香典返しを辞退する方法・された際の対応をわかりやすく解説!参列者・遺族別に紹介

香典返しを辞退する方法・された際の対応をわかりやすく解説!参列者・遺族別に紹介

香典へのお礼として送られる香典返しですが、遺族への配慮などさまざまな理由から受け取りを辞退するケースも増えています。一方で、香典返しの辞退が失礼に当たらないか不安に思う方もいるのではないでしょうか?

今回は、香典返しの辞退が失礼に当たらないのか、また香典返しを辞退する際に知っておきたいマナーやポイントをお伝えし、後半で香典返しを辞退された場合の遺族側の対応について解説します。

そもそも香典返しとは

香典返しとは、遺族が香典をいただいた方にお渡しするお礼の品です。香典には、家族を亡くした遺族に対する励ましの意味や、金銭的な負担を軽くするといった意味があり、香典返しをお渡しすることで、感謝の気持ちや無事に法要を終えたことを伝えます。

香典返しの相場は、いただいた香典の半分から3分の1程度の金額です。香典返しは、忌明け法要を終えたタイミングから1ヶ月以内を目安に送られることが一般的ですが、地域によっては「即返し」「当日返し」として、香典返しを通夜や葬儀当日にお渡しするケースもあります。

香典返しの品としては、多くの場合「不幸が残らないように」との意味を込めて消耗品が選ばれます。具体的には、お茶や海苔のような食品や、洗剤やタオルなどの日用品が定番の品です。しかし、食品の中でも肉や魚などは、殺生をイメージさせることから避けられます。近年では、受け取った側が好きなものを選べるようにとの思いから、カタログギフトを香典返しとして送るケースも多いです。

香典返しを辞退しても失礼にはあたらない

続いては、香典返しの辞退について、香典をお渡しする側の立場から解説します。

香典返しを辞退したいと考えたときに、遺族に失礼に当たらないかと考える方もいるかもしれませんが、結論としては香典返しの受け取りを辞退しても失礼には当たりません。先述のように、香典はあくまで励ましや助け合いの観点から遺族にお渡しするもので、お返しを前提としたものではないためです。

一方で、香典返し辞退の旨は、早めに遺族側へ伝えなくてはなりません。遺族側は、香典をいただいた方には香典返しを送るものとして準備しているため、伝え忘れたりタイミングを誤ったりすると、かえって遺族に手間取らせる場合もあるためです。香典返しの辞退を決めたら、速やかに遺族へ連絡することをおすすめします。

香典返しを辞退する具体的な方法

香典返しを辞退する場合、遺族へその旨をしっかり伝えることが大切です。あやふやな伝え方をしたり連絡が遅くなったりしてしまうと、逆に遺族に迷惑をかけることになりかねません。ここでは、香典返しを辞退する具体的な方法をお伝えします。

  • 辞退する旨を香典袋に記しておく
  • 手紙などを添える
  • 式当日に受付で申し出る
  • 香典の金額を少額に抑える

辞退する旨を香典袋に記しておく

スタンダードな方法の一つとして、香典袋に香典返し辞退の旨を書いておく方法があります。中袋がある場合は、住所や氏名を記入した左端に香典返し辞退の旨を記しましょう。内袋がない場合は、外袋の裏面に記入して構いません。

【書き方の例】

  • お香典返しのご配慮は 遠慮させていただきます
  • 誠に勝手ではございますが お香典返しの受け取りは辞退させていただきます
  • お香典返しの受け取りは辞退させていただきたく よろしくお願い申し上げます

手紙などを添える

一筆せんなどの手紙を香典に添える方法もあります。香典袋に直接書くよりもスペースに余裕があるため、お悔やみの気持ちをしっかり伝えやすい方法です。便箋や一筆箋を選ぶ際は、白無地や落ち着いたデザインのものを選びましょう。

【書き方の例】

〇〇様 (喪主名)

この度は 心よりお悔やみ申し上げます

なお 誠に勝手ながら お香典返しの受け取りは辞退させていただきます

ご了承いただきますよう お願い申し上げます

故人様のご冥福を 心よりお祈りいたします

(差出人名)

式当日に受付で申し出る

近年では、通夜や葬儀の式当日に香典返しを送るケースもあり、その場合は受付で辞退の旨を伝えることが必要になります。受付の方に香典をお渡しして、お悔やみの言葉を伝えるとともに辞退を申し出るとスムーズでしょう。

このとき、濁したような言い方をすると意思が伝わらないこともあるため、はっきりと香典返し辞退の旨を伝えてください。なお、遺族以外の方が受付をしている場合もあるため、確実に遺族に伝わるように併せて香典袋に記したり、手紙を添えたりしておくことをおすすめします。

