおいて縁起が悪いとして、避けるべきとされる表現です。お葬式では次の表現が忌み言葉とされるため、お悔やみの言葉を述べる際に使わないよう注意しましょう。
忌み言葉 | 具体的な言葉の例 |
不幸が繰り返されることを連想させる言葉 | 続けて、続いて、追って、繰り返し、重ねて |
重ね言葉(不幸が繰り返されることを連想させるため) | 重々、続々、重ね重ね、追々、次々 |
生死を直接的に表す言葉 | 死んだ、死ぬ、生きていた頃 |
また、仏式の場合はこれらのほか、「迷う」や「浮かばれない」も避けるべきとされています。なぜなら、これらは極楽浄土に辿りつけず成仏できないことを連想させるためです。
長々と話し込まない
3つ目は、長々と話し込まないことです。
お葬式の際、喪主や遺族は限られた時間の中で多くの参列者に挨拶をしなければならず、非常に多忙です。また、お葬式の前後は睡眠時間も不規則となりやすく、非常に疲れていることも多いでしょう。
そのため、お悔やみの言葉を述べる際に長々と話し込むことは避けるべきです。また、故人と関係のない話は避けましょう。たとえ親しい友人や仕事について伝えたいことがある場合などであっても、その場は簡潔な挨拶に留めることをおすすめします。
死をプラスに捉える表現を避ける
4つ目は、死をプラスに捉える表現を避けることです。
たとえば故人が非常に長生きであった場合、「大往生でしたね」や「天寿を全うされましたね」などと言いたくなるかもしれません。しかし、ご遺族は大切な家族を亡くした悲しみの最中にあり、たとえ長生きであったとしても「もっと長く生きてほしかった」と考えているかもしれません。
そのため、このような表現はご遺族を深く傷つけるおそれがあります。「大往生でした」や「天寿を全うしました」と言ってよいのは、遺族側だけであると心得ておきましょう。遺族以外がこのような言葉を告げるのは、マナー違反です。
同様に、故人が長く闘病していた場合にはご遺族が大変な思いをしていることが多いため、良かれと考えて「やっと介護から解放されましたね」「ようやく自由になりましたね」などと言いたくなることもあるかもしれません。しかし、このような表現は「亡くなってよかったですね」という意味に捉えられかねず、避けるべきでしょう。
ご遺族を無理に元気づけようとしない
5つ目は、ご遺族を無理に元気づけようとしないことです。
ご遺族が悲しみに暮れている場合、慰めようとするあまり「元気を出してくださいね」「頑張ってくださいね」などと言いたくなるかもしれません。しかし、近親者を亡くしたばかりのご遺族は悲しみのさなかにあり、前を向くには時間を要します。無理に元気づけようとすれば、むしろ悲しみを深くしてしまうかもしれません。
亡くなった原因を尋ねない
6つ目は、亡くなった原因を尋ねないことです。
ご遺族自らが告げない限り、参列者側から亡くなった原因を聞くことは避けた方がよいでしょう。このような質問をすれば不躾であると思われるばかりか、ご遺族を困らせてしまうかもしれません。
なお、お葬式では出棺時に喪主による挨拶があることが一般的であり、ご遺族が告げて構わないと考えている死因であれば、この挨拶の中で伝えられることが多いといえます。つまり、亡くなった原因を知りたければ、このタイミングで知ることができるということです。
一方で、自死や不慮の事故などご遺族が死因を告げたくないと考えている場合には、喪主挨拶の場面でも死因は明言されません。いずれにしてもご遺族の心情に配慮し、無理に死因を知ろうとしないのがマナーです。
【ケース別】お葬式でご遺族にかけるお悔やみの言葉の具体例
お葬式でご遺族にかけるお悔やみの言葉の例を、ケース別に紹介します。
一般的なお悔やみの言葉の例
一般的なお悔やみの言葉の例は、次のとおりです。
- 「突然のことで、言葉もありません。心よりお悔やみ申し上げます。」
- 「このたびは突然のことで、言葉もございません。ご回復を祈っておりましたのに、本当に残念でなりません。」
- 「このたびは、ご愁傷様でした。ご遺族の皆様がたのお気持ちを思うと、言葉もありません。」
- 「このたびは誠に残念なことで、心よりお悔やみ申し上げます。」
お悔やみの言葉は流暢である必要はありません。無理にうまく伝えようとせず、心を込めてお伝えしましょう。
配偶者を亡くした方にかけるお悔やみの言葉の例
配偶者(夫や妻)を亡くした方にかけるお悔やみの言葉の例は、次のとおりです。
