【2024】喪主の挨拶の例文を場面別にわかりやすく解説
葬儀では、喪主が挨拶すべき場面が少なくありません。しかし、喪主であるからといって、人前で話すことに慣れているわけではないでしょう。
突然喪主となった場合、何を話すべきか戸惑ってしまうことも少なくないと思います。今回は、通夜や葬儀でも喪主の挨拶の例文を、シーンごとにまとめて紹介します。
通夜や葬儀で喪主の挨拶が必要な場面
通夜や葬儀で喪主の挨拶が必要となるのは、どのような場面なのでしょうか?はじめに、喪主挨拶が必要となる場面やタイミングをまとめて紹介します。
通夜
通夜で喪主の挨拶が必要となる主な場面は、次のとおりです。
- (個別)弔問客への挨拶
- (個別)僧侶来場時の挨拶
- (全体)読経・お焼香後の挨拶
- (全体)通夜ぶるまいでの挨拶
(個別)弔問客への挨拶
弔問客が訪れた際は、訪れた弔問客へ喪主が個々にお礼を伝えます。長く話す必要ななく、簡単な挨拶で構いません。
(個別)僧侶来場時の挨拶
通夜の会場に僧侶が訪れた際に、控室などで喪主が僧侶に挨拶します。僧侶へのお布施はあらかじめ用意しておき、このタイミングでお渡しするとスムーズでしょう。
(全体)読経・お焼香後の挨拶
通夜がはじまると僧侶による読経が行われ、参列者がお焼香をします。続けて、僧侶による説法がなされることが多いでしょう。
この後、参列者全体へ向けて喪主が挨拶をします。この挨拶では、参列へのお礼を伝えることに主眼を置きます。併せて、翌日の葬儀・告別式の簡単な案内や、通夜ぶるまいがあるばあいにはその案内などを行います。
(全体)通夜ぶるまいでの挨拶
通夜ぶるまいがある場合、開始時と終了時には喪主から挨拶をすることが一般的です。開始時の挨拶では改めて参列のお礼を伝えるとともに、ゆっくり食事をしてほしいことや、故人との思い出話を聞かせてほしいことなどを伝えましょう。
終了時の挨拶ではお開きとする旨を伝え、あらためて参列のお礼を伝えます。
葬儀・告別式
葬儀や告別式で喪主による挨拶が必要となる主な場面は、次のとおりです。
- (個別)弔問客への挨拶
- (個別)僧侶来場時の挨拶
- (全体)出棺時の挨拶
- (全体)精進落としでの挨拶
(個別)弔問客への挨拶
通夜と同じく、弔問客が訪れた際は喪主が個々にお礼を伝えます。こちらも、短い挨拶で構いません。
(個別)僧侶来場時の挨拶
僧侶が来場されたら、通夜の際と同様に喪主が個別に挨拶をします。こちらも、このタイミングでお布施をお渡しするのが原則です。
(全体)出棺時の挨拶
葬儀が始まると、僧侶による読経がなされ、参列者がお焼香をします。お焼香が終わると棺への花入れなどをしたうえで棺が閉じられ、釘打ちがなされます。
そして、出棺の前に喪主が挨拶を行います。
ここでも、参列者に対してお礼を伝えることに主眼を置きましょう。併せて、故人の人柄の分かるエピソードや最期の様子などを話す場合もあります。
(全体)精進落としでの挨拶
火葬後(地域によっては、火葬中)に、精進落としを行う場合があります。
精進落としとは本来、四十九日の忌明け後に行うものでした。忌中のうちは肉や魚を避けた精進料理を食べるべきとされており、忌中の期間を終えてはじめて食べる普通の食事が、「精進落とし」です。
しかし、近年では四十九日までを精進料理のみで過ごすこと少なくなり、精進落としも参列者のおもてなしや故人の供養としての意味が強くなりました。そのため、火葬後(地域によっては、火葬中)に精進落としをすることが多くなっています。
精進落としの開始時と終了時には、それぞれ喪主から挨拶をします。開始時の挨拶でも終了時の挨拶でも、参列してくれた方などへお礼を伝えましょう。
(シーン別)通夜での喪主の挨拶例文
ここからは、喪主の挨拶の例文をシーンごとに紹介します。なお、いずれも喪主の父である「葬儀太郎」氏が亡くなったことを前提としています。まずは、通夜での喪主の挨拶の例文です。
弔問客への挨拶例文
弔問客が訪れた際の喪主の挨拶の例文は、次のとおりです。
お忙しいところ、通夜に足を運んでいただきありがとうございます。
生前は、父がとてもお世話になりました。
本日は、お越しいただき誠にありがとうございます。
お足元の悪いなか、通夜にお越しいただきありがとうございます。
