家族葬で呼ぶ参列者の範囲はどこまで?判断基準と呼ぶ人・呼ばない人への対応

家族葬で呼ぶ参列者の範囲はどこまで?判断基準と呼ぶ人・呼ばない人への対応

近年、葬儀は家族葬が主流になりつつあります。家族葬は参列者を限定する葬儀ですが、喪主になった場合、どこまでの範囲の人を呼ぶべきなのかは難しい問題です。呼ばない人へどのように対応すればよいのかも気になることでしょう。

今回は、家族葬ではどこまでの範囲の人を呼べば良いのか、判断基準について解説します。また、呼ぶ人・呼ばない人へどのように対応すればトラブルを避けられるのか紹介します。家族葬を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

家族葬とは

家族葬とは、西暦2000年頃から増えてきた葬儀の形態で、多くの人を呼ばずに家族や親族、親しい友人など、限られた人数で行う葬儀です。核家族化の進行や生活スタイルの変化などにより、親戚づきあいや近所づきあいが減少していることが、少人数で執り行う家族葬が増加している理由として考えられています。

家族葬では、参列者の数はおおむね50人以下の規模になるケースが多いといえます。家族葬に対して、参列者を限定せず、故人・遺族の関係者に広く声をかけて行う葬儀を「一般葬」と呼びます。

家族葬で呼ぶ範囲に決まりはない

家族葬は、基本的に呼ぶ人を限定するスタイルの葬儀です。誰を呼んで誰を呼ばないかについては、明確な決まりはありません。

「家族葬」と呼ばれていますが、必ずしも家族だけに限定する必要はなく、故人と親しかった人や会社関係者、近所の人を呼ぶケースもあります。

家族葬で呼ぶ範囲の決め方

家族葬で誰を呼ぶかは自由とはいえ、どこまでの範囲の人を呼べば良いのかは非常に悩ましい問題です。ここでは、家族葬へ呼ぶ範囲の決め方について解説します。

  • 故人の意向を尊重する
  • 血縁の近さで決める
  • 喪主・遺族の意向を尊重する
  • 葬儀の規模で決める
  • 故人・喪主の社会的立場を考慮する
  • 迷った場合は呼ぶ

故人の意向を尊重する

故人が生前に葬儀で招待してほしい人を明確に意思表示していた場合は、その意向を尊重しましょう。基本的にはごく近しい親族のみで葬儀を行ってほしいけれど、特にお世話になった人や長年親交のあった友人には来てほしいという望みがあるかもしれません。

エンディングノートで葬儀に呼んでほしい人が書かれていたり、故人と遺族の間で生前に葬儀に関する話し合いを行っていたりした場合などは、故人の意向に基づいて招待者を決定すると良いでしょう。

血縁の近さで決める

社葬や故人の友人・知人が主催するお別れの会などを除いて、多くの場合、葬儀は血縁関係のある人々を中心に執り行われます。血縁の近さで家族葬に呼ぶ範囲を決めるのは自然な考え方だといえます。

血縁関係の近さを表す指標には「親等」があります。親等の数え方は、世代を一つ経るごとに1を足します。本人を0とすると、親と子が1になるため、親子の間柄は1親等です。

以下に、1親から4親等までの間柄を示します。4親等に関しては多岐にわたるため、一般的に最も付き合いが深いと考えられるいとこのみを示しています。

  • 1親等:両親、子ども
  • 2親等:祖父母、孫、兄弟姉妹
  • 3親等:曾祖父母、叔父叔母、ひ孫
  • 4親等:いとこなど

配偶者は、本人と同じ関係なので0となります。したがって、配偶者の両親であれば自分の実の両親と同じく1親等、配偶者の兄弟姉妹は自分の実の兄弟姉妹と同じく2親等です。

親等が増えるほど血縁関係が遠くなるため、親等を目安に家族葬で呼ぶ範囲を決めるのはよくあることです。

喪主・遺族の意向を尊重する

故人の意向だけではなく、喪主や喪主以外の遺族の意向を尊重しなければならない場合もあります。3親等までは呼ぶが、いとこの中で特に親しくしている人にだけは声をかけるというケースもあり得ます。

葬儀の規模で決める

最初に葬儀の規模を決めてから、どこまでの範囲の人を呼ぶかを検討するのも一つの考え方です。葬儀の予算や参列者への対応の負担の大きさなどから、まずは葬儀の規模・式場の大きさ・人数を決めれば、スムーズに呼ぶ範囲を確定できるでしょう。