- 「このたびは、ご愁傷様でございました。長年連れ添われた奥様(ご主人)とのお別れ、どんなにかお辛いことかと思うと、言葉もございません。心よりお悔やみ申し上げます。」
- 「突然の訃報で、奥様(旦那様)の悲しみを思うと言葉もございません。心よりお悔やみ申し上げます。」
子どもを亡くした方にかけるお悔やみの言葉の例
子どもを亡くした方にかけるお悔やみの言葉の例は、次のとおりです。
- 「このたびは突然のことで、お父様(お母さま)の悲しみを思うと言葉もございません。心より、お悔やみ申し上げます。」
- 「先日元気なお姿を拝見したばかりでしたのに、このたびは誠に残念なことで。心よりお悔やみ申し上げます。」
お葬式に参列せず、メールでお悔やみの言葉を伝える場合の例文
訃報に接したものの、家族葬であるなどの理由からお葬式に参列できない場合もあるでしょう。そのような際、相手との関係性によっては、メールでお悔やみの言葉を伝えることがあります。ここでは、相手方のお父様が亡くなった前提で、メールで伝えるお悔やみの言葉の例をケース別に解説します。
なお、メールでお悔やみの言葉を伝える場合、件名は「お悔やみ申し上げます」などメールを開かなくても内容がわかるものにするとよいでしょう。
友人宛のメールの例
友人宛のお悔やみメールの例文は、次のとおりです。
==========
突然の訃報に接し、心からお悔やみ申し上げます。
〇〇さんの悲しみを思うと、胸が締め付けられる思いです。
無理をしていないか、心配です。
このメールへの返信は不要ですが、何かできることがあればご連絡くださいね。
==========
==========
お父様のご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。
突然のことで、驚いています。
大変かと思いますが、どうかあまり無理をせず、心身にお気を付けくださいね。
何か役に立てることがあれば、気軽にご連絡ください。
このメールの返信は不要です。
==========
お葬式の前後はとても忙しく、ご友人も疲れていることと思います。そのため、お悔やみの言葉を伝えるとともに、友人自身の心身を気遣うとよいでしょう。
同僚宛のメールの例
同僚宛のメールの例文は、次のとおりです。
==========
ご尊父様のご逝去に接し、心よりお悔やみ申し上げます。
突然のことで無理をしているのではないかと、心配しております。
こちらはチーム全体でフォローしていますので、仕事のことは気にせず、どうか落ち着くまでご家族との時間を過ごしてくださいね。
何か手伝えることがあれば、遠慮なく連絡してください。
大変な時期かと思いますので、ご返信には及びません。
==========
同僚にお悔やみを伝えるメールを送る際は、仕事の心配は不要であることを伝えるとよいでしょう。
上司宛のメールの例
上司に送るメールの例文は、次のとおりです。
==========
ご尊父様のご逝去を悼み、心よりお悔やみ申し上げます。
本来であれば弔問に伺うべきところ、略儀ながらメールにて失礼いたします。
ご多用中かと存じますので、ご返信には及びません。
何かお手伝いできることがございましたら、ご連絡くださいませ。
ご尊父様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
==========
なお、「ご尊父様」とは「お父様」をより敬って伝える表現です。お母様であれば、「ご母堂様」と記載します。
取引先宛のメールの例
取引先宛のメールの例文は、次のとおりです。
==========
ご尊父様ご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。
しばらくはお取り込み中かと存じますので、甚だ略儀ながらメールにて失礼いたします。
心身共に大変な時かと存じますが、どうかご無理をなさりませぬようご自愛のほどお願い申し上げます。
心より、哀悼の意を表します。
なお、ご返信には及びません。
==========
丁寧な表現で、哀悼の意を表しましょう。
お葬式に参列せず、手紙でお悔やみの言葉を伝える場合の例文
訃報に接し、手紙でお悔やみの言葉を伝える場合もあります。ここでは、相手方のお父様が亡くなった前提で、手紙の例を紹介します。
==========