特に弔問客が多い場合に1人と長く話していると、弔問客ごとの対応にムラが生じやすくなります。そのため、簡潔な挨拶で構いません。
僧侶来場時の挨拶例文
僧侶が来場した際の喪主の挨拶の例文は、次のとおりです。
本日はお忙しいところ、ご足労いただきまして誠にありがとうございます。
なにぶん不慣れですので、ご指導くださいますようお願いいたします。
お越しいただいたことへのお礼を伝えるとともに、謙虚な姿勢で指導をお願いするとよいでしょう。
読経・お焼香後の喪主挨拶例文
読経・お焼香後の全体へ向けた喪主挨拶の例文は、次のとおりです。
本日はご多用の中、父 葬儀太郎 の通夜式に参列いただきまして、心より御礼申し上げます。父も、さぞかし喜んでいることと存じます。
なお、明日の葬儀は午前11時より、こちらの会場にて執り行う予定です。お時間が許すようでしたら、ご会葬いただければと存じます。
本日は、誠にありがとうございました。
また、通夜ぶるまいがある場合には、これに続けて次のように案内をするとよいでしょう。
この後、ささやかではございますが、別室にお食事の席を設けております。
ご都合のよろしい方は、お召し上がりながら、ぜひ故人の思い出話などお聞かせいただければと存じます。
通夜ぶるまい開始の喪主挨拶例文
通夜ぶるまい開始時の喪主の挨拶例文は、次のとおりです。
本日はご多用の中、父 葬儀太郎 の通夜式にご参列いただき、誠にありがとうございました。皆さまに集まりいただき、父もさぞ喜んでいることと存じます。
ささやかではございますが、食事を用意いたしました。
故人との最期の食事ですので、どうぞお時間の許す限り、父の思い出話などをお聞かせいただければ幸いです。
本日は、誠にありがとうございました。
通夜ぶるまい締めの喪主挨拶例文
通夜ぶるまい終了時の喪主挨拶の例文は、次のとおりです。
本日はご多用のところお集まりいただき、誠にありがとうございました。
皆さまより温かなお言葉を頂戴し、遺族一同、心より感謝申し上げます。
名残り惜しくはございますが、夜もふけて参りましたので、本日はこのあたりでお開きとさせていただきたく存じます。
明日の葬儀は午前11時より通夜と同じ会場にて執り行いますので、お時間が許すようでしたら、ぜひご会葬いただければと存じます。
本日は、誠にありがとうございました。どうぞお足元にお気をつけてお帰りください。
(シーン別)葬儀・告別式での喪主の挨拶例文
続いては、葬儀・告別式での喪主挨拶の例文を、シーンごとに紹介します。
弔問客への挨拶例文
弔問客が来場した際の喪主挨拶の例文は、次のとおりです。
お忙しいところお越しいただき、ありがとうございます。
生前は、故人が大変お世話になりました。
お足元の悪いなか、お越しいただきありがとうございます。
通夜の際と同じく、簡潔にお礼を伝えましょう。
僧侶来場時の挨拶例文
僧侶が来場した際の喪主挨拶の例文は、次のとおりです。
お忙しいところご足労いただきまして、誠にありがとうございます。
定刻に始めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
通夜の際と同じく、お越しいただいたことにお礼を伝えましょう。
出棺時の喪主挨拶例文
出棺時の喪主挨拶の例文は、次のとおりです。この挨拶が、通夜と葬儀のおけるもっともメインの挨拶といえるでしょう。
本日はご多用のところ、父 葬儀太郎 の葬儀へご会葬くださいまして、誠にありがとうございました。
親族・親族を代表いたしまして、一言ご挨拶させていただきます。
父は5年前に病気を患ってから、入退院を繰り返しておりました。回復を願っておりましたが願いはかなわず、私たち家族が見守る中、〇月〇日に逝去しました。
おかげさまで葬儀・告別式も滞りなく進行し、これより出棺の運びとなりました。お世話になった皆様方にこのようにお見送りいただき、父もさぞ喜んでいることと存じます。
生前いただいたひとかたならぬご厚情につきまして、家族一同、父に代わって熱く御礼申し上げます。私ども遺族・親族につきましても、今後とも変わらぬご指導・ご鞭撻のほど、お願い申し上げます。
簡単ではございますが、お礼の言葉にかえさせていただきます。
本日はお忙しい中ご会葬を賜りまして、誠にありがとうございました。
入院からご逝去のくだりは、状況に応じて適宜変更してください。
たとえば、急逝であった場合には次のような内容となります。
