葬儀・告別式の挨拶で喪主は何を話せば良い?喪主挨拶の例と失敗しないポイントを解説
葬儀・告別式では、喪主が挨拶すべき場面が少なくありません。葬儀・告別式の喪主挨拶では、何を話せばよいのでしょうか?また、喪主挨拶で失敗しないためには、どのようなポイントを踏まえればよいのでしょうか?
今回は、葬儀・告別式での喪主挨拶の例を紹介するとともに、喪主挨拶で話すべき内容や失敗しないためのポイント、避けるべき表現などについて解説します。
葬儀・告別式で喪主が挨拶すべきタイミングは?全体の流れを紹介
葬儀・告別式で喪主挨拶が必要となるのは、どのタイミングなのでしょうか?はじめに、葬儀・告別式の全体の流れを紹介しつつ、喪主が挨拶すべき主な場面を解説します。
- 親族集合・準備開始
- 僧侶の到着
- 受付開始
- 開式
- 僧侶による読経とお焼香
- 参列者による焼香
- 閉式
- 花入れ・釘打ち
- 出棺前の喪主挨拶
- 出棺
- 火葬
- 骨上げ
- 精進落とし
親族集合・準備開始
受付開始の1時間から30分前頃には親族が集合し、準備を開始します。準備では、席次の確認をしたり、受付の準備をしたりします。
僧侶の到着
葬儀・告別式の開始に先だって、会場に僧侶が到着します。僧侶が到着したら、喪主から僧侶に挨拶をしましょう。なお、このタイミングでお布施をお渡しするとスムーズです。
受付開始
葬儀・告別式開始の30分前頃から、一般参列者の受付を開始します。参列者が訪れたら、可能な範囲で、喪主から個々の参列者へ挨拶をしましょう。
開式
開始時刻となったら、開式の挨拶がなされます。この挨拶は喪主ではなく、葬儀社のスタッフなどが行うことが多いでしょう。
僧侶による読経とお焼香
葬儀・告別式が始まると、僧侶による読経とお焼香がなされます。読経時間は、30分から40分程度であることが一般的です。
参列者による焼香
続けて、参列者が焼香をします。焼香は一般的に血縁の深い人から行い、はじめに喪主、遺族・親族、会社関係者、友人・知人、 一般参列者の順となることが一般的です。
閉式
焼香が終わると閉式の挨拶がなされ、僧侶が退場します。閉式の挨拶も、葬儀社のスタッフなどが行うことが一般的です。
花入れ・釘打ち
続けて、花入れの儀(別れ花)を行います。花入れの儀とは棺の中に花を手向けるものであり、これが故人のお顔を見られる最期の機会となります。
花入れを終えると棺の蓋が閉じられ、棺の蓋を固定する釘打ちを行います。釘打ちとは近親者が喪主から順に小石で釘を叩いて打ち込むものですが、省略されることもあります。
出棺前の喪主挨拶
釘打ちの儀が終わると、喪主から参列者へ向けて挨拶をします。この挨拶が、葬儀・告別式における喪主のメインの挨拶です。
喪主挨拶は、棺を霊柩車に乗せる前に行う場合もあれば、棺を車に乗せてすぐに出棺できる状態になってから行う場合もあります。
出棺
喪主挨拶が終わると、火葬場へ向けて出棺します。火葬場へは参列者全員が向かうのではなく、喪主や一部の近親者だけで向かうことが一般的です。火葬場へは各々が自家用車で向かうほか、マイクロバスを手配して向かう場合もあります。
なお、喪主は霊柩車の助手席に乗る場合もある一方で、地域や宗派によっては喪主が同乗しない場合もあります。喪主の移動方法についても、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
火葬
火葬場に到着したら、ご遺体を火葬します。火葬には1時間から2時間程度を要するため、その間は待合室などで待機します。火葬場によっては、軽食がとれる場合もあります。
骨上げ
火葬が終了したら、「骨上げ」を行います。骨上げとは、2人1組で遺骨を専用の箸で拾い上げ、骨壺に納める儀式です。ご遺体の足のほうから順に喉仏以外を収骨し、最後に喉仏を納めることが一般的とされています。
骨上げが終わったら、遺骨と埋葬許可証(火葬許可証に火葬場の印などが押されたもの)を受け取りましょう。
精進落とし
火葬後には、「精進落とし」をすることがあります。精進落としとはもともと、四十九日の忌明け後に遺族がはじめて口にする通常の(精進料理ではない)食事を指す言葉でした。
しかし、近年では忌中であっても通常の食事をとることが多く、本来の意味での「精進落とし」をするケースは多くありません。一方で、葬儀・告別式後に行う近親者による会食を「精進落とし」と呼ぶことが増えています。
精進落としをする場合には、開始時と終了時に喪主から挨拶を行います。
告別式での喪主挨拶の例(出棺挨拶以外)