ご尊父様の訃報を受け 〇〇様のご心痛はいかばかりかとお察し申し上げますとともに 心よりお悔やみ申し上げます
かねてよりご療養中と聞き及んでいたとはいえ大変思いがけないことで あまりのことに言葉を失っております
本来であればすぐにでもお伺いしたいところではございますが やむを得ない事情ですぐに参上できず申し訳ございません
ご家族の皆様にはさぞご心痛かと存じます
どうかお力を落とされませんよう ご自愛のほどお願い申し上げます
ご尊父様の旅立ちが安らかなものでありますよう 略儀ながら暑中にてお悔やみ申し上げます
==========
手紙でお悔やみの言葉を伝える際は、原則として句読点を使用せず縦書きで作成しましょう。内容は、お悔やみの言葉を伝えるとともに、相手の心身を慮る内容とするのが基本です。
お葬式に参列する際のその他の注意点
最後に、お葬式に参列する際に知っておくべきその他の注意点をまとめて解説します。お葬式に相応しい振る舞いを心がけ、マナー違反のないよう注意しましょう。
- 適切な服装で参列する
- 宗教・宗派を確認しておく
- 会食があっても長居しない
適切な服装で参列する
お葬式には、適切な服装で参列しましょう。基本の服装は、それぞれ次のとおりです。
男性
男性は、光沢のない黒のスーツを着用するのが基本です。ネクタイや靴、ベルト、靴下も黒で統一しましょう。また、ハンカチは白か黒のものを、しわを伸ばした状態で持参します。
なお、通夜当日に報せを受けた場合など急な場合には、お通夜は黒やグレー、紺などの地味な色合いの平服でも構いません。
女性
女性は、黒のワンピースやセットアップ、スーツなどを着用します。スカートでもパンツでも問題ありませんが、ひざより短いスカートや胸元の開いた服装は避けるべきとされています。また、スカートの場合には黒色のストッキングを着用しましょう。
靴やバッグ、髪が長い場合にまとめる髪留めなども、黒で統一します。なお、一連パールのシンプルなネックレスや結婚指輪はつけても構いません。
子ども
子どもが高校生までであり制服がある場合には、制服での参列が基本です。
制服の色が白など明るい色であっても、制服が正装であるため問題ありません。ただし、スカートを極端に短くすることなどは避け、校則に合った着こなしをするのが基本です。
制服がない場合には、男女とも白色のブラウスに、黒や紺など地味な色合いのパンツやスカートを合わせます。
宗教・宗派を確認しておく
お葬式に参列する際は、宗教や宗派をあらかじめ確認しておきましょう。宗教や宗派の情報は、葬儀の案内などに記載されていることが一般的です。また、口頭で葬儀の案内を受けた際にも、確認しておくとよいでしょう。
宗教や宗派や用意する香典の表書きや、お悔やみの言葉の表現などに影響します。
たとえば、香典の表書きは仏式であれば「御香典」や「御香料」です。「御霊前」でもよい場合もあるものの、浄土真宗などでは仏式でも「御霊前」は使わず、「御仏前」となります。一方で、神式の場合の表書きは「御神前」や「御玉串料」などです。
また、先ほど解説したとおり、「ご冥福」や「供養」などの表現は仏教の場合にのみ使用でき、神式やキリスト教式などの場合には使いません。
会食があっても長居しない
お葬式の後の会食は一部の近親者のみで行われる一方で、お通夜の後には参列者全員に食事が振る舞われることがあります。この食事を「通夜振る舞い」といいます。
通夜振る舞いは遺族が参列者にお礼を伝えるとの意味合いのほか、故人との最期の食事との意味合いもあります。アルコールが出されることもあるものの、趣旨を理解し、長居しないよう注意しましょう。また、故人とは関係のない内容で話し込むことなども御法度です。
まとめ
お葬式で遺族にかけるお悔やみの言葉や、お葬式に参列しない場合に送るメールや手紙の例を紹介するとともに、お悔やみの言葉をかける際の注意点などを解説しました。
お葬式で遺族にかけるお悔やみの言葉の代表例は、「お悔やみ申し上げます」や「ご愁傷様です」「残念でなりません」などが基本です。流暢である必要はないため、心を込めて伝えるとよいでしょう。
また、お悔やみの言葉をかける際は忌み言葉や宗教ごとに異なる表現に注意すべきほか、死因を尋ねたり死をプラスに捉えるような発言をしたりしないよう注意しなければなりません。悲しみのさなかにいるご遺族をさらに悲しませることがないよう、避けるべき表現を知っておくとよいでしょう。
