一般的なお葬式の流れとは?遺族側・参列者側に分けてわかりやすく解説
近年、さまざまな時代の流れに対応しながら、葬式も各家庭の意向に合わせた形になってきています。今回は、一般的な葬式について、葬式当日(ご逝去の翌々日)の流れについて解説します。
【遺族側】一般的な葬式のタイムスケジュール(仏式)
日本での葬式は、9割以上が仏式で執り行われています。まずは一般的な仏式を例に、遺族側の葬式の流れについて解説します。
- 集合
- 受付に人員配置
- 着席
- 開式
- 喪主挨拶
- 閉式
- 別れ花(棺に花を供える)
- 出棺準備
- 出棺挨拶
- 出棺
- 火葬場へ移動
1. 集合
遺族は、開式1時間半から1時間前までに集合します。葬儀場によっては、スタッフとの最終確認などが行われる場合があるため、事前に確認しておいてください。
また、弔電をいただいた場合、葬式で紹介をします。送信者を確認し、間違いがないよう、名前によみがなを記入しておきましょう。
一般的に、弔電文と氏名を読み上げるのは1~3通で、他は氏名のみの紹介となります。故人や遺族と送信者との関係を考慮し、弔電文を紹介する分や紹介順序を決めておきましょう。
以上の内容を、葬儀場の司会進行者に伝え、弔電紹介をしてもらいます。
2. 受付に人員配置
親族から2~3名、受付係の担当を決め、葬儀場との打ち合わせや注意事項の確認を行います。開式の50分ほど前には、受付場所へ着くようにしてください。
芳名カードを準備し、参列者へ記入してもらうのが一般的です。葬儀後、喪主が参列者を確認する際に芳名カードは大変役に立ちます。
受付係は、参列者からお悔み・香典を受け、芳名カードも受け取り確認をしたら、お礼をお伝え、会葬礼状と返礼品を渡します。そして、参列者には式場への案内時間までロビーで待機してもらいます。時間になったら式場へ案内します。
3. 着席
葬式では、遺族は原則として正式喪服で着席します。開式の15分ほど前には、喪主を筆頭に故人と血縁の濃い順に、祭壇へ向かって右側に着席することが一般的です(喪主が中央側の席)。
4. 開式
式の所要時間は1時間ほどです。
定刻になると、葬儀場の司会進行者が開式を告げます。次に、導師の僧侶紹介と入堂のアナウンスがあり、僧侶着席後に読経が始まります。
宗派ごとの式次第に基づきますが、司会の誘導に従って読経中に焼香を行うことが一般的です。焼香は、喪主から順に血縁の濃い順で行います。
5. 喪主挨拶
読経が終わり僧侶が退出した後、喪主または遺族代表が参列者へ挨拶を行います。故人に代わって、参列者へお礼の言葉を述べて締めくくります。挨拶には、故人の人柄や故人との思い出など、在りし日の姿を思い描けるような内容を入れると良いでしょう。
挨拶が終わるタイミングで、喪主または代理の遺族が僧侶の控室へ行き、葬儀のお礼に僧侶へお布施をお渡しします。葬儀前にお渡しする場合もありますので、いつお渡しするかは葬儀場のスタッフに確認しておいてください。
お布施とは別に、交通費として「お車代」を準備するのが一般的です。葬儀後のお斎(とき)に僧侶が参加しない場合は、お食事代として「御膳料」もお渡しします。
弔電紹介は、喪主挨拶の前後で行われることが多いようです。事前に決めていたとおり、司会進行者が数通の弔電文を紹介し、その他は名前だけを読み上げます。
6. 閉式
司会進行者が閉式を告げます。この後、故人との最後のお別れをするために、会場の準備が始まります。遺族も参列者も一度退席して待ちます。
7. 別れ花(棺に花を供える)
会場の準備が整ったら、喪主から順番に棺の中に花を供えて、故人と最後のお別れを行います。このとき、故人が好きだった食べ物や愛用していた服などを一緒に棺へ納めても良いでしょう。ただし、メガネや金属など、燃えにくいものやガラス類は避けておきます。
8. 出棺準備
棺の蓋を閉じたら、棺は近親者数人で運び、式場から霊柩車へ運びます。このとき、喪主・遺族は位牌・遺影を持ちます。
9. 出棺挨拶
喪主または遺族代表が参列者へお礼の挨拶を行います。
10. 出棺
出棺の挨拶後、霊柩車の扉は閉じられ、長いクラクションとともに火葬場へ向けて出発します。
11. 火葬場へ移動
移動の際、喪主や遺族代表は、位牌・遺影を持ったまま霊柩車へ乗り、その他遺族・親族は、手配していればバスへ、していなければ自家用車に乗り、火葬場へ出発します。火葬場へ向かう際は、霊柩車が先頭です。
火葬の流れ
火葬とは、ご遺体を火葬場で焼いて遺骨にすることをいいます。ご遺体を葬る方法はさまざまですが、厚生労働省の報告によると、日本では99.9%が火葬です。
