【2025】死産の場合の火葬までの流れは?届出、供養方法などをわかりやすく解説
墓地、埋葬等に関する法律により、死産をした場合には、ご遺体は火葬の対象となります。
では、法律上、死産はどのように定義されているのでしょうか?また、死産の場合、火葬まではどのような流れで進行するのでしょうか?
今回は、法律上の死産の定義や火葬までの流れ、死産で火葬をする際の注意点などについてくわしく解説します。
法律上の死産の定義
法令上の死産に分類されるか否かによって、その後の手続きなどが異なります。そのため、はじめに死産の定義を理解しておかなければなりません。
死産の定義については、「昭和21年厚生省令第42号 死産の届出に関する規程」の2条に定められています。これによると、死産と流産は次のとおり分類されます。
- 妊娠4か月(12週)以後における死児の出産:死産
- 妊娠4か月(12週)未満における死児の出産:流産
つまり、亡くなった赤ちゃんの出産が妊娠12週以後であったかこれ未満であったかによって、死産であるか流産であるかが異なるということです。
なお、医学上の死産の定義は法令とは異なっており、次のように分類されます。
- 妊娠6か月(22週)以降:死産
- 妊娠4か月(12週)以降6か月(22週)未満:後期流産
- 妊娠4か月(12週)未満:初期流産
そのため、医師などが「死産」と判断した場合、法律上も死産に該当します。一方で、医師などが流産と呼称する場合であっても、法律上は死産に該当する場合があります。
以後、この記事では法律上の定義をもとに解説を進めます。
死産の場合における火葬までの手続きの流れ
死産の場合、火葬までの手続きはどのような流れとなるのでしょうか?ここでは、基本の流れを解説します。
- 死産届または死亡届を提出する
- ご遺体を安置する
- 葬儀をするか否かを決める
- (葬儀をする場合)葬儀をする
- 火葬する
死産届または死亡届を提出する
妊娠4か月(12週)以降に死産をした場合、市区町村役場に死産届または死亡届を提出しなければなりません。いずれを提出すべきであるかは、次によって区分されます。
妊娠週数 | 母胎内で死亡 | 出産後に死亡 |
12週以降22週未満 | 死産届 | |
22週以降 | 死産届 | 死亡届 |
なお、死亡届を出すべき場合には出生届も出さなければならず、名前を付ける必要もあります。また、この場合には戸籍にも掲載されます。
なお、これらの提出期限は、死産日を含めて7日以内です。ただし、死産届や死亡届を出さなければ火葬許可証が受け取れず、火葬をすることができません。そのため、早期の提出をおすすめします。
なお、葬儀社に葬儀の施行を依頼した場合には、葬儀社の担当者が届出を代行することも多いでしょう。
ご遺体を安置する
ご遺体を安置場所まで運んで、安置します。死産の場合、安置場所は産院またはご自宅となることが多いでしょう。
葬儀をするか否かを決める
ご遺体を安置したら、お葬式について検討します。死産の場合はお葬式を行わず、火葬だけをする場合も少なくありません。
主な選択肢は、次のとおりとなるでしょう。
- お葬式を行ってから火葬する
- 宗教者を手配して、火葬炉の前で読経をしてもらい火葬する
- 火葬だけを行う
お葬式についてお悩みの際には、家族葬のアイリスまでお気軽にご相談ください。家族葬のアイリスは全国対応で葬儀のトータルサポートを行っており、24時間365日体制でご連絡をお受けしています。
また、火葬のみを行う「火葬式プラン」なども設けており、プランにはお棺やドライアイス費用などを含んでおります。火葬のみを行う場合であっても、葬儀社へ依頼することで、自身で棺やドライアイス、火葬場までの搬送手段などを手配する必要がなくなりスムーズです。
(葬儀をする場合)葬儀をする
葬儀を行う場合には、葬儀を施行します。明確な決まりはないものの、死産の場合には葬儀をする場合であっても、家族だけで小規模なものとすることが多いでしょう。
火葬する
火葬場へ向かい、火葬をします。葬儀をしない場合、宗教者を手配して火葬炉の前で読経をしてもらうことも可能です。また、赤ちゃん用の小さな骨壺を用意してもらえるか、葬儀社に確認しておくとよいでしょう。