家族葬のアイリスでは全国対応で葬儀のトータルサポートを行っており、ご逝去のご連絡をいただいた際はすぐに駆け付けてサポートを開始いたします。ご家族が亡くなってお困りの際などには、家族葬のアイリスまでお気軽にご連絡ください。お電話は、24時間365日お受けしています。お葬式に参列する際は、ご遺族にお悔やみの言葉をかけることが一般的です。しかし、お悔やみの言葉の表現を誤れば、ご遺族を傷つけてしまうかもしれません。そのため、お葬式への参列経験が少ない場合などには、何をどのように伝えればよいかわからず不安に感じてしまうことでしょう。
では、お葬式でのお悔やみの言葉は、どのように伝えればよいのでしょうか?また、お悔やみの言葉を伝える際は、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?今回は、お葬式や訃報に接した際のお悔やみの言葉の基本や注意点を解説するとともに、お悔やみの言葉の具体例も紹介します。
お葬式でお悔やみの言葉をかけるタイミング
お葬式に参列した際、お悔やみの言葉はいつ伝えればよいのでしょうか?はじめに、お葬式でお悔やみの言葉をかけるタイミングを紹介します。
- 受付をするとき
- 喪主や遺族と挨拶をするとき
受付をするとき
お葬式に参列する際、まずは受付でお悔やみの言葉を述べるとよいでしょう。社葬などの場合を除き、受付をしているのは故人のご遺族など近親者であることが多いためです。
喪主や遺族と挨拶をするとき
お葬式の会場に到着すると、受付の前後に喪主やご遺族などから「本日はお忙しい中故人のためにご会葬くださり、ありがとうございます」など、参列のお礼を告げられることがあります。この際に、お悔やみの言葉を述べるとよいでしょう。
お葬式で伝える代表的なお悔やみの言葉
お葬式では、ある程度定型的なお悔やみの言葉があります。代表的なお悔やみの言葉、3つ紹介します。
- お悔やみ申し上げます
- ご愁傷様です
- 残念でなりません
「お悔やみ申し上げます」
「お悔やみ申し上げます」は、ある程度汎用的に使用できるお悔みの言葉です。故人の死を悼み、弔いを伝える言葉であり、口頭で使用するほか文章で使用することもできます。
「ご愁傷様です」
「ご愁傷様です」は相手の心の傷を憂う表現であり、口頭でのみ使用できるお悔やみの言葉です。
なお、日常の場面で相手の失敗を揶揄する意味合いでこの言葉が使用されることもあるようですが、本来は揶揄する意味合いなどはありません。
「残念でなりません」
「残念でなりません」も、お悔やみの言葉としてよく使用される表現です。「お悔やみ申し上げます」など、他の表現と組み合わせて伝えることが多いでしょう。
(参考)口頭ではあまり使わないお悔やみの言葉
「哀悼の意を表します」という表現も、お悔やみの言葉です。しかし、これは文章で使用されることが多く、口頭ではあまり使用しません。
お葬式でお悔やみの言葉を伝える際の注意点
お葬式でお悔やみの言葉を伝える際は、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?注意点を知らなければ、たとえ悪気がなかったとしてもご遺族を傷つけてしまうかもしれません。ここでは、主な注意点を6つ解説します。
- 宗教ごとに異なる表現に注意する
- 忌み言葉を使わない
- 長々と話し込まない
- 死をプラスに捉える表現を避ける
- ご遺族を無理に元気づけようとしない
- 亡くなった原因を尋ねない
宗教ごとに異なる表現に注意する
1つ目は、宗教ごとに異なる表現に注意することです。
弔事の場面でよく使用される「ご冥福」や「供養」、「成仏」は、実は仏教独自の用語です。キリスト教式や神式の場合には、このような表現は使いません。
先ほど紹介した「お悔やみ申し上げます」や「残念でなりません」、「ご愁傷様です」といった言葉は、宗教を問わずに使用できる表現です。不安がある場合には無理に難しい言葉を使おうとせず、簡潔な表現に留めるとよいでしょう。
忌み言葉を使わない
2つ目は、忌み言葉を使わないことです。
忌み言葉とは、そのシーンにおいて縁起が悪いとして、避けるべきとされる表現です。お葬式では次の表現が忌み言葉とされるため、お悔やみの言葉を述べる際に使わないよう注意しましょう。
忌み言葉 | 具体的な言葉の例 |