火葬については、「墓地、埋葬等に関する法律」により次のことが定められています。
- 埋葬または火葬は、死亡又は死産後二十四時間を経過した後行う
- 火葬は、火葬場でのみ許可されている
- 火葬の際は、市町村長が交付する「火葬許可証」が必要
- 埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地・納骨堂で行う
火葬の際、火葬場に「火葬許可証」を提出する必要があります。
一般に、臨終を確認した医師による「死亡診断書」を葬儀場のスタッフへ預けたら、代行で市町村役場にて「死亡届」の提出と同時に「火葬許可証」を取り寄せてくれます。葬式の終了時間を考慮して火葬の時間を予約しますが、これも葬儀場が代行してくれることが一般的です。
火葬許可証を提出することで火葬が許可されるので、火葬場への持参を忘れないようにしましょう。
ここでは、火葬の流れについて解説します。
- 納めの式
- 火入れ
- 葬儀場へ戻りお斎(火葬場で休憩をとる場合もあり)
- 火葬場へ移動
- お骨上げ
- 埋葬許可証の発行
- 帰宅
1. 納めの式
火葬の前に、故人の姿を見て最後のお別れをする「納めの式」があります。納めの式を行う場所は、火葬炉の前に棺が安置される場合と、お別れ用の別室が設けられている場合があります。火葬場によって異なるので、火葬場職員の案内に従ってください。
職員の説明の後、喪主から順番に焼香を行います。棺の窓が開けられているので、お顔を見ながら故人と最後のお別れをします。
2. 火入れ
火葬炉に棺が納められるのを、合掌しながら全員で見届けます。火入れを行うのは、喪主もしくは遺族代表です。火葬にかかる時間は、1時間から2時間です。火葬場の設備や故人の体型などによって異なります。
3. 葬儀場へ戻りお斎(火葬場で休憩をとる場合もあり)
葬儀場から火葬場までの距離が近い場合、待ち時間に葬儀場へ戻り、喪主は僧侶と参列者へお斎(おとき)をふるまいます。
お斎とは、もともと僧侶や出家者が決まった時間に食べる「斎食(さいしょく・さいじき)」に由来する言葉です。現代では、仏事の法要後に喪主が僧侶や参列者にふるまう食事を意味するようになりました。
火葬に要する時間が短い場合や火葬場が遠方の場合には、火葬場で休憩を取る場合もあります。その際、喪主は軽食やお菓子、飲み物を準備して参列者にふるまいましょう。
4. 火葬場へ移動
火葬が終わる頃になると連絡が来ます。葬儀場から火葬場へ戻る場合、今度は火葬場から直接帰宅することになるため、葬儀場での忘れ物などがないようにしましょう。
5. お骨上げ
お骨上げとは、火葬後、遺族や参列者が故人の遺骨を骨壺に納めることを意味します。お骨は足から順に頭の方まで拾います。
2人1組で一片のお骨を、各自の箸で一緒に挟んで拾い、骨壺に納めます。喪主から故人と血縁の深い順にお骨を拾っていき、1、2片拾ったら次の人へ箸を渡します。
骨壺には、最後に「のどぼとけ」を納めます。これは一般にいう喉仏とは違い、第2頸椎の「軸椎」という首の骨です。背骨の上から2番目にあり、男女ともに存在します。その形は、仏様が座禅を組んでいるように見えるため、「のどぼとけ」といわれています。
お骨上げも、地域によってやり方が異なります。1本を竹、もう1本を白木というように、異なる材質を使ったり、長さを互い違いにした箸でお骨上げをしたりする場合があります。また、お骨のすべてを骨壺に納める「全収骨」の地域や、一部を納めて残りを火葬場が引き取る「部分収骨」の地域があります。
お骨上げのときに「箸を渡す」ことは、「故人を三部の川の向こうへ無事に橋渡しする」という意味が込められています。
また、お骨上げに使う箸が互い違いなのは、お互いが接ぎ木でないことを表しており、故人との決別・お別れを意味するという説もあります。食事の際には無作法とされている箸の使い方でお骨上げをする理由は、日常生活と非日常となる死後の世界を反対にして捉えることで、不幸が続かないようにするとの意味も込められています。
なお、お骨上げは火葬後に故人のお骨を箸で拾い上げ骨壺に納めることが特徴で、日本独自に広まった慣習といわれています。海外では、火葬が行われても遺骨が粉砕機で細かくされるため、日本のようなお骨上げの慣習がありません。
6. 埋葬許可証の発行
お骨上げ、収骨が終わると、火葬場職員から遺骨とともに「火葬済証明印」が押された「火葬許可証」が渡されます。これが「埋葬許可証」です。お墓や納骨堂に遺骨を納める「納骨」の際に必要な書類なので、それまで大切に保管しましょう。