喪主挨拶をしようにも、何を話せばよいか困ってしまう方も多いでしょう。ここでは、出棺の挨拶以外の喪主挨拶の例を紹介します。なお、これ以降で紹介する挨拶の例では、父親が亡くなった場合を前提に解説します。
告別式会場に僧侶が到着した際の挨拶の例
僧侶が告別式会場に到着した際の挨拶の例は、次のとおりです。
- 本日はお忙しいところお越しいただき、誠にありがとうございます。なにぶん不慣れですので、ご指導くださいますようお願いいたします。
- お忙しいところ誠に恐れ入りますが、本日はよろしくお願いいたします。開式までしばらく時間がございますので、ひとまず控室にてお休みくださいませ。時間となりましたら、お迎えにまいります。
また、前日のお通夜にも同じ僧侶にお越しいただいた場合には、次のように前日のお礼も含めるとよいでしょう。
- 昨夜は大変ご丁寧なおつとめを賜り、誠にありがとうございました。お忙しいところ誠に恐れ入りますが、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
参列者が告別式会場に到着した際の挨拶の例
参列者が告別式会場に到着した際の挨拶の例は、次のとおりです。
- 本日はお忙しいなかお越しいただき、誠にありがとうございます。生前は、父が大変お世話になりました。
また、この時、参列者から「この度はご愁傷様でございました」などお悔やみの言葉が述べられることが少なくありません。お悔やみの言葉をいただいたら、「恐れ入ります」や「痛み入ります」などと返答するとよいでしょう。
精進落とし開始時の挨拶の例
告別式の後に精進落としを行う場合、開始時の挨拶の例は次のとおりです。
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本日は、お忙しいなか父のためにお集まりいただき、誠にありがとうございます。
おかげさまで、葬儀・告別式を滞りなく終えることができました。改めて御礼申し上げます。
皆さま、さぞかしお疲れのことと思います。
誠にささやかではございますがお食事をご用意いたしましたので、どうぞゆっくりとお寛ぎください。
お食事をされながら、父との思い出話などをお聞かせいただけましたら幸いです。
本日は、誠にありがとうございました。
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葬儀・告別式へのお礼に加え、ゆっくり食事をしてほしい旨などを伝えます。
精進落とし終了時の挨拶の例
精進落としの終了時の挨拶の例は、次のとおりです。
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本日はお忙しいなか父のためにお集まりいただき、誠にありがとうございました。
皆さまのお話から私の知らなかった父の姿を知ることができ、感無量でございます。
もっとお話を伺いたいところですが、皆さまお疲れのことと存じますので、このあたりでお開きとさせていただきます。
皆さま、どうぞお気を付けてお帰りください。本日は、誠にありがとうございました。
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参加者にお礼を伝え、名残惜しくも終了の時間となったことを伝えます。なお、次回法要の予定が決まっている場合には、ここで併せて伝えるとよいでしょう。
告別式での出棺挨拶の例
出棺前の挨拶は、告別式におけるもっとも重要な喪主挨拶です。ここでは、告別式での出棺挨拶の例を、状況ごとに4つ紹介します。
闘病の末に亡くなったことを告げる挨拶の例
闘病の末に亡くなったことを告げる告別式での挨拶の例は次のとおりです。
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本日は、父・太郎のためにお忙しいなかご会葬いただき、誠にありがとうございました。
遺族・親族を代表いたしまして、長男である私から一言ご挨拶させていただきます。
父は〇年前にがんを患って以来、入退院を繰り返しておりました。
回復を願っておりましたが〇日前に容体が急変し、私たち家族が見守る中、〇月〇日に逝去いたしました。享年、〇歳でした。
生前中、ご懇切なお見舞いを賜るなど格別なご厚情を賜りました皆様方に、心より御礼申し上げます。
後に残された私ども遺族・親族に対しましても、今後も変わらぬご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
以上、簡単ではございますが、お礼のご挨拶とさせていただきます。
本日は、誠にありがとうございました。
