【2024】通夜振る舞いとは?料理内容・マナー・挨拶・精進落としとの違いをわかりやすく解説
通夜の後に行う食事会を、「通夜振る舞い」といいます。通夜振る舞いは参列者に感謝の意を伝えるとともに、故人と最期の食事をともにする大切な場です。
とはいえ、はじめて喪主となる場合には、通夜振る舞いでは何を用意すればよいのか、また通夜振る舞いはどのように進行するのかなどわからないことが多く不安に感じることも多いでしょう。
では、通夜振る舞いは、一般的にどのような流れで進行するのでしょうか?また、通夜振る舞いでは、喪主や遺族はどのようなマナーに注意すればよいのでしょうか?今回は、通夜振る舞いの基本マナーや一般的な流れ、精進落としとの違いなどをくわしく解説します。
通夜振る舞いとは
通夜振る舞いとは、通夜の後に行う食事会です。通夜から別の会場に移動するのではなく、通夜と同じ斎場内で行うことが多いでしょう。
通夜振る舞いの目的は僧侶や参列者へお礼を伝えることと、故人の思い出話をしながら故人と最期の食事をすることです。故人の思い出話をしながら食事をすることで故人の供養につながるとともに、遺族の慰めにもなると考えられています。
通夜振る舞いの参列者は明確ではないため、1人ずつに料理を用意するのではなく、オードブルなど取り分けやすいものとすることが多いでしょう。喪主や遺族は参列者に感謝の意を伝えるため、お酌や挨拶に回ります。
通夜振る舞いは長居するものではなく、参列者は各々のタイミングで退席することが一般的です。残っている参列者がいる場合でも、1時間から長くても2時間程度で閉式とすることが多いでしょう。
通夜振る舞いと精進落としとの違い
通夜振る舞いと混同されやすいものに、「精進落とし」があります。ここでは、通夜振る舞いと精進落としの主な違いについて解説します。
タイミング
通夜振る舞いは、通夜当日に行うものです。通夜の後、斎場内の別室にて執り行うことが多いでしょう。
一方、精進落としは、火葬後や初七日法要の後に行うことが一般的です。
なお、精進落としは本来、四十九日に忌明け後に遺族が最初に口にする通常の料理を指すものでした。忌中の間は肉や魚などを避けた「精進料理」を摂るべきとされ、忌明けをすると通常の料理に戻すことができたためです。
しかし、昨今ではこのような風習が厳格に守られることは稀であり、忌中の間も通常の食事をすることが多くなっています。忌中の間も通勤や通学などの社会生活が進行するため、伝統的な忌中の過ごし方を遵守することは現実的ではないためです。
このような背景もあり、昨今では火葬後や初七日法要後に親族などで行う食事会が「精進落とし」と呼ばれています。なお、精進落としは「お斎(とき)」と呼ばれることもあり、両者は原則として同じものを意味します。
参加者
通夜振る舞いの参加者は、通夜に参列した者と僧侶です。一般葬の場合には通夜の参列者は当日までわからず、通夜振る舞いの参加者も正確に予想することは困難でしょう。
一方、精進落としは僧侶のほか、火葬や初七日法要に参列した故人と近しい者だけが参加します。そのため、あらかじめ人数を想定することも可能です。
意味合い
通夜振る舞いの目的は、僧侶や参列者へのお礼を伝えつつ故人を偲ぶことです。
一方、精進落としの目的は先ほど解説したとおり本来は異なるものであったものの、近年では通夜振る舞いと同じく、僧侶や参列者へ感謝の意を伝えて故人を偲ぶこととなっています。
料理の内容
通夜振る舞いでは、オードブルやサンドイッチ、寿司、揚げ物など、人数の変動に対応しやすく取り分けやすい料理とすることが一般的です。なぜなら、通夜振る舞いの参加者は当日までわからないことが多いためです。
一方、精進落としでは懐石料理やお弁当などを一人一膳ずつ用意します。
通夜振る舞いの流れ
通夜振る舞いは、どのような流れで進行することが多いのでしょうか?ここでは、通夜振る舞いの一般的な流れを、喪主挨拶の例文とともに紹介します。
通夜振る舞いの案内
通夜の閉式の際は、喪主から挨拶をすることが一般的です。通夜振る舞いがある場合には、通夜の閉式の挨拶で通夜振る舞いについて案内するとよいでしょう。
通夜振る舞いがある場合における通夜閉式時の喪主挨拶の例は、次のとおりです。
本日はご多用のところ、父 葬儀太郎の通夜にご参列いただき誠にありがとうございます。
お陰様で、通夜の儀を滞りなく終えることができました。
皆様にお集まりいただき、父もさぞ喜んでいることと存じます。
なお、明日の葬儀・告別式は午前10時より、こちらの会場にて執り行う予定です。
