老衰の死亡までの期間は?家族ができる準備やケアをわかりやすく解説

大切な家族に老衰の兆候が表れた場合、残された時間はどの程度なのか、今自分は何をすべきかなどと不安に感じてしまうことでしょう。
では、老衰の兆候が表れてから死亡するまでの期間は、どのくらいなのでしょうか?また、老衰で死亡するまでの期間に、家族はどのような準備をすればよいのでしょうか?
今回は、老衰の概要や老衰で死亡するまでの期間、亡くなる前に行うべき準備などについてくわしく解説します。
なお、「家族葬のアイリス」は全国対応で葬儀のトータルサポートを行っており、葬儀に関するご相談を24時間365日体制でお受けしています。
ご家族の葬儀についてお困りの際は、家族葬のアイリスまでお気軽にご相談ください。
老衰の概要
はじめに、老衰の概要について解説します。
老衰とは
厚生労働省が公表している「死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」によると、老衰による死亡とは、高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死を指します。ただし、老衰から他の病態を併発して死亡した場合は、医学的因果関係に従って死亡診断書の死因を記載すべきとされています。
老衰する人の割合
厚生労働省が公表している「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、死亡した人のうち老衰が原因であった人の割合は12.1%です。なお、死因の1位は「悪性新生物」で24.3%、2位は「心疾患(高血圧性を除く)」で14.7%であり、次いで3位が老衰となっています。
「老衰」と判断され得るのは何歳から?
先ほど解説したように、老衰とは「高齢者」の死亡のうち、他に記載すべき死亡の原因がない場合の死亡を指します。「高齢者」の定義は状況によって異なるものの、老年医学上は65歳以上が高齢者であるとされています。つまり、65歳以上の人の死亡のうち、他に記載すべき死亡の原因がない場合が「老衰」に該当するということです。
老衰の一般的な前兆
老衰によって死に至る前には、一定の前兆があるとされています。ここでは、主な前兆を紹介します。
- 身体機能の低下
- 食事量の減少
- 睡眠時間の増加
- 体重の減少
なお、ここで紹介するものはあくまでも老衰の前兆として生じ得るものであり、これらの症状が出たからといって必ずしも老衰の前触れ(他の問題がない)ということではありません。他の病気の症状である可能性もあるため、気になる症状がある際には必ず医療機関を受診してください。
身体機能の低下
老衰の進行に伴い、身体機能が低下します。これまでであれば難なくできた動作が困難となったり、物を持ちづらくなったりします。また、目が見えにくくなったり耳が聞こえづらくなったりすることもあります。
食事量の減少
身体機能の低下により内臓機能も低下するため、食事の量が少なくなります。これは、筋力の低下によって飲み込む力が衰えるほか、味や香りを感じづらくなることも原因であるようです。
睡眠時間の増加
老衰が進行すると脳の機能も低下するため、睡眠時間が長くなります。わずかな動作でも非常に疲れやすくなることから、亡くなる直前などでは1日のほとんどの時間を睡眠に費やすことも多いでしょう。
体重の減少
老衰が進行すると、体重が急激に減少します。これは、食事量の減少に加え、筋肉量の減少にも起因しています。
老衰の前兆から死亡するまでの期間
老衰の前兆が生じてから死亡するまでの期間は個人差もあるため、一概にいえるものではありません。ただし、口からの食事(経口摂取)ができなくなった場合において、延命治療をしない場合には、1週間程度で死に至るとされています。また、最初の兆候が表れてから亡くなるまでであれば、もう少し猶予があるでしょう。
老衰で死亡するまでの期間に家族が行いたいケア
老衰では突然亡くなるものではなく、徐々に身体機能が衰えて最終的に死に至るものです。大切なご家族が衰弱し、全身で死の準備をしていく様を目の当たりにするのは、辛いことでしょう。しかし、他の死因の場合と比較して、準備期間がとりやすいとの見方もできます。
そこでここでは、老衰の兆候が表れてから亡くなるまでの期間に家族が行いたい主なケアをまとめて紹介します。
- 積極的にコミュニケーションをとる
- 転倒などの危険を取り除く
- 身体を清潔に保つ
- 食べやすい食事を用意する
- 快適な環境を整える
積極的にコミュニケーションをとる
老衰の兆候が現れたら、それまでよりも積極的にコミュニケーションをとりましょう。
遠方に住んでいる場合や仕事が忙しい場合などには、それまで十分なコミュニケーションが取れていなかった場合も少なくないでしょう。また、一緒に暮らしていたり近くに暮らしていたりしても、「いつでも会える」と考えて面と向かっての会話が少ない場合もあるかもしれません。
しかし、時間は有限であり、老衰の兆候が現れた場合にはカウントダウンが始まっています。後悔のないよう、伝えたい想いを伝えるなど、積極的にコミュニケーションをとることをおすすめします。