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出棺前の挨拶では、このように参列のお礼を伝えるとともに、生前のお礼や今後の変わらぬお付き合いのお願いなどを伝えます。
急逝であったことを伝える挨拶の例
急逝であったことを告げる告別式での挨拶の例は次のとおりです。
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本日はお忙しいなか父・太郎のためにご会葬いただき、誠にありがとうございました。
おかげさまで葬儀・告別式も滞りなく済み、間もなく出棺の運びとなりました。
遺族・親族を代表いたしまして、長男である私から一言ご挨拶をさせていただきます。
父は〇月〇日、勤務先からの帰宅後に突然倒れ、そのまま帰らぬ人となりました。享年、〇歳でした。
日ごろから健康にも気を配っておりましたのに、突然のことでした。
未だ気持ちの整理がつかない状況でございますが、残された私どもも前を向いていかねばと思うばかりでございます。
私ども遺族・親族に対しましても今後も変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げますとともに、故人が生前賜りましたご厚誼に深く感謝申し上げます。
簡単ではございますが、お礼のご挨拶とさせていただきます。
本日は、誠にありがとうございました。
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急逝であった場合には、参列者も突然のことに驚いていることが多いと思います。そのため、可能な範囲で、亡くなった状況などを伝えるとよいでしょう。
老衰であった場合の挨拶の例
老衰であったことを告げる告別式での喪主挨拶の例は次のとおりです。
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本日はご多用中にもかかわらず、父・太郎の葬儀・告別式にご会葬いただき、誠にありがとうございました。
おかげさまで滞りなく進行し、間もなく出棺の運びとなりました。
遺族・親族を代表いたしまして、長男である私から一言ご挨拶をさせていただきます。
父は、〇月〇日の〇時ごろ、老衰のため永眠いたしました。享年〇〇歳と、大往生でございました。
激動の時代を生き抜き定年までは仕事一辺倒な父でしたが、晩年は趣味の将棋や旅行に勤しみ、趣味を通じてできた友人とも頻繁に交流を行い、充実した生涯であったことと存じます。
ここに、故人が生前賜りましたご厚誼に深く感謝しますとともに、私ども遺族・親族に対しましても、今後も変わらぬご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
簡単ではございますが、お礼のご挨拶とさせていただきます。
本日は、誠にありがとうございました。
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「大往生」は参列者側から告げることは控えるべきである一方で、近しい身内である喪主は使用しても問題ありません。
亡くなった理由に触れない挨拶の例
亡くなった理由に触れない告別式での喪主挨拶の例は次のとおりです。
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本日はお忙しいなか、父・太郎のためにご会葬いただき誠にありがとうございました。
遺族・親族を代表いたしまして、長男である私からご挨拶をさせていただきます。
おかげさまで、葬儀・告別式も滞りなく進行し、間もなく出棺の運びとなりました。
このように多くの皆さまにお見送りいただき、父もさぞかし喜んでいることと存じます。
ここに、故人が生前賜りましたご厚誼に深く感謝しますとともに、私ども遺族・親族に対しましても、今後も変わらぬご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
以上、簡単ではございますが、お礼のご挨拶とさせていただきます。
本日は、誠にありがとうございました。
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亡くなった理由は、告別式の挨拶で必ずしも伝えなければならないものではありません。
特に、事故や自死である場合などにははっきりとは死因を告げないことが多いでしょう。
告別式での出棺挨拶で話すべき内容
告別式での出棺挨拶では、どのような内容を盛り込むとよいのでしょうか?ここでは、出棺挨拶で話すべき内容を解説します。
- 参列のお礼
- 亡くなった原因と享年