ご都合がよろしければ、ぜひご会葬いただきますようお願い申し上げます。
ささやかではございますが、この後、別室にお食事の席を設けております。
ご都合のよろしい方は、お召し上がりながら、ぜひ父との思い出話などをお聞かせいただければと存じます。
本日はご列席いただきまして、誠にありがとうございました。
通夜へ参列していただいたことへのお礼を伝えるとともに、翌日の葬儀・告別式の案内を行います。通夜振る舞いがある場合には、通夜振る舞いがある旨を伝えましょう。
なお、昨今では通夜や葬儀の小規模化が進んでおり、通夜は執り行うものの通夜振る舞いはしない場合もあります。その場合には、「ささやかではございますが」以降の挨拶を次の内容などに置き換えて、喪主挨拶を行います。
本来であればここでお食事をご用意のうえ故人を偲ぶひと時をすごしていただくところではございますが、都合によりご用意がございません。何卒ご了承ください。
本日は、誠にありがとうございました。
どうぞ、お気をつけてお帰りください。
なお、通夜振る舞いをしない場合には、これに代えて弔問客にお弁当やビール券などの粗供養品などをお渡しすることもあります。通夜振る舞いがない場合における粗供養品の用意についても、葬儀社の担当者に相談するとよいでしょう。
開式の挨拶
通夜振る舞いの開始時には、改めて喪主が挨拶をします。通夜振る舞い開式時における喪主挨拶の例文は、次のとおりです。
本日はご多用のところ、父 葬儀太郎の通夜式にご列席いただき誠にありがとうございました。
皆さまにお集まりいただき、父もさぞ喜んでいることと存じます。
ささやかではございますが食事を用意いたしましたので、どうぞお時間の許す限り、お食事をお召し上がりになりながら、父との思い出話などをお聞かせいただければ幸いです。
本日は、誠にありがとうございました。
改めて通夜列席へのお礼を伝えるとともに、通夜振る舞いの開始を伝えます。また、「故人との思い出話を聞かせていただきたい」「お時間の許す限り、故人との最期の食事をしていただきたい」などと伝えると、通夜振る舞いに慣れてない参列者にとっても過ごし方を理解しやすくなるでしょう。
会食
喪主挨拶の後は、会食をします。通夜振る舞いでは、喪主も食事をして構いません。ただし、あまり食事に集中しすぎるのではなく、参列者へのお礼の挨拶に主眼を置きましょう。
通夜振る舞いでは、ビールやノンアルコール、ジュースなどのドリンクを用意します。これらを持ち、お酌をしつつ挨拶に回るのが通例とされています。参列者一人ひとりに、「本日はありがとうございました」などと伝え、お酌をするとよいでしょう。
ただし、通夜振る舞いはいわゆる「宴会」ではありません。大声を出したり大声で笑ったり、お酒を飲みすぎたりすることのないようご注意ください。
当然ながら、無理にアルコールを進めることなどは厳禁です。ビールを飲めない方には、相手の希望に応じてノンアルコールビールやジュースなどでお酌をします。
また、積もる話がある場合でも、一人の参列者とあまり長い時間話し込むことは避けたほうがよいでしょう。限られた時間の中で多くの参列者にお礼の挨拶ができるよう、一人ひとりへの挨拶は手短にするのが基本です。
なお、通夜振る舞いは参列者がそれぞれのタイミングで退席し岐路につくことが一般的です。参列者から退室することを伝えられたら次のようにお礼を伝え、無理に引き留めることは避けましょう。
- 「本日は誠にありがとうございました」
- 「遅い時間までお付き合いいただき、誠にありがとうございました」
- 「ありがとうございました。どうぞ足元に気を付けてお帰りくださりませ」
- 「ありがとうございました。 明日も、どうぞよろしくお願いいたします」
閉式の挨拶
通夜振る舞いは、1時間から長くても2時間程度で閉式とすることが一般的です。通夜振る舞いの閉式時には喪主から閉式となる旨を伝え、改めてお礼の挨拶をします。喪主による通夜振る舞いの締めの挨拶の例文は、次のとおりです。
本日はご多用のところお集まりいただき、誠にありがとうございました。
お陰様で、滞りなく通夜を執り行うことができました。
遺族一同、心より感謝申し上げます。
思い出話は尽きず名残り惜しくはございますが、夜もふけて参りましたので、本日はこのあたりでお開きとさせていただきたく存じます。
葬儀・告別式は明日の午前10時より通夜と同じ会場にて執り行いますので、お時間が許すようでしたら、ぜひご会葬いただければ幸いです。
本日は、誠にありがとうございました。
どうぞ、お気をつけてお帰りください。