不幸が繰り返されることを連想させる言葉 | 続けて、続いて、追って、繰り返し、重ねて |
重ね言葉(不幸が繰り返されることを連想させるため) | 重々、続々、重ね重ね、追々、次々 |
生死を直接的に表す言葉 | 死んだ、死ぬ、生きていた頃 |
また、仏式の場合はこれらのほか、「迷う」や「浮かばれない」も避けるべきとされています。なぜなら、これらは極楽浄土に辿りつけず成仏できないことを連想させるためです。
長々と話し込まない
3つ目は、長々と話し込まないことです。
お葬式の際、喪主や遺族は限られた時間の中で多くの参列者に挨拶をしなければならず、非常に多忙です。また、お葬式の前後は睡眠時間も不規則となりやすく、非常に疲れていることも多いでしょう。
そのため、お悔やみの言葉を述べる際に長々と話し込むことは避けるべきです。また、故人と関係のない話は避けましょう。たとえ親しい友人や仕事について伝えたいことがある場合などであっても、その場は簡潔な挨拶に留めることをおすすめします。
死をプラスに捉える表現を避ける
4つ目は、死をプラスに捉える表現を避けることです。
たとえば故人が非常に長生きであった場合、「大往生でしたね」や「天寿を全うされましたね」などと言いたくなるかもしれません。しかし、ご遺族は大切な家族を亡くした悲しみの最中にあり、たとえ長生きであったとしても「もっと長く生きてほしかった」と考えているかもしれません。
そのため、このような表現はご遺族を深く傷つけるおそれがあります。「大往生でした」や「天寿を全うしました」と言ってよいのは、遺族側だけであると心得ておきましょう。遺族以外がこのような言葉を告げるのは、マナー違反です。
同様に、故人が長く闘病していた場合にはご遺族が大変な思いをしていることが多いため、良かれと考えて「やっと介護から解放されましたね」「ようやく自由になりましたね」などと言いたくなることもあるかもしれません。しかし、このような表現は「亡くなってよかったですね」という意味に捉えられかねず、避けるべきでしょう。
ご遺族を無理に元気づけようとしない
5つ目は、ご遺族を無理に元気づけようとしないことです。
ご遺族が悲しみに暮れている場合、慰めようとするあまり「元気を出してくださいね」「頑張ってくださいね」などと言いたくなるかもしれません。しかし、近親者を亡くしたばかりのご遺族は悲しみのさなかにあり、前を向くには時間を要します。無理に元気づけようとすれば、むしろ悲しみを深くしてしまうかもしれません。
亡くなった原因を尋ねない
6つ目は、亡くなった原因を尋ねないことです。
ご遺族自らが告げない限り、参列者側から亡くなった原因を聞くことは避けた方がよいでしょう。このような質問をすれば不躾であると思われるばかりか、ご遺族を困らせてしまうかもしれません。
なお、お葬式では出棺時に喪主による挨拶があることが一般的であり、ご遺族が告げて構わないと考えている死因であれば、この挨拶の中で伝えられることが多いといえます。つまり、亡くなった原因を知りたければ、このタイミングで知ることができるということです。
一方で、自死や不慮の事故などご遺族が死因を告げたくないと考えている場合には、喪主挨拶の場面でも死因は明言されません。いずれにしてもご遺族の心情に配慮し、無理に死因を知ろうとしないのがマナーです。
【ケース別】お葬式でご遺族にかけるお悔やみの言葉の具体例
お葬式でご遺族にかけるお悔やみの言葉の例を、ケース別に紹介します。
一般的なお悔やみの言葉の例
一般的なお悔やみの言葉の例は、次のとおりです。
- 「突然のことで、言葉もありません。心よりお悔やみ申し上げます。」
- 「このたびは突然のことで、言葉もございません。ご回復を祈っておりましたのに、本当に残念でなりません。」
- 「このたびは、ご愁傷様でした。ご遺族の皆様がたのお気持ちを思うと、言葉もありません。」
- 「このたびは誠に残念なことで、心よりお悔やみ申し上げます。」
お悔やみの言葉は流暢である必要はありません。無理にうまく伝えようとせず、心を込めてお伝えしましょう。
配偶者を亡くした方にかけるお悔やみの言葉の例
配偶者(夫や妻)を亡くした方にかけるお悔やみの言葉の例は、次のとおりです。
- 「このたびは、ご愁傷様でございました。長年連れ添われた奥様(ご主人)とのお別れ、どんなにかお辛いことかと思うと、言葉もございません。心よりお悔やみ申し上げます。」