- 生前の付き合いに対するお礼
- 今後の遺族との付き合いのお願い
参列のお礼
告別式での出棺挨拶では、参列者へ参列してくれたことへのお礼を伝えましょう。併せて、滞りなく葬儀・告別式が進行したことを報告します。
亡くなった原因と享年
告別式の挨拶では、可能な範囲で亡くなった原因や最期の状況などを伝えましょう。ただし、原因を伝えることに抵抗がある場合には、無理に伝える必要はありません。
なかでも、自死であった場合や事故であった場合などには、死因は伝えないことが多いでしょう。また、病気であった場合にも詳細な病名を伝えず、「持病が悪化し」などと濁してもかまいません。
生前の付き合いに対するお礼
告別式の喪主挨拶では、故人とのこれまでのお付き合いについてお礼を伝える内容を盛り込むとよいでしょう。「故人が生前賜りましたご厚誼に深く感謝申し上げます」などです。
なお、「厚誼」は「こうぎ」と読み、情愛のこもった親しい付き合いのことを指し、目上の方に使用しても問題ありません。これと同じく「こうぎ」と読む言葉に「交誼」があり、これは対等な関係にある友人などとの親しい付き合いを意味します。告別式での挨拶は口頭であるため、両方の意味に取れる「こうぎ」を使うと便利でしょう。
今後の遺族との付き合いのお願い
告別式での喪主挨拶では、残された遺族との変わらぬお付き合いや指導などをお願いするフレーズを入れることが多いでしょう。「後に残された私ども遺族に対しましても、今後も変わらぬご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます」などです。
告別式での喪主挨拶を失敗しないポイント
告別での喪主挨拶で失敗をしないためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか?最後に、告別式での喪主挨拶で失敗しないためのポイントを3つ紹介します。
- 忌み言葉を理解しておく
- 宗教独自の用語を理解しておく
- 無理にうまく話そうとしない
忌み言葉を理解しておく
1つ目は、「忌み言葉」を理解しておくことです。忌み言葉とは、そのシーンにおいて縁起が悪いとされ、避けられる表現です。
告別式など弔事の場面では一般的に、次の言葉が忌み言葉として扱われます。
忌み言葉 | 具体例 |
生死を直接的に表す言葉 | 死ぬ・死んだ・生きる・生きていた頃 |
不幸が続くことを連想させる言葉 | 続けて・追って・重ねて・繰り返し |
同じ表現を繰り返す言葉 | 続々・追々・重ね重ね・重々 |
特に、「重ね重ね」のような表現はうっかり口にしがちであるため、注意しましょう。
また、仏式の場合には「迷う」や「浮かばれない」なども忌み言葉とされます。これらの言葉は、故人が無事に成仏できないことを連想させるためです。
宗教独自の用語を理解しておく
2つ目は、宗教独自の用語を理解しておくことです。たとえば、次の表現は仏教独自の表現であるため、仏式以外の葬儀・告別式では使用できません。
- 冥福
- 供養
- 成仏
異なる宗教の用語を使わないよう、注意しましょう。わからない場合には、親族や葬儀社の担当者などに相談することをおすすめします。
無理にうまく話そうとしない
3つ目は、無理にうまく話そうとしないことです。
告別式での喪主挨拶は自身をアピールするスピーチの場でなく、試験などでもありません。また、故人を亡くしたことで喪主が悲しみのさなかにいることは、参列者も十分わかっているはずです。
そのため、無理にうまく話そうとする必要はないでしょう。不安であれば、メモを用意しても構いません。
ただし、メモを用意する場合はスマートフォンやタブレットなどではなく、紙で用意することをおすすめします。スマホなどを見ながらの挨拶に、好印象を持たない人もいるためです。
まとめ
告別式で喪主が挨拶すべき場面や挨拶のポイントを解説するとともに、告別式での喪主挨拶の例をケースごとに紹介しました。
告別式では、喪主が挨拶すべき場面が少なくありません。そのため、人前で話をすることに慣れていない場合には不安に感じてしまうことでしょう。告別式では忌み言葉や宗教用語などにも注意を払う必要があるため、なおさらです。
しかし、告別式での挨拶は無理にうまく話す必要はありません。不安であれば、メモを用意することで、落ち着いて挨拶をしやすくなります。また、葬儀社の担当者に相談することで状況や宗派に応じた文例を一緒に考えてくれる可能性もあるため、相談してみることをおすすめします。
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