葬儀の規模ごとに、呼ぶ人の範囲はおおよそ次のとおりです。実際には亡くなった時点での故人の年齢や兄弟姉妹の数によって、該当する血縁者の数は異なります。

葬儀の規模 呼ぶ範囲(故人から見た関係)
10人前後 故人の配偶者、親、子、孫、兄弟姉妹
20人前後 故人の配偶者、親、子、孫、兄弟姉妹、甥・姪
30人前後 故人の配偶者、親、子、孫、兄弟姉妹、甥・姪、故人と特に親しかった人

故人・喪主の社会的立場を考慮する

故人が会社の社長などの重要なポジションであった場合などは、家族葬であっても会社関係者を呼ぶことを検討しなければなりません。喪主に関しても同様です。

会社の人を呼ぶ場合、数名の代表者に限定することで人数を抑えられます。

迷った場合は呼ぶ

もし呼ぶかどうか迷った場合は、呼ぶ方が無難です。呼ばれなかったことで気分を害する人はいますが、呼ばれたことで気分を害する人はあまりいないと考えられるためです。

家族葬に呼ぶ人の優先順位

これまで、家族葬で呼ぶ範囲の決め方について解説しました。それ以外にも、一般的に葬儀で呼ぶ人の優先順位を考慮する必要があります。

同居家族

最も優先すべきなのは同居家族でしょう。

同居している家族はほとんどの場合、最も血縁の濃い関係にあります。現代の家庭で同居する家族は、親・子・孫の3世代で多くても7〜8人程度がほとんどでしょう。

家族葬を行う場合、最低限として同居家族が葬儀に参列するのが一般的です。もし、故人と喪主が離れて暮らしていた場合は、どちらの同居家族も参列すると良いでしょう。

2親等以内の親族

同居家族以外に優先すべき対象は、2親等以内の親族です。先ほど解説したように、2親等以内の親族は、配偶者・両親・子ども・祖父母・孫・兄弟姉妹が該当します。

配偶者以外は、たいていの場合、かつて一緒に暮らしたと考えられる人たちです。一緒に生活した人は、故人に対して特別の思いを持っていると考えられます。できれば、2親等以内の親族は家族葬に参列をお願いした方が良いでしょう。

付き合いの深い親戚

2親等以内でなくても、普段、付き合いの深い親戚は招待の対象になります。故人の兄弟姉妹を呼ぶ場合、その子ども(故人から見て甥・姪)も呼ぶことを考えなければなりません。

喪主が故人の子供であった場合、故人の甥・姪は喪主にとってはいとこです。いとこ同士の場合、子どもの頃からの付き合いがあることが多いでしょう。また、叔父・叔母といとこが同居している場合は、一緒に招待するのが自然な考えです。

故人と特に親しかった人

故人と親しかった友人・知人も呼ぶかどうかを検討しましょう。

特に、亡くなる直前まで故人と親交のあった人や、病気療養中にお見舞いに来てくれた人は、故人にとっても遺族にとっても大切な存在です。家族葬であっても、家族・親戚だけの葬儀にこだわる必要はありません。

喪主・遺族と関係の深い人

喪主や遺族と関係の深い人も参列の対象になります。

喪主が会社勤めをしていれば、自分の家族が亡くなって会社を休むことは当然連絡しなければなりません。かつて上司や同僚の家族が亡くなった際に自分が招待されたケースであれば、逆に自分の家族の葬儀にも招待することを検討する必要があります。

地域コミュニティの関係者

かつては、葬儀は自宅ですることが一般的で、自治会などを中心とする近所の人の助けを借りて執り行っていました。今でも地方ではまだその風習が残っている地域もあるようです。

しかし、現在では多くの場合葬儀社に依頼して葬儀を行うので、近所の人の手を借りることは減っています。とはいえ、親密に付き合いをしている近所の人がいるのであれば、参列をお願いしましょう。

また、自治会に加入している場合、亡くなると自治会の規定で香典(慶弔見舞金)が出るケースがあります。一般からの香典を辞退しているケースでも、組織や会社の規定で出ることになっている香典は、受け取ってもかまいません。断ると、かえって相手も処理に困惑します。