- 「突然の訃報で、奥様(旦那様)の悲しみを思うと言葉もございません。心よりお悔やみ申し上げます。」
子どもを亡くした方にかけるお悔やみの言葉の例
子どもを亡くした方にかけるお悔やみの言葉の例は、次のとおりです。
- 「このたびは突然のことで、お父様(お母さま)の悲しみを思うと言葉もございません。心より、お悔やみ申し上げます。」
- 「先日元気なお姿を拝見したばかりでしたのに、このたびは誠に残念なことで。心よりお悔やみ申し上げます。」
お葬式に参列せず、メールでお悔やみの言葉を伝える場合の例文
訃報に接したものの、家族葬であるなどの理由からお葬式に参列できない場合もあるでしょう。そのような際、相手との関係性によっては、メールでお悔やみの言葉を伝えることがあります。ここでは、相手方のお父様が亡くなった前提で、メールで伝えるお悔やみの言葉の例をケース別に解説します。
なお、メールでお悔やみの言葉を伝える場合、件名は「お悔やみ申し上げます」などメールを開かなくても内容がわかるものにするとよいでしょう。
友人宛のメールの例
友人宛のお悔やみメールの例文は、次のとおりです。
==========
突然の訃報に接し、心からお悔やみ申し上げます。
〇〇さんの悲しみを思うと、胸が締め付けられる思いです。
無理をしていないか、心配です。
このメールへの返信は不要ですが、何かできることがあればご連絡くださいね。
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お父様のご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。
突然のことで、驚いています。
大変かと思いますが、どうかあまり無理をせず、心身にお気を付けくださいね。
何か役に立てることがあれば、気軽にご連絡ください。
このメールの返信は不要です。
==========
お葬式の前後はとても忙しく、ご友人も疲れていることと思います。そのため、お悔やみの言葉を伝えるとともに、友人自身の心身を気遣うとよいでしょう。
同僚宛のメールの例
同僚宛のメールの例文は、次のとおりです。
==========
ご尊父様のご逝去に接し、心よりお悔やみ申し上げます。
突然のことで無理をしているのではないかと、心配しております。
こちらはチーム全体でフォローしていますので、仕事のことは気にせず、どうか落ち着くまでご家族との時間を過ごしてくださいね。
何か手伝えることがあれば、遠慮なく連絡してください。
大変な時期かと思いますので、ご返信には及びません。
==========
同僚にお悔やみを伝えるメールを送る際は、仕事の心配は不要であることを伝えるとよいでしょう。
上司宛のメールの例
上司に送るメールの例文は、次のとおりです。
==========
ご尊父様のご逝去を悼み、心よりお悔やみ申し上げます。
本来であれば弔問に伺うべきところ、略儀ながらメールにて失礼いたします。
ご多用中かと存じますので、ご返信には及びません。
何かお手伝いできることがございましたら、ご連絡くださいませ。
ご尊父様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
==========
なお、「ご尊父様」とは「お父様」をより敬って伝える表現です。お母様であれば、「ご母堂様」と記載します。
取引先宛のメールの例
取引先宛のメールの例文は、次のとおりです。
==========
ご尊父様ご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。
しばらくはお取り込み中かと存じますので、甚だ略儀ながらメールにて失礼いたします。
心身共に大変な時かと存じますが、どうかご無理をなさりませぬようご自愛のほどお願い申し上げます。
心より、哀悼の意を表します。
なお、ご返信には及びません。
==========
丁寧な表現で、哀悼の意を表しましょう。
お葬式に参列せず、手紙でお悔やみの言葉を伝える場合の例文
訃報に接し、手紙でお悔やみの言葉を伝える場合もあります。ここでは、相手方のお父様が亡くなった前提で、手紙の例を紹介します。
==========
ご尊父様の訃報を受け 〇〇様のご心痛はいかばかりかとお察し申し上げますとともに 心よりお悔やみ申し上げます