父は〇月〇日に突然倒れ、病院へ運ばれました。私どもが病院にかけつけた時にはもう意識がなく、そのまま帰らぬ人となりました。
また、亡くなった原因などをあまり告げたくない場合には、この箇所は省いても構いません。
精進落とし開始時の喪主挨拶例文
精進落とし開始時の喪主挨拶の例文は、次のとおりです。なお、精進落としは葬儀とは別日で行う初七日法要の後に行うこともありますが、ここでは火葬後に行う場合を前提に例文を紹介します。
本日はご多用のところ、父 葬儀太郎 の葬儀にお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。
おかげさまで、葬儀・告別式を滞りなく終えることができました。
ささやかではございますが、精進落しのお席を用意いたしましたので、どうぞお時間の許す限りおくつろぎいただければと存じます。
本日は、誠にありがとうございました。
精進落とし締めの喪主挨拶例文
精進落とし終了時の喪主挨拶の例文は、次のとおりです。
本日は父のためにお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
皆さまに温かく見送りいただき、父もさぞ喜んでいると思います。
父との思い出話をもっとお聞きしていたいところではございますが、お時間となりましたので、そろそろお開きとさせていただきたいと思います。
父がいなくなり淋しい思いではございますが、家族一同支え合い、何とか乗り越えていこうと思います。今後とも、変わらぬお付き合いのほど、どうぞお願い申し上げます。
本日は、誠にありがとうございました。
喪主の挨拶のポイント
喪主の挨拶は、どのような点に注意して行えばよいのでしょうか?最後に、喪主の挨拶のポイントを3つ紹介します。
- メモを見ながら話しても構わない
- 無理にオリジナリティを出す必要はない
- 忌み言葉に注意する
メモを見ながら話しても構わない
喪主挨拶は、メモを見ながら話しても構いません。緊張のあまり何を話すべきかわからなくなりそうな場合には、メモを用意しておくと落ち着いて挨拶しやすくなります。講演会などではないため、参列者としても、喪主が流暢に話すことを期待しているわけではありません。
ただし、スマートフォンや携帯電話を見ながら挨拶することは、避けた方がよいでしょう。たとえスマートフォンにしたメモを見ているのだとしても、あまりよくない印象を持たれる可能性があるためです。
無理にオリジナリティを出す必要はない
喪主の挨拶は、無理にオリジナリティを出す必要はありません。著名人が亡くなった際などに関係の深かった著名人の葬儀での挨拶がニュースなどで流れることがあり、その多くは非常に感動的な言葉で飾られています。
しかし、これは人前で話すことに慣れている人によるものであり、一般個人の葬儀でそのようなクオリティでの喪主挨拶が求められているわけではないでしょう。
参列者などへのお礼さえきちんと伝われば、ある程度定型的な挨拶で問題ありません。そのうえで、どうしても伝えたいことなどがあれば、その部分はオリジナルの挨拶を加えればよいでしょう。
忌み言葉に注意する
喪主挨拶では、「忌み言葉」を使わないよう注意しましょう。
忌み言葉とは、そのシーンにおいて縁起が悪いとされ、避けるべきとされる言葉です。
通夜や葬儀などの弔事では、次の表現などが忌み言葉とされています。
- 不幸が繰り返されることを連想させる言葉:「繰り返し」「追って」「続けて」「引き続き」「重ねて」など
- 重ね言葉(不幸が繰り返されることを連想させるため):「続々」「ますます」「重ね重ね」「次々」など
- 生死を直接的に表す言葉」:「死んだ」「生きていた頃」「病死」など
また、仏教では「迷う」や「浮かばれない」も忌み言葉として、避けるべきとされています。なぜなら、極楽浄土に行けないことを連想させるためです。
まとめ
通夜や葬儀において喪主が挨拶すべき場面を紹介するとともに、シーンごとの喪主挨拶の例文を紹介しました。
喪主の挨拶はある程度定型的なものが多く、無理にオリジナリティを出す必要はありません。いずれも、参列者などへ感謝の思いが伝わることを意識しましょう。
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