葬儀前に連絡すると、相手も葬儀に出席しなければならないと考える可能性があります。そのため、葬儀が終了してから自治会関係者に連絡すると良いでしょう。

家族葬に呼ぶ人への連絡方法

家族葬へ呼ぶ人への連絡方法には、十分注意する必要があります。ここでは、家族葬に呼ぶ人への連絡方法について解説します。

できれば電話で伝える

家族葬に呼ぶ人は、基本的には故人や喪主・遺族と親しい間柄の人がほとんどです。できれば電話で直接本人に伝えましょう。その際、葬儀に呼ばない人とのトラブルを避けるために、亡くなったことを他の人に口外しないように伝えなければなりません。

故人とかつて一緒に暮らしていたような関係の人(基本的には2親等以内程度で、故人の配偶者、親、子、孫、兄弟姉妹など)には、葬儀に参列してもらうのであれば危篤の時点で連絡をしておきましょう。もちろん、急に亡くなった場合はその限りではありません。

故人の臨終を見守る人は、時間的にも精神的にも余裕がない状態だと考えられます。連絡すべき関係者が多くて大変なときは、親戚のうち誰か一人に他の人への連絡をお願いすると良いでしょう。

メール・SNS・FAXも活用する

メールやLINEなどのSNS、FAXでの訃報連絡も失礼ではありません。状況に応じてうまく活用してください。

また、口頭で伝えると正確に情報が伝わらない可能性があります。特に葬儀の日程や場所、地図などは電話よりも文字のほうが正確に伝わります。

電話で伝えた相手にも、改めて葬儀の日程をメールなどで伝えると良いでしょう。その際、家族葬で行うことと供花・供物・香典を辞退するかどうかも忘れずに記載しましょう。

メール・SNS・FAXは、時間を選ばずに伝えられる利点がある一方、相手が確実に情報を受け取ったかどうかがわからないため注意が必要です。

家族葬に呼ばない人への対応方法

のちにトラブルになるのを避けるためには、家族葬に呼ばない人にいつどのように連絡するのか慎重に検討しなければなりません。基本的には、葬儀に呼ばない人には葬儀が終わってから連絡します。ここでは、家族葬に呼ばない人への対応方法について解説します。

葬儀前の連絡方法①:参列辞退をお願いする

家族葬に呼ばない人に対しては葬儀後に連絡することが一般的ですが、葬儀前に連絡する場合には次の点に注意してください。

  • 故人の意向により、近親者のみで葬儀を行う
  • 参列や厚意(供花・供物・香典)は辞退する
  • ほかに人には、亡くなったことを知らせないようにお願いする
  • 生前お世話になったことに感謝の意を伝える

実際には家族葬に呼ばない理由はさまざまですが、「故人の遺志」であるという点をうまく説明すれば気分を害することなく納得してくれるでしょう。

葬儀前の連絡方法②:葬儀の日時・場所を伝えない

葬儀前に連絡する際には、参列辞退をお願いするほかに、葬儀の日時と場所を伝えないことも重要です。連絡後に葬儀をいつどこで行うのか問い合わせがあった場合は、家族葬なので参列を辞退する旨を丁寧に説明しましょう。

葬儀後の連絡方法①:葬儀後の挨拶状

家族葬に呼ばない人には、葬儀が終わった後に連絡する方が無難です。報告は電話やメールでも問題ありませんが、ここでは最も一般的な挨拶状(死亡通知)による報告を紹介します。

葬儀後の挨拶状は、手紙とはがきのどちらでも問題ありません。文面には、次の要素を記載します。

  • 故人が亡くなった報告(死去した日付も含める)
  • 葬儀はすでに終了している
  • 事前に知らせなかったことのお詫び(故人の意向によって家族葬にした)
  • 生前お世話になったことに対する感謝

挨拶状を送付する時期に関しては特に決まりはありませんが、葬儀後10日〜2週間後に出すことが一般的です。挨拶状を受け取った相手が気分を害さないよう、事前に連絡しなかった理由と知らせなかったことのお詫びは必ず伝えましょう。

連絡しなかった理由は、「故人の生前の意向」とするのがもっとも無難です。弔問や供物・供花・香典を辞退する場合は、その旨も明記します。

葬儀後の連絡方法②:喪中はがき・寒中見舞い

遠い親戚や故人の友人・知人など、普段それほど親交がなく年賀状のやり取りだけを行っているような人に対しては、喪中はがきで亡くなったこと伝えるケースもあります。

また、故人あてに年賀状が届いた場合、寒中見舞いを出すのがマナーです。寒中見舞いには、次のような内容を盛り込んでください。

  • 時候のあいさつ
  • 年賀状をもらったお礼
  • 故人が亡くなった報告
  • 連絡が遅れたお詫び
  • 生前の厚情に対する感謝

どうしても参列したいと言われた場合の対応

家族葬への参列をお断りしたにもかかわらず、ぜひ参列したいと言われる場合があります。はっきりとしたルールがあるわけではないため、基本的には喪主や遺族が個々のケースに応じてどうすべきかを判断しなければなりません。