かねてよりご療養中と聞き及んでいたとはいえ大変思いがけないことで あまりのことに言葉を失っております
本来であればすぐにでもお伺いしたいところではございますが やむを得ない事情ですぐに参上できず申し訳ございません
ご家族の皆様にはさぞご心痛かと存じます
どうかお力を落とされませんよう ご自愛のほどお願い申し上げます
ご尊父様の旅立ちが安らかなものでありますよう 略儀ながら暑中にてお悔やみ申し上げます
==========
手紙でお悔やみの言葉を伝える際は、原則として句読点を使用せず縦書きで作成しましょう。内容は、お悔やみの言葉を伝えるとともに、相手の心身を慮る内容とするのが基本です。
お葬式に参列する際のその他の注意点
最後に、お葬式に参列する際に知っておくべきその他の注意点をまとめて解説します。お葬式に相応しい振る舞いを心がけ、マナー違反のないよう注意しましょう。
- 適切な服装で参列する
- 宗教・宗派を確認しておく
- 会食があっても長居しない
適切な服装で参列する
お葬式には、適切な服装で参列しましょう。基本の服装は、それぞれ次のとおりです。
男性
男性は、光沢のない黒のスーツを着用するのが基本です。ネクタイや靴、ベルト、靴下も黒で統一しましょう。また、ハンカチは白か黒のものを、しわを伸ばした状態で持参します。
なお、通夜当日に報せを受けた場合など急な場合には、お通夜は黒やグレー、紺などの地味な色合いの平服でも構いません。
女性
女性は、黒のワンピースやセットアップ、スーツなどを着用します。スカートでもパンツでも問題ありませんが、ひざより短いスカートや胸元の開いた服装は避けるべきとされています。また、スカートの場合には黒色のストッキングを着用しましょう。
靴やバッグ、髪が長い場合にまとめる髪留めなども、黒で統一します。なお、一連パールのシンプルなネックレスや結婚指輪はつけても構いません。
子ども
子どもが高校生までであり制服がある場合には、制服での参列が基本です。
制服の色が白など明るい色であっても、制服が正装であるため問題ありません。ただし、スカートを極端に短くすることなどは避け、校則に合った着こなしをするのが基本です。
制服がない場合には、男女とも白色のブラウスに、黒や紺など地味な色合いのパンツやスカートを合わせます。
宗教・宗派を確認しておく
お葬式に参列する際は、宗教や宗派をあらかじめ確認しておきましょう。宗教や宗派の情報は、葬儀の案内などに記載されていることが一般的です。また、口頭で葬儀の案内を受けた際にも、確認しておくとよいでしょう。
宗教や宗派や用意する香典の表書きや、お悔やみの言葉の表現などに影響します。
たとえば、香典の表書きは仏式であれば「御香典」や「御香料」です。「御霊前」でもよい場合もあるものの、浄土真宗などでは仏式でも「御霊前」は使わず、「御仏前」となります。一方で、神式の場合の表書きは「御神前」や「御玉串料」などです。
また、先ほど解説したとおり、「ご冥福」や「供養」などの表現は仏教の場合にのみ使用でき、神式やキリスト教式などの場合には使いません。
会食があっても長居しない
お葬式の後の会食は一部の近親者のみで行われる一方で、お通夜の後には参列者全員に食事が振る舞われることがあります。この食事を「通夜振る舞い」といいます。
通夜振る舞いは遺族が参列者にお礼を伝えるとの意味合いのほか、故人との最期の食事との意味合いもあります。アルコールが出されることもあるものの、趣旨を理解し、長居しないよう注意しましょう。また、故人とは関係のない内容で話し込むことなども御法度です。
まとめ
お葬式で遺族にかけるお悔やみの言葉や、お葬式に参列しない場合に送るメールや手紙の例を紹介するとともに、お悔やみの言葉をかける際の注意点などを解説しました。
お葬式で遺族にかけるお悔やみの言葉の代表例は、「お悔やみ申し上げます」や「ご愁傷様です」「残念でなりません」などが基本です。流暢である必要はないため、心を込めて伝えるとよいでしょう。
また、お悔やみの言葉をかける際は忌み言葉や宗教ごとに異なる表現に注意すべきほか、死因を尋ねたり死をプラスに捉えるような発言をしたりしないよう注意しなければなりません。悲しみのさなかにいるご遺族をさらに悲しませることがないよう、避けるべき表現を知っておくとよいでしょう。
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