転倒などの危険を取り除く
老衰の進行に伴って身体機能が低下することは、先ほど解説したとおりです。とはいえ、まだ自分で何とか歩くことができているうちは、亡くなるまでには少し猶予がある可能性が高いでしょう。
しかし、家の中で転倒して骨折するなどしてしまうと自分で動くことが難しくなり、横になっている時間が長くなることで老衰の進行が早まる可能性もあります。また、人生の終末期において骨折などで痛い思いをさせることは、できるだけ避けたいことでしょう。
高齢となれば小さな段差で躓く可能性も高くなるほか、何もないところで転ぶ可能性もあるため、転倒の危険をゼロとすることは困難です。それでも、少しでも転倒の可能性を減らすため、段差にスロープを設置したり手すりを設置したりするなど、可能な対策を講じるとよいでしょう。
身体を清潔に保つ
老衰が進行して身体機能が衰えると、自身で入浴をしたりトイレで排泄をしたりすることが困難となります。これにより身体の清潔を保てなくなってしまうと、感染症にかかったり褥瘡(じょくそう・いわゆる「床ずれ」)の原因となったりする可能性があります。
また、清潔な状態が保てないことは、尊厳の面でも適切とはいえません。そのため、家族など周囲の人が、身体の清潔に配慮する必要が生じます。
とはいえ、入浴介助や排泄の介助には相当の力が必要であるほか、専門的な知識も必要です。そのため、無理に家族だけで行おうとするのではなく、ケアマネジャーや地域包括支援センターなどに相談をして支援を受けることも検討するとよいでしょう。
また、風呂場の段差が高い場合には介助による入浴は困難であるため、専用の簡易浴槽を用意してもらえるサービスもあります。
食べやすい食事を用意する
先ほど解説したように、老衰が進行すると飲み込む力が弱くなり、通常の食事をとることが困難となります。可能な限り口からの栄養摂取を続けるには、食べやすい食事を用意する必要があるでしょう。
固形物の摂取が困難であっても、離乳食のようなペースト状の食事であれば摂れる可能性があります。食事が困難な際は無理に家族だけで抱え込まず、早い段階でかかりつけ医へご相談ください。
快適な環境を整える
老衰の兆候が見られたら、できるだけ快適な環境を整えましょう。老衰が進行すると、光や音、部屋の温度などさまざまな変化に敏感になることがあるとされているためです。
たとえば、カーテンなどで快適な光や風を取り入れたり、室温の調整に配慮したりすることなどが検討できます。また、好きな音楽がある場合にはこれをかけてあげることで、リラックスした気持ちで過ごしやすくなるでしょう。
老衰で死亡するまでの期間に行うべき主な準備
他の原因による死亡の場合と比較して、老衰の場合には事前に兆候が見られることから、「死」への準備を整えやすいともいえます。
老衰が進行している大切な家族を前にして死について考えることは、不謹慎であるように感じるかもしれません。しかし、当然ながら本人の気持ちに配慮する必要はあるものの、準備をすることなく亡くなった場合には大きな困りごとが生じる可能性があります。
また、本人の希望がわからず、かなえられなかったことを後悔する可能性もあるでしょう。そのため、可能な範囲で準備を進めておくことをおすすめします。ここでは、老衰の兆候が見られた際に、死亡までの期間に行いたい準備を紹介します。
- 延命治療の意思を確認する
- 葬儀の希望を確認する
- お墓の希望を確認する
- 保険証券や預金通帳などの保管場所を確認する
- 遺言書を書いてもらう
- 感謝を伝える
延命治療の意思を確認する
1つ目は、延命治療の意思を確認することです。
老衰が進行しても、延命治療をすることである程度寿命を延ばすことはできるでしょう。しかし、延命治療への考え方はさまざまであり、少しでも延命を望む人がいる一方で、延命治療などしてほしくないと考えている人もいます。
また、死が具体的にイメージしづらい状況での希望と、老衰の兆候が出始めた状況での希望は異なる可能性があります。本人が意思を伝えることが難しいと最終的には家族が判断するほかないものの、本人の希望が分かっていれば、これを尊重した判断がしやすくなるでしょう。
延命治療の選択は非常に心苦しいものであり、家族だけでこの判断を抱えることは容易なことではありません。延命治療を選択しても選択しなくても、何らかの後悔は残る可能性があるためです。
本人の希望に沿った選択を実現し、かつ家族の心理的負担をできるだけ軽減するために、可能な限り本人の想いを確認しておくことをおすすめします。
葬儀の希望を確認する
2つ目は、葬儀の希望を確認することです。
葬儀の希望は、人によってさまざまです。「お世話になった人を招いて盛大にやってほしい」という人もいれば、「できるだけ静かに、家族だけで見送ってほしい」と考える人もいます。
また、なかには互助会に入っており、葬儀費用を積み立てている場合もあるかもしれません。このような希望を聞いておくことで、本人の希望に沿った葬儀を実現しやすくなります。