葬儀の前に申し出があった場合は、相手に対する感謝の気持ちを表明するとともに、丁寧に理由を説明しましょう。あるいは、参列の代わりに供花や弔電をお願いする方法もあります。

招待していない人が参列した場合の対応

葬儀当日、招待していない人が直接式場に来る場合もあります。原則として受付でお断りするべきですが、わざわざお悔やみに来た人を追い返すのは失礼になる可能性も否定できません。最終的には遺族で判断すべきことですが、快く受け入れても良いでしょう。

家族葬で呼ぶ範囲を限定するときの注意点

続いて、家族葬で呼ぶ範囲を限定するときの注意点を解説します。

  • 呼ばれなかった人から不満があがる
  • 親戚の理解を得られない
  • 葬儀後の弔問が増える

呼ばれなかった人から不満があがる

家族葬で呼ぶ範囲を限定すると、呼ばれなかった人が不満に思う可能性があります。不満を避けるには、家族葬で呼ぶ・呼ばないの基準を明確にしておくことが重要です。判断基準をきちんと説明すれば、相手は納得してくれると考えられるためです。

また、同じ立場の人が複数いる場合、呼ぶ人と呼ばない人に分けるのはトラブルのもとです。たとえば、故人(または喪主などの遺族)の勤務先で同じ部署に所属する同僚のうち、呼ぶ人と呼ばない人に分けるのはできれば避けた方が良いでしょう。

故人と同じ血縁関係、たとえば故人の甥・姪などの場合でも同じことがいえます。甥・姪の中でも参列しやすい近県の人にだけ来てもらうなど、明確な基準を設ける必要があります。

親戚の理解を得られない

かつては、多くの親戚や会社関係者に声をかけ、参列したい人には自由に参列してもらう一般葬が葬儀の主流でした。しかし、今では葬儀のおよそ半分以上が家族葬といわれているため、参列辞退に対してそれほど抵抗はなくなっています。

とはいえ、特に高齢の親戚の中には、理解をしてくれない人が出てくるかもしれません。「故人のたっての希望だった」ということをしっかりと説明し、納得してもらえるように努力しましょう。

葬儀後の弔問が増える

家族葬で参列者を限定すると、呼ばれなかった人が葬儀後に自宅まで弔問に訪れる可能性があります。

自宅で個別に弔問客の対応をすることも、遺族にとっては大きな負担になります。何人もが弔問に訪れると、むしろ葬儀に来てもらった方が負担が少なかったのではないかというケースもありえます。

家族葬で呼ぶ範囲を決める際は、葬儀後の弔問がありそうかどうかも判断材料にした方が良いでしょう。

家族葬で呼ぶ範囲は生前に話し合っておく

近年、「終活」ということばが定着し、生前に自分の葬儀や埋葬方法についての希望を家族に伝えるケースが増えてきました。できれば、家族葬に誰を呼んでほしいのか、どこまでの範囲を呼ぶのかを家族で話し合っておくと良いでしょう。

ごく限られた少人数での葬儀を希望する場合は、呼ばない予定の親戚の人に対してもきちんと説明しておくと、後々のトラブルを避けられます。

葬儀は、遺族だけではなく故人と関係の深かった人々が「故人の死を悼み、一連の葬送儀礼を通じて故人の死を受け止め、気持ちに整理をつける」ための儀式です。多くの人に納得してもらえるような家族葬にするためにも、生前によく話し合っておくことが非常に重要です。

まとめ

家族葬は少人数で執り行う葬儀の形態ですが、どこまでの範囲の人を呼ぶのかには決まりがありません。今回お伝えした内容を参考にして、喪主・遺族が相談して呼ぶ人・呼ばない人を決めてください。

あとになって呼ばない人から不満が出ないように、連絡の仕方にも注意が必要です。できれば故人が元気なうちにどのような葬儀にするかを話し合い、親戚などにも理解しておいてもらいましょう。

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