火葬に要する時間は大人の場合で1時間から2時間程度です。死産の場合にはご遺体が非常に小さいため、短時間で火葬が終わることとなります。
死産で火葬をする際の注意点
死産で火葬については、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?ここでは、主な注意点を3つ解説します。
- 死後24時間は火葬ができない
- 遺骨を残せないことがある
- 副葬品は入れられない可能性が高い
死後24時間は火葬ができない
1つ目は、スケジュールに関する注意点です。
火葬に関するルールは、「墓地、埋葬等に関する法律(以下、「墓地埋葬法」といいます)」で定められています。この法律により火葬の対象となるのは「死体」であり、死体には「妊娠4か月以上の死胎」を含むとされています(墓地埋葬法2条2条1項)。
そのため、そもそも妊娠4か月未満(つまり、流産)の場合はこの法律による火葬の対象とはなりません。
そして、火葬は死亡または死産から24時間を経過した後でなければ行えないとされています(同3条)。ただし、これには例外が付されており、妊娠7か月未満の死産は火葬までの期間に制限がありません。
これらを整理すると、次のとおりとなります。
- 妊娠4か月未満:墓地埋葬法による火葬の対象外
- 妊娠4か月以上7か月未満:墓地埋葬法の規定の遵守は必要だが、死産後すぐにでも火葬ができる
- 妊娠7か月以降:死産後24時間は火葬ができない
そのため、妊娠7か月以降の場合は死産であってもすぐに火葬をすることはできず、少なくとも24時間はご遺体を安置しなければなりません。そのため、安置場所についても検討する必要があるでしょう。
遺骨を残せないことがある
2つ目は、火葬後に遺骨を残せない可能性があることです。
胎児は非常に小さく、火葬後に遺骨を残せないことも少なくありません。胎児専用の火力の弱い火葬炉を設置している火葬場もあるものの、費用が高額となる傾向にあります。
お骨が当然に残ると考えていると、残せなかったときの落胆は大きくなってしまうでしょう。そのため、遺骨は残せない可能性があることは念頭に置いておいてください。
遺骨が残せなかった場合に備え、火葬前に小さな手形や足形を残したり、胎児に髪が生えていた場合にはその髪を切って残しておいたりすることなども一つの方法です。
副葬品は入れられない可能性が高い
3つ目は、副葬品は入れられない可能性が高いことです。
先ほど解説したように、胎児の遺骨はただでさえ残せない可能性があります。そこに副葬品を入れてしまうと、火葬の妨げとなったり、せっかく残った遺骨を拾いづらくなったりするおそれがあるでしょう。
そのため、死産の火葬では副葬品は入れられないことが一般的です。
死産で火葬をする際の服装は?
死産で火葬をする場合、どのような服装で参列すればよいのでしょうか?ここでは、基本の服装を解説します。
女性
女性は、黒や濃紺のワンピースやアンサンブル、フォーマルスーツを着用するのが基本です。
アクセサリーは、結婚指輪と一連パールのネックレスだけに留めます。靴やバッグ、ストッキングなども黒で統一しましょう。また、化粧は控えめにします。
男性
男性は、黒や濃紺のスーツに白のワイシャツ、黒のネクタイを着用するのが基本です。靴下や靴なども、黒で統一しましょう。また、結婚指輪以外のアクセサリーは外します。
死産の場合の火葬後の主な供養方法
死産で火葬をしたら、その後はどのような形で供養をすればよいのでしょうか?最後に、主な供養の方法を6つ紹介します。
- 納骨する
- 水子供養をする
- 塔婆供養をする
- ミニ骨壺に納める
- ミニ仏壇に安置する
- 遺骨ペンダントなどにする
納骨する
1つ目は、大人が亡くなった場合などと同様に、お墓に納骨する方法です。菩提寺がある場合には、この方法が有力な選択肢となるでしょう。
なお、菩提寺がある場合、葬儀や火葬においてそのお寺の僧侶に読経を依頼していなければ納骨ができない可能性があります。そのため、納骨を予定している場合には、火葬前に菩提寺に相談しておくことをおすすめします。
水子供養をする