併せて、葬儀に呼んでほしい人についても確認しておくとよいでしょう。たとえ家族であっても、本人の交友関係や知人の連絡先などをすべて把握できているとは限りません。葬儀に呼んでほしい人を確認しておくことで、本人が望む相手に葬儀のお知らせをしやすくなります。
家族葬のアイリスは全国対応で葬儀のトータルサポートを行っており、希望に沿った葬儀を実現するため、「一般葬プラン」や「家族葬プラン」などさまざまな葬儀プランを設けています。また、各プランにはそのプランでの葬儀施行に最低限必要な物品やサービスがすべて含まれているため、不明瞭な追加料金がかかる心配もいりません。
大切なご家族を見送るため、信頼できる葬儀社をお探しの際は、家族葬のアイリスまでお気軽にご相談ください。お電話は24時間365日お受けしており、ご存命中のご相談も可能です。
お墓の希望を確認する
3つ目は、お墓などの希望を確認することです。
代々のお墓や先に亡くなった配偶者のお墓などがある場合には、その墓に入ることを想定している場合が多いでしょう。しかし、なかには「代々のお墓には絶対に入れてほしくない」と考えている場合もあります。
また、お墓がない場合には、さまざまな方法からお骨の行き先を検討する必要があります。代表的な選択肢は、次のとおりです。
- 新たにお墓を建立して埋葬する
- 永代供養とする
- 納骨堂に納める
- 海洋や山岳などに散骨する
- 手元供養とする
本人の希望を聞いておくことで、希望に沿った埋葬がしやすくなります。また、なかには本人から「すでに〇〇納骨堂に永代供養を申し込んである」「〇〇寺にお墓を立てた」など、新たな情報が得られる場合もあるでしょう。
保険証券や預金通帳などの保管場所を確認する
4つ目は、保険証券や預金通帳などの保管場所を確認することです。
保険証券や預金通帳がなければ、ご逝去後の手続きが煩雑となります。特に預金などは銀行をまたいだ「名寄せ」の制度が存在せず、どこの銀行に預金があったのかさえわからなければ、取引があった可能性のある金融機関に1行ずつ問い合わせるほかなくなってしまうでしょう。
そのため、通帳などの保管場所だけでも確認しておくと、後の手続きがスムーズとなります。
なお、口座名義人が死亡したことを金融機関側が把握した時点で、預金口座は凍結されます。その後、その口座から預金を引き出すには相続人全員で遺産分けの話し合い(「遺産分割協議」といいます)を取りまとめたうえで、これを証する遺産分割協議書などを提出しなければなりません。そのため、解約までには相当の時間を要することが一般的です。
一方で、受取人が具体的に指定された生命保険がある場合、その保険は受取人だけの手続きで請求できます。預金の解約よりもスピーディーであるため、葬儀費用の支払いに間に合わせられる場合も多いでしょう。
遺言書を書いてもらう
5つ目は、遺言書を作成してもらうことです。
遺言書とは、故人の遺産のうち何を誰が受け取るのかについて、故人が生前に指定しておく文書です。すべての遺産について受取人が指定された有効な遺言書がある場合、相続人間での遺産分割協議は原則として必要ありません。
そのため、特に次の場合などには遺言書を作成してもらうとよいでしょう。
- 相続人間の関係性が悪い
- 相続人の中に、行方不明者など連絡が取りづらい人がいる
- 相続人の中に、未成年者がいる
- 相続人の中に、知的障害の人や認知症の人がいる
- 後継者に渡したい自社株など、遺産の中に確実に特定の相手に渡したいものがある
遺言書には自筆で作成できる「自筆証書遺言」もあるものの、要件を満たさず無効となる可能性も低くありません。そのため、可能であれば公証人の関与の元で作成する「公正証書遺言」を作成すると安心です。遺言書の作成には注意点が少なくないため、弁護士などの専門家に相談するとよいでしょう。
感謝を伝える
6つ目であり、もっとも大切であるのは、感謝を伝えることです。
家族に面と向かって感謝を伝えるのが気恥ずかしく、これまできちんと伝えられていない場合もあるでしょう。しかし、老衰の兆候が出ている場合、この先感謝を伝えられる機会は限られています。
後悔しないためにも、伝えたい想いがあるのであれば、きちんと伝えておくことをおすすめします。
まとめ
老衰の概要や老衰の兆候が表れてから死亡するまでの期間、亡くなるまでの間に家族が行うべき準備などを解説しました。
老衰の兆候が出てから死亡するまでの期間は、一概にいえるものではありません。一般的には、口から食事が摂れなくなった場合、1週間程度で死に至るとされています。
家族が衰弱していく様子を見るのは心苦しい一方で、老衰の場合は亡くなるまでの準備がしやすいともいえます。後悔のないよう家族へ感謝を伝えるとともに、葬儀や埋葬などの希望を確認しておくとよいでしょう。
家族葬のアイリスは全国対応で葬儀のトータルサポートを行っており、ご希望に沿えるようさまざまな葬儀プランを設けています。明朗会計であり不明瞭な追加料金の請求がないため、安心してご家族のお見送りが可能です。
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