香典の金額を少額に抑える

中には、香典の金額が少額であればお返しをしなくても良いとの考えがあります。そのため、金額を少額に抑えた香典をお渡しすることも、香典返しを辞退する方法の一つです。

しかし、香典の金額を少額に抑えたからといって、遺族にこちら側の真意が伝わらない場合や、どんなに少額の香典でも香典返しをお渡ししなければと考える遺族もいるため、香典を少額にするとともに、香典袋に辞退する旨を記しておくと確実です。

香典返しを辞退する際に気を付けたいポイント

続いて、香典返しを辞退する際に押さえておきたい2つのポイントを解説します。

  • 遺族側に確実かつ早急に辞退する旨を伝える
  • 香典を少額にするだけでなくはっきり意思表示をする

遺族側に確実かつ早急に辞退する旨を伝える

香典返しの辞退を決めたら、できるだけ早く確実に遺族へ伝えるよう心がけましょう。

一般的に、香典返しは忌明けとなる四十九日法要のタイミングで送られますが、大切な故人が亡くなってから忌明けまでは、遺族にとってあっという間の期間です。伝えるのが遅れ、せっかく遺族が用意した香典返しが無駄になってしまわないよう、辞退の旨は遺族が香典返しの準備を始める前に伝えられるようにしましょう。

先述したように、香典袋などに辞退の旨を記載しておくのが確実ですが、記入するのを忘れてしまった場合などは、電話やメールなどで連絡するようにしましょう。

香典を少額にするだけでなくはっきり意思表示をする

先述のとおり、香典の金額を少額にするのも香典返しを辞退する方法の一つですが、これだけでは遺族に真意が伝わらないことも考えられます。少額の香典を包むだけでなく、香典袋に辞退の旨を記しておいたり、遺族と直接話しておいたりするなど、はっきりと香典返し辞退の意思表示をしましょう。

香典返しを辞退する主な理由

続いて、遺族の立場からみた香典返しの辞退についてお伝えします。

遺族からすると、いただいた香典に対するお礼の気持ちとして香典返しを送りたいと思うのは当然のことです。しかし、香典を渡す側はさまざまな理由から香典返しを辞退したいと考えています。ここでは、香典返しを辞退する主な理由について解説します。

  • 香典の金額が少額であるため
  • 会社名義での香典であるため
  • 遺族に負担をかけないため

香典の金額が少額であるため

香典の金額が少額である場合は、香典返しを辞退されることも少なくありません。香典返しの金額相場は、いただいた香典の半分から3分の1程度とされていますが、香典が少額だと香典返しの方が高額になってしまうケースがあるためです。

特に、遠戚の方や関係が遠い方などから香典をいただく場合に多くみられます。また、連名で香典を出している方など、一人当たりの金額が少額で、それぞれに香典返しを送るのが難しい場合にも辞退されることがあります。

会社名義での香典であるため

故人の勤め先や取引先といった企業からの香典の場合にも、香典返しを辞退されるケースがあります。公的機関などでは、そもそも香典返しの受け取りが禁止されていたり、企業によっては、香典が会社の経費から支払われており香典返しの必要がないこともあったりするためです。

会社名義での香典に対しては、お返しをすると、かえって相手に迷惑を掛けてしまうことも考えられるため、慎重な対応が求められます。なお、香典が会社名義でなく、故人の同僚らからの私的なもので、辞退の旨を知らされていない場合には香典返しが必要です。

遺族に負担をかけないため

中には、遺族に金銭的な負担を掛けたくないとの思いで香典返しを辞退されることもあります。

大切な家族を亡くし、心身共に疲弊している遺族に対して、香典へのお返しの心配までさせるのは本意ではないと考える方もいます。また、亡くなった方が世帯主など、一家の生活を支えていた人物であった場合は、香典を残された家族の生活費に充てて欲しいと考え、香典返しを辞退されるケースもあるようです。

香典返しを辞退された場合はどうすればよい?

香典返しの辞退が遺族への配慮の形とはいえ、何もしないでいるのは心苦しい場合もあります。かといって、無理やりに香典返しを送ることは相手の厚意を無下にしてしまうことになるため、他の方法で感謝の気持ちを伝えましょう。ここでは、香典返しを辞退された場合の対応について解説します。

  • お礼状を送る
  • 別の機会に感謝の気持ちを伝える
  • 本当に香典返しを辞退されているのか確認する

お礼状を送る

香典返しを辞退された方には、感謝の気持ちを伝えるお礼状を送りましょう。

お礼状は、奉書紙と呼ばれる和紙に縦書きで書くのが正式な形ですが、白無地の便箋を使っても問題ありません。無事に法要を終えたことを伝えると共に、香典をいただいた感謝の気持ちを込めたお礼状を用意します。

文章は長くなり過ぎないよう、便箋1枚に収まる文章に留めましょう。便箋が1枚以上になると、「不幸が重なる」との意味に捉えられる可能性があるためです。

お礼状を送る人数が多い場合は、印刷したお礼状を用意しても構いません。お礼状を送るのは、香典返しを送るのと同じ忌明けのタイミングです。

【書き方の例】

拝啓

先日の〇〇(続柄・故人の名)の葬儀に際しまして ご丁重なご香典を賜り 心より感謝申し上げます

また ご厚意により香典返しを辞退されるとのお申し出 誠にありがたく存じます

 