7. 帰宅
一般的には、骨壺を桐箱に納めて、専用の風呂敷に包んで遺骨を持ち帰ります。
地域や事情によっては、葬式の前に火葬をする場合があります。その場合は、一般的に葬式当日の朝火葬場へ行き、火葬→お骨上げの後、遺骨を葬儀場へ運び葬式を行います。故人のお顔を見てお別れするのは葬式前になるので、その旨を遺族へ連絡しておきましょう。
【参列者側】葬式へ参加する際のタイムスケジュール
続いて、一般的な仏式での、参列者側の葬式の流れについて解説します。
- 葬式の場所と日時の確認
- 受付
- 着席
- 開式
- 焼香
- 閉式
- 別れ花(棺に花を供える)
- 出棺準備
- 出棺見送り
1. 葬式の場所と日時の確認
故人の訃報を受けたら、葬式の場所と日時を確認します。遠方や慣れない土地だと思わぬアクシデントに遭う可能性も考えられるため、会場までの交通手段や所要時間など、式に間に合うよう事前に調べておきます。
葬式に参列できない場合は、通夜に赴くと良いでしょう。
2. 受付
式の30分から10分前くらいに会場へ到着し、受付を済ませます。受付前で芳名カードを記入し、カードとともに香典を受付へ渡します。
3. 着席
会場への案内があるまでは、ロビーで待機します。会場への案内が始まったら、祭壇に向かって左側へ着席します。右側は遺族・親族の席になります。
4. 開式
式の所要時間は1時間ほどです。定刻になると、葬儀場の司会進行者が開式を告げます。次に導師の僧侶紹介と、入堂のアナウンスがあり、僧侶着席後、読経が始まります。
5. 焼香
宗派ごとの式次第に基づきますが、司会の誘導に従って読経中に焼香を行うことが一般的です。喪主から順に血縁の濃い順で焼香を行いますので、参列者は遺族・親族の後、スタッフの案内に従って焼香を行いましょう。
6. 閉式
読経が終わり、僧侶が退出した後、喪主または遺族代表が参列者へ挨拶をします。弔電紹介は、喪主挨拶の前後で行われることが多いです。
司会進行者のアナウンスが、閉式を告げます。この後故人との最後のお別れをするために、会場の準備が始まります。遺族も参列者も、一旦退席して待ちます。
7. 別れ花(棺に花を供える)
会場の準備が整ったら、喪主から順番に、棺の中に花を供えて、故人と最後のお別れを行います。参列者は、遺族・親族の後、案内に従って故人にお別れを告げましょう。地域や事情によっては、葬式の前に火葬をする場合があります。
8. 出棺準備
棺の蓋を閉じたら、棺は近親者数人で運び、式場から霊柩車へ運びます。喪主または遺族代表が参列者へ挨拶をした後、霊柩車の扉が閉じられます。
9.出棺見送り
長いクラクションとともに、故人の棺を乗せた霊柩車と遺族が火葬場へ向けて出発します。参列者は、合掌して霊柩車と遺族を見送ります。
まとめ
一般的な葬式の流れを、遺族側と参列者側の視点でそれぞれ解説しました。
喪主は、自身をはじめ遺族や親族、故人の友人・知人など、参列する皆さんがきちんとお別れできるよう、また滞りなく式が進むよう配慮することが大切です。
とはいえ、悲しみの中で取り決めることや必要なことがたくさんあり、戸惑うことも多いかもしれません。そんなとき、葬儀場のスタッフは心強く、頼りになる存在です。
葬儀場に任せられることは極力お願いしましょう。故人との最後のお別れの時間を大切にすることが、故人への何よりの供養になります。
家族葬のアイリスでは、全国対応で葬儀のトータルサポートを行っています。ご家族がご危篤の際や、お亡くなりになってお困りの際などには、家族葬のアイリスまでお気軽にご相談ください。お問い合わせは24時365日、深夜や早朝を含めて受付中です。
最新の葬儀エピソード
- 【2024】親が死んだらすることは?やることリストをタイミング別に解説
- 納骨に適した時期はいつ?宗教別の納骨のタイミングと準備の流れをわかりやすく解説
- 納骨にかかる費用はどれくらい?納骨までの準備や流れと併せてわかりやすく解説
- 出棺の挨拶の例文は?エピソードは入れるべき?そのまま使える文例を紹介
- 直葬式とは?一般的な流れや費用、注意点をわかりやすく解説
- お葬式の時間はどのくらいかかる?全体の流れと所要時間をわかりやすく解説
- エンバーミングとは?処置の流れ、メリット・デメリットをわかりやすく解説
- 【2024】葬儀費用は平均どのくらい?費用の内訳、抑える方法と使える制度を解説
- 戒名とは?意味や位の一覧、値段の相場をわかりやすく解説
- 【2024】告別式とは?葬儀・通夜との違い、流れなどをわかりやすく解説