2つ目は、水子供養をする方法です。「水子(みずこ)」とは、死産や流産などで出生前に亡くなってしまった赤ちゃんを指します。
死産や流産の場合には、赤ちゃんが無事に成仏できるよう水子供養をすることがあります。水子供養を希望する場合には、水子供養を行っている寺院などに相談してみるとよいでしょう。
なお、菩提寺の僧侶などに読経をしてもらった場合などには、必ずしも水子供養をする必要はありません。一方で、菩提寺で供養を受けたからといって水子供養をしてはいけないわけではなく、何度も供養をしても構いません。
塔婆供養をする
3つ目は、塔婆(とうば)供養をする方法です。
塔婆(卒塔婆)とは、供養をするために、お墓の後ろや脇などに立てる木の板を指します。サンスクリット語でお釈迦様の遺骨を祀った仏塔を指す「ストゥーパ」を音写したものです。
塔婆供養も水子供養の一種であり、水子地蔵様に塔婆をお供えする供養を指します。塔婆には、赤ちゃんの名前などを記載することが一般的です。
ミニ骨壺に納める
4つ目は、ミニ骨壺に収めて自宅などに安置する方法です。
赤ちゃんの遺骨を残せた場合、これを手のひらサイズの小さな骨壺(ミニ骨壺)に納め、自宅に安置することが可能です。パステルカラーなどかわいらしいデザインのものも多いため、自宅のリビングなどにも馴染みやすいといえます。
赤ちゃんの遺骨と離れがたい場合や亡くなった赤ちゃんを一人にしたくないと考えている場合などには、この方法が有力な選択肢となるでしょう。
ミニ仏壇に安置する
5つ目は、ミニ仏壇に安置する方法です。
一般的な仏壇は、大きくて非常に存在感のあるものです。住宅事情によっては、このような従来の仏壇を設置することが難しい場合も多いでしょう。
そこで、リビングなどの棚の上などに設置できるサイズの「ミニ仏壇」を用意する場合があります。ミニ仏壇はデザインもさまざまであり、従来の仏壇を小さくしたようなデザインのものもある一方で、モダンなデザインのものも少なくありません。
ミニ仏壇にミニ骨壺を安置する場合もあれば、お骨を残せなかった場合などにモニュメントや仏具などを安置する場合もあります。
遺骨ペンダントなどにする
6つ目は、遺骨ペンダントなどとする方法です。
遺骨ペンダントとは、遺骨や遺灰を納められるスペースのあるペンダントのことです。一見して遺骨が入っているとはわからないものが多く、赤ちゃんといつでも一緒に過ごせる点がメリットでしょう。
また、遺骨や毛髪をダイヤモンドに加工し、これを身に着ける方法もあります。費用は高額となりやすいものの、亡くなった赤ちゃんを身近に感じられる方法の一つです。
遺骨を残せなかった場合であっても、毛髪があれば加工できる可能性があるため、ご希望の場合には遺骨ペンダントの制作を手掛けている企業に確認するとよいでしょう。
まとめ
死産の場合における火葬のルールや、火葬までの一般的な流れ、火葬後の供養方法などを解説しました。
赤ちゃんが母胎の中で亡くなった場合、妊娠週数が12週以上であるか12週未満であるかによって「流産」と「死産」に分類されます。そして、死産の場合には火葬が必要となり、「墓地埋葬法」の規定に従わなければなりません。
なかでも妊娠7か月以降の死産では、死産をしてから24時間は火葬ができないため、安置場所についても検討する必要があります。
死産の場合には一般的な葬儀などは行わず、家族で火葬だけをすることも少なくありません。直接火葬場に予約をして火葬を行うこともできる一方で、その場合には棺やドライアイス、骨壺なども自身で手配する必要が生じます。
赤ちゃんを亡くした悲しみの中、スムーズに火葬を執り行うためには、葬儀社に依頼することも検討するとよいでしょう。
家族葬のアイリスでは全国対応で葬儀のトータルサポートを行っており、死産をされた場合の火葬や葬儀についても対応が可能です。死産による火葬でお困りの際や、葬儀について相談したい際などには、家族葬のアイリスまでお気軽にご連絡ください。
お電話は24時間365日いつでも対応可能であり、深夜や早朝であってもご遠慮いただく必要はありません。
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