おかげさまで 無事に葬儀を終えることができました

皆様の温かいお心遣いに支えられ 家族一同 大変心強く感じております

 

今後とも変わらぬご厚誼を賜りますよう お願い申し上げます

略儀ながら書中をもちまして お礼申し上げます

 

敬具

 

令和〇〇年〇月〇日

喪主 〇〇

別の機会に感謝の気持ちを伝える

香典の金額が高額であった場合、いくら香典返しを辞退されたといえど、何かお礼を送りたくなるかもしれません。このような場合は、別の機会に感謝の気持ちを伝えることを検討しましょう。

たとえば、親族の方であればお中元やお歳暮など季節の挨拶として品物を送ったり、食事に招待したりするなども一つの方法です。また、連名で香典をいただいた方に対しては、大人数で分けられるお菓子などをお送りすることもできます。

まずは、相手の香典返し辞退に対する思いを受け止め、頃合いをみて感謝の気持ちを伝える方法をとりましょう。

本当に香典返しを辞退されているのか確認する

香典の金額が少額の場合は、本当に香典返しを辞退されているのか確認することをおすすめします。

香典袋に辞退の旨が記されているか、必ずチェックしてください。また、通夜や葬儀で受付をしてくれた方に、香典を受け取った際に香典返し辞退の旨を伺っていないか確認するのも大切です。

これらいずれの形でも香典返しを辞退することが確認できなかった場合、香典が少額の場合でもお返しの準備が必要です。「香典の金額が少額なので香典返しは辞退されている」と自分たちで勝手に判断しては、今後の関係に悪影響を及ぼしかねません。きちんと確認するようにしてください。

香典返しの辞退に関するよくある質問

ここまで、香典返しの辞退に関して、香典を送る側と遺族側それぞれの立場から解説してきました。最後に、香典返しの辞退についてよくある質問を解説します。

辞退したが香典返しが送られてきた場合はどうすれば良い?

遺族にはっきりと香典返し辞退を伝えた場合でも、お礼としてどうしても受け取ってほしいと、香典返しが送られてくることもあります。遺族たっての希望でもあるため、このような場合は、受け取りを断るようなことはせず、ありがたく頂戴しましょう。

香典返しに対してお返しをする必要はありませんが、香典返しを受け取ったことを遺族にお伝えしておくと親切です。

香典返しを辞退する旨はいつ伝えたら良い?

香典返しの辞退を決めたら、できるだけ早めに遺族へ伝えましょう。一番確実なのは、香典袋に辞退の旨を記してお渡しすることですが、香典をお渡しするまでの間に遺族へ電話やメールなどで連絡する機会があれば、その際に伝えても良いでしょう。

香典返しを辞退された場合、相手にどうやって感謝を伝えたら良い?

香典返しを辞退するのは、遺族側への配慮の表れです。感謝の気持ちを示したいからと無理やりに香典返しを送ることは、かえって相手の気持ちを思いやっていない行為にも捉えられかねないため避けましょう。

香典返しを辞退された方に感謝を伝えるには、忌明けにお礼状をお送りするのはもちろん、お中元やお歳暮など季節ごとの挨拶として品物を送るのも一つの方法です。

挨拶状やお礼状を書く際の注意点は?

挨拶状やお礼状を書く際は、気を付けたいポイントがあります。

まず、お礼状のような正式な文書には、「、」や「。」といった句読点は使用しません。この理由には、毛筆で文書を書いていた時代の文書には句読点が使われていなかったことや、句読点を使用することで「縁を途切れさせる」との意味を連想させるといったことが挙げられます。句読点を使う箇所には空白を入れて、文章が読みやすくなるよう工夫しましょう。

また、忌み言葉にも注意が必要です。忌み言葉とは、「わざわざ」「たびたび」などの重ね言葉や、「生きる」「死ぬ」「苦しい」といった、生死や不幸を連想させるような言葉です。忌み言葉は人が亡くなった場面にはふさわしくない言葉とされているため、お礼状には使わないようにしましょう。

なお、香典へのお礼状には時候の挨拶は必要ありません。「謹啓・謹白」、「拝啓・敬具」のような頭語・結語は使用して大丈夫ですが、必ずセットで使用するようにしてください。

まとめ

香典を送る側と遺族側、それぞれの立場から見た香典返しの辞退について解説しました。

香典返しの辞退においては、いずれの立場においても相手の気持ちに寄り添った対応が求められます。香典返しを辞退する場合、マナーを守った方法で遺族にきちんと伝えることが大切です。

逆に、辞退された場合も、相手の思いやりに感謝しつつ、お礼状など別の方法で感謝を伝えましょう。

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