通夜参列などのお礼を伝えるとともに、名残惜しくも通夜振る舞いの終了時刻となったことを伝えます。ここで、改めて翌日の葬儀・告別式の開始時刻や会場などの案内をすると親切でしょう。
通夜振る舞いの料理内容
通夜振る舞いでは、どのような料理を用意すればよいのでしょうか?ここでは、通夜振る舞いの一般的な料理内容を解説します。
オードブルなど取り分けられる料理が一般的
先ほど解説したように、通夜振る舞いの参加者は当日になるまでわかりません。また、すべての参加者が閉会まで残るわけではなく、各々のタイミングで退席することも多いでしょう。
そのため、一人ずつ料理を用意するのではなく、取り分けやすい次の料理などを用意することが一般的です。
- オードブル
- サンドイッチ
- 寿司
- 揚げ物の盛り合わせ
- フルーツの盛り合わせ
また、ビールや日本酒、ノンアルコールビール、ジュース、お茶などの飲み物も用意します。
なお、もともとは、忌明けまでの間は肉や魚、卵などの摂取を控えるべきとされていました。しかし、近年ではさほど気にされなくなっており、通夜振る舞いで肉や魚などを使用した料理を出すことは珍しくありません。
鯛や伊勢海老など慶事を連想させるものは避ける
肉や魚を使った料理は問題ないとはいえ、通夜振る舞いで慶事を連想させる料理を出すことは好ましくありません。避けるべき料理は、鯛や伊勢海老などです。通夜振る舞いのメニューに迷ったら、葬儀社の担当者へ相談するとよいでしょう。
通夜振る舞いにかかる費用の目安
通夜振る舞いにかかる費用の目安は、一人あたり2,000円から3,000円程度です。ただし、通夜振る舞いに参加しない人や少し箸を付けるだけで退席する人もいるうえ、お腹を満たすためにしっかりと食事をする場でもありません。
そのため、予定される通夜の人数分までを用意する必要はなく、参列予想人数の5割から7割程度を目安に用意することが多いでしょう。用意すべき具体的な分量がわからない場合には、葬儀社の担当者に相談することをおすすめします。
通夜振る舞いの基本マナー
喪主や遺族は、通夜振る舞いでどのような点に注意する必要があるのでしょうか?最後に、通夜振る舞いで注意したい基本のマナーをまとめて解説します。
故人と関係のない話は避ける
通夜振る舞いは、故人を偲ぶことなどを目的で行うものです。そのため、故人の思い出話などを中心としたうえで、故人と関係のない話はできるだけ避けるべきでしょう。
喪主は挨拶回りをする
通夜振る舞いでは、喪主や遺族は参列者へ挨拶に回ります。ご危篤の時点から生活が不規則となっていることも多く疲れていることとは思いますが、可能な限りお礼の挨拶に回りましょう。
なお、久し振りに会う人などがいる場合、積もる話もあることと思います。そのような場合であっても、通夜振る舞いの場で特定の者と長時間話し込むことはできるだけ避け、参列者全員に挨拶をするよう心掛けましょう。
忌み言葉の使用を避ける
通夜振る舞いでは、喪主が挨拶すべき場面が多く存在します。その際には、できるだけ忌み言葉を使わないようご注意ください。
忌み言葉とは、そのシーンにおいて縁起が悪いとされる言葉です。通夜や葬儀などの弔事では、次の言葉などが忌み言葉とされています。
- 生死を直接表す言葉:「死ぬ」「死んだ」「生きていたころ」など
- 不幸が繰り返されることを連想させる言葉:「繰り返し」「引き続き」「続けて」「追って」など
- 同じ表現を繰り返す言葉(不幸が繰り返されることを連想させるため):「続々」「次々」「返す返す」「度々」「重ね重ね」「重々」など
また、宗教ごとに避けるべき表現も存在します。たとえば仏式の場合には、「浮かばれない」や「迷う」なども避けるべきでしょう。なぜなら、これらは成仏できないことを連想させるためです。
また、神式やキリスト教式の場合などには「成仏」や「冥福」、「供養」などの言葉は適切ではありません。これらは、仏教の考え方を前提とした表現であるためです。
まとめ
通夜振る舞いの概要や一般的な流れ、食事の内容、注意すべきマナーなどについて解説しました。
通夜振る舞いとは、通夜の後に行う食事会であり、参列者にお礼を伝えることや故人の供養を目的として行われます。火葬や初七日法要の後に行われる精進落としとは異なり、参加者の人数があらかじめ確定しないことが多く、オードブルなど取り分けやすい料理を用意することが多いでしょう。
通夜振る舞いについて不安がある場合には、葬儀社の担当者へ相談することをおすすめします。
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