【2025】献杯の挨拶は何を話せば良い?例文と失敗しないための注意点をわかりやすく解説

【2025】献杯の挨拶は何を話せば良い?例文と失敗しないための注意点をわかりやすく解説

通夜振る舞いや葬儀後の会食、法要の会食などの開始時には、「献杯(けんぱい)の挨拶」がなされることが一般的です。「献杯の挨拶」は「乾杯の挨拶」と響きは似ているものの、両者は大きく異なるものです。

では、献杯の挨拶では、何を話せばよいのでしょうか?また、献杯の挨拶をする際は、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。今回は、献杯の挨拶の基本や注意すべきマナーを解説するとともに、ケース別の献杯の挨拶の例も紹介します。

献杯とは

献杯とは、敬意を表するために相手に盃を捧げることを指します。もともとは生存している人に敬意を示すものでしたが、近年では故人に敬意や哀悼の意を示す行為として行われることが一般的です。

乾杯との違い

献杯(けんぱい)と乾杯(かんぱい)は、会食の開始時にグラスを持ってなされるものである点では共通しています。しかし、乾杯はおめでたい場でなされるものであるのに対し、献杯は厳粛に行われるものです。

そのため、献杯は、乾杯のようにグラスを高々と掲げたり、「けんぱーい!」と高らかに発声したりすることはありません。献杯と乾杯とは意味や様式が大きく異なるものであるため、うっかりマナー違反をすることのないよう注意してください。

献杯の挨拶はいつ行う?

献杯の挨拶は、弔事の場面で行われることが多いでしょう。ここでは、献杯の挨拶が行われる具体的な場面について概要を解説します。

  • 通夜振る舞いの開始時
  • 精進落としの開始時
  • 法要の会食の開始時

通夜振る舞いの開始時

お通夜の後で参列者に食事や飲み物を振る舞うことがあり、これを「通夜振る舞い」といいます。

通夜振る舞いは通夜と同じ斎場の隣の部屋などで行われることが多く、故人との最期の食事との意味合いもあります。通夜振る舞いの開始時には、献杯の挨拶を行います。

なお、通夜振る舞いはお通夜への参列者がそのまま参加するものであり事前に人数を把握できるものではないことから、取り分けのできるオードブルやお寿司などを用意することが一般的です。

会食の開始後は、遺族は参列者に飲み物などを注いで参列のお礼を伝えたり、故人の思い出話をしたりします。長時間行うものではなく、1時間から長くても2時間程度で散会となることが多いでしょう。

精進落としの開始時

精進落としの開始時には、献杯の挨拶を行うのが通例です。

「精進落とし」はもともと、遺族が四十九日の忌明け後に初めて口にする通常の食事を意味するものでした。四十九日が経過するまでは「忌中」とされ、その間は肉や魚を避けた精進料理のみを口にしていたためです。

一方で、近年では忌中の過ごし方を厳格に守ることは社会生活を送る中で困難となっており、祝い事への参加を控える程度という人も多いでしょう。このような変化に伴い、昨今では葬儀・告別式と火葬の後に行う会食を「精進落とし」と呼ぶことが増えています。

家族葬でない場合であっても、火葬場へ同行するのは一部の近親者のみであるため、精進落としの参加者は事前の把握が可能です。そのため、精進落としでは懐石料理や1人1膳のお弁当などを用意することが一般的です。

法要の会食の開始時

ご家族が亡くなると、定期的に法要を執り行うこととなります。省略されることも増えてきたものの、次の法要は今も行われることが多いでしょう。

  • 四十九日法要
  • 一周忌法要
  • 三回忌法要

これらの法要の後に会食(「お斎(おとき)」といいます)をすることがあり、会食の場では献杯の挨拶がなされることが一般的です。

なお、献杯の挨拶に「亡くなってから〇ヶ月目まで」などの決まりはありません。そのため、亡くなってから年月が経過していても、故人を偲ぶ場面では献杯の挨拶がなされます。

献杯の挨拶は誰がする?

献杯の挨拶を誰がするのかについて、明確な決まりがあるわけではありません。献杯の挨拶を自分が行うのか誰かにお願いするのか、また誰にお願いするのかは、喪主が自由に決めることが可能です。

では、献杯の挨拶は一般的に、誰が行うことが多いのでしょうか?ここでは、献杯の挨拶をする人について解説します。

喪主

献杯の挨拶は、喪主自身が行う場合があります。家族葬など比較的小規模な葬儀などではあえて別の人に依頼せず、喪主が献杯の挨拶をすることが多いでしょう。

この場合には、喪主挨拶に続けてそのまま献杯の発声を行います。

故人との関係が深かった人

献杯の挨拶は、故人と関係の深かった人が行う場合があります。

たとえば、喪主以外の親族や故人の友人、故人の会社関係者などです。この場合には、はじめに喪主が挨拶をしたうえで、これに続けて献杯の挨拶を行います。

喪主以外の人に献杯の挨拶をしてもらう場合には、その場で突然お願いするのではなく、可能な限り事前に伝えておくことをおすすめします。

とはいえ、葬儀は突然のことであるため、何日も前から献杯の挨拶をお願いすることは現実的ではありません。そのため、当日、会場への到着後に依頼することが多いでしょう。

一方で、法要は事前に予定がわかるため、法要のお知らせをする際に献杯の挨拶をお願いしておくとスムーズです。

献杯の挨拶のタイミング

会食での一般的な献杯の挨拶までの流れは、次のとおりです。

  1. 参加者全員が会場に入り、席に着く
  2. 故人の盃に飲み物を注ぐ
  3. 参列者のグラスに飲み物を注ぐ
  4. 喪主が挨拶をする
  5. 献杯の挨拶をする

喪主が献杯の挨拶をする場合には、喪主挨拶にそのまま続けて献杯の発声を行います。

なお、飲み物は自分で注ぐのではなく、互いに注ぎ合うことが一般的です。また、遺族が参列者に飲み物を注いで回ることもあります。

会食ではアルコールも用意することが多いものの、無理にアルコールを勧めることは避けましょう。

精進落としでの献杯の挨拶の例

献杯の挨拶では、何をどのように話せばよいのでしょうか?ここでは、精進落としで行う献杯の挨拶の例を、献杯の挨拶をする人ごとに紹介します。なお、喪主は故人の長男であることとし、故人の氏名は「葬儀太郎」さんと仮定しています。

喪主による献杯の挨拶の例

精進落としの献杯の挨拶を喪主が行う場合の例は、次のとおりです。

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本日はお忙しいところ、父・太郎のためにお集まりいただき誠にありがとうございました。

おかげさまで、通夜と葬儀、告別式を滞りなく終えることができました。

父は長らく闘病中であったとはいえ、突然のことで、まだ気持ちの整理がついていないのが本音ではございますが、今後は残された母を支えつつ、家族一同努力していく所存です。

これからも、皆さま方よりご指導・ご鞭撻をいただければ大変ありがたく存じます。

ささやかではございますが、お礼の気持ちを込めました食事を用意させていただきました。

どうぞゆっくりとお召し上がりになりながら、父との思い出話などお聞かせいただけますと幸いです。

それでは献杯いたしますので、みなさまお手元のグラスをお持ちください。

献杯のご唱和をお願いします。

「献杯」。

ありがとうございました。

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なお、喪主が献杯の挨拶をしない場合であっても、会食の冒頭で喪主としての挨拶は行うことが一般的です。その場合は、次のような挨拶をして、献杯の挨拶へとつなぎます。

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本日はお忙しいところ、父・太郎の葬儀・告別式にお集まりいただき誠にありがとうございました。

おかげさまで、万事滞りなく進行することができました。

ささやかではございますが、お礼の気持ちを込めました食事を用意させていただきました。

どうぞゆっくりとお召し上がりになりながら、父との思い出話などお聞かせいただけますと幸いです。

それでは献杯の挨拶を、父のご友人である〇〇様にお願いしたいと存じます。

〇〇様、よろしくお願いいたします。

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これに続けて、挨拶を依頼された人が献杯の挨拶を行います。

喪主以外の親族による献杯の挨拶の例

喪主以外の親族が精進落としの献杯の挨拶をする場合の例は、次のとおりです。ここでは、故人の弟が献杯の挨拶をする場合の例を紹介します。

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ただいまご紹介にあずかりました、葬儀太郎の弟である次郎と申します。

皆さま、本日は兄のためにお集まりいただき、誠にありがとうございます。

多くの方に見送っていただき、兄もさぞかし喜んでいることと存じます。

2人きりの兄弟である兄を亡くしまだ心の整理はつきませんが、本日は皆さまと兄との思い出を心行くまで語り合いたいと存じます。

それでは献杯いたしますので、お手元のグラスをお持ちください。

皆さま、ご唱和くださいませ。

「献杯」。

ありがとうございました。

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また、幼い頃の印象的なエピソードなどがあれば、簡単に盛り込んでもよいでしょう。

故人の友人による献杯の挨拶の例

故人の友人が精進落としの献杯の挨拶をする場合の例は、次のとおりです。

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ただいまご紹介いただきました、太郎さんの友人の〇〇と申します。

太郎さんとは高校時代からの友人であり、同じ野球部に所属しておりました。

卒業後も親しくしていただき、お互いの結婚式に出席したり家族ぐるみで旅行に出かけたりするなど、思い出話は尽きません。

まさか、このような形で突然のお別れをすることになるとは想像もしておらず、今も信じられない気持ちです。ご家族の哀しみを思うと、言葉もございません。

それでは、太郎さんのご冥福をお祈りして、献杯をさせていただきます。

「献杯」。

ありがとうございました。

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友人が献杯の挨拶をする場合には、いつからの友人であるのかを伝えるとともに、故人の人間性がうかがえるエピソードなどを盛り込むとよいでしょう。

故人の会社関係者による献杯の挨拶の例

故人の会社関係者が精進落としで献杯の挨拶をする場合の例は、次のとおりです。ここでは、故人の上司が献杯の挨拶をする場合の例を紹介します。

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ただいまご紹介にあずかりました、株式会社〇〇の〇〇と申します。

太郎さんと同じ〇〇部に所属しており、私が部長、太郎さんが課長という関係でした。

太郎さんは非常に頼りになり、チームをリードしていました。

これからも共に大きなプロジェクトに挑もうという矢先の訃報、本当に残念でならず、言葉もございません。

ここに、太郎さんを偲び献杯をしたく存じます。

皆さま、お手元にグラスをご用意いただき、ご唱和ください。

「献杯」。

ありがとうございました。

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会社関係者が献杯の挨拶をする場合には、故人との関係性や故人の職場での印象などを伝えるとよいでしょう。ただし、マイナス面や失敗などには触れず、プラスの評価を伝えるのが基本です。

法要後の献杯の挨拶の例

続けて、四十九日法要や一周忌法要など、法要後に行う会食(お斎)の献杯の挨拶の例を紹介します。ここでも、故人の氏名は「太郎」さん、喪主は故人の長男であることを前提とします。

喪主による献杯の挨拶の例

法要後の会食の献杯の挨拶を喪主が行う場合の例は、次のとおりです。まずは、四十九日法要後の会食での献杯の挨拶を紹介します。

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本日はお忙しいところ、父・太郎の四十九日法要にお集まりいただき誠にありがとうございました。

おかげさまで、無事に忌明けを迎えることができました。

父のいない生活にはまだ慣れず寂しさを感じますが、少しずつ前を向いていかねばと感じております。

ささやかではございますが、お食事を用意させていただきました。

ゆっくりとお召し上がりいただきながら、父の思い出話をお聞かせいただければ幸いです。

それでは皆様、献杯のご唱和をお願いいたします。

「献杯」

ありがとうございました。

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続けて、一周忌法要後の会食での献杯の挨拶を紹介します。

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本日はお忙しいところ父・太郎の一周忌法要にお集まりいただき、誠にありがとうございました。

おかげさまで、無事に一周忌を迎えることができました。

懐かしい皆さまに囲まれて、父もさぞ喜んでいることと存じます。

ささやかではございますがお食事をご用意いたしましたので、父を偲びながらゆっくりとお召し上がりください。

それでは、献杯のご唱和をお願いいたします。

「献杯」。

ありがとうございました。

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なお三回忌法要の場合には、例文の「一周忌法要」の部分を「三回忌法要」に置き換えることでそのまま活用できます。

喪主以外の親族による献杯の挨拶の例

喪主以外の親族がお斎の献杯の挨拶をする場合の例は、次のとおりです。ここでは、故人の弟が一周忌法要で献杯の挨拶をする場合の例を紹介します。

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本日は兄のためにお集まりいただき、誠にありがとうございました。

月日が流れるのは早いもので、兄がこの世を去ってから1年が経過しました。

おかげさまで無事に一周忌を済ませることができ、兄も安心していることと思います。

本日は、兄の懐かしい思い出話を伺えればと存じます。

それでは、献杯のご唱和をお願いいたします。

「献杯」

ありがとうございました。

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献杯の挨拶の注意点

献杯の挨拶では、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?最後に、献杯の挨拶の主な注意点を5つ解説します。これらを理解し、献杯の挨拶でマナー違反をしないよう注意しましょう。

  • 忌み言葉を使わない
  • 他の宗教用語を使わない
  • 長くなり過ぎない
  • 高らかに発声しない
  • グラスを合わせない

忌み言葉を使わない

1つ目は、「忌み言葉」を避けることです。忌み言葉とは、そのシーンにおいて縁起がよくないとされ、避けるべき言葉を指します。

通夜振る舞いや精進落とし、法要など弔事の場面では、次の言葉などが忌み言葉として扱われます。

  • 不幸が繰り返されることを連想させる言葉:「重ねて」「続けて」「続いて」「追って」「繰り返し」など
  • いわゆる重ね言葉(不幸が繰り返されることを連想させるため):「追々」「重々」「重ね重ね」「続々」「次々」など
  • 生死を直接的に表す言葉:「死ぬ」「死んだ」「生きていた頃」など」

ほかに、仏式の場合には「迷う」や「浮かばれない」なども忌み言葉として扱われます。なぜなら、これらは無事に成仏できない(極楽浄土へ辿り着けない)ことを連想させるためです。

他の宗教用語を使わない

2つ目は、他の宗教用語を使わないことです。

葬儀など弔事の場面では、宗教色が色濃く反映されます。そのため、日ごろ宗教をさほど意識していない人こそ、誤りのないよう注意しなければなりません。

なかでも、一般的に弔事の場面でよく使用される次の言葉は仏教用語であり神道やキリスト教などには馴染まないため、注意が必要です。

  • 供養
  • 成仏
  • 冥福

たとえば、キリスト教式の葬儀であるにもかかわらず献杯の挨拶で「ご冥福をお祈りいたします」や「故人の成仏を願っております」などと発言することは避けるべきです。

適切なフレーズがわからない場合、喪主が献杯の挨拶をする場合には、事前に親族や宗教者

などに相談しておくとよいでしょう。また、喪主から献杯の挨拶を依頼された人は、喪主に表現を確認しておくと安心です。

長くなり過ぎない

3つ目は、長くなり過ぎないことです。

会食は、故人を偲ぶ大切な時間です。献杯の挨拶が長くなりすぎると、故人を偲ぶ本来の時間が短くなってしまいかねません。また、料理も冷めてしまいます。

そのため、献杯の挨拶は1分から2分程度、長くても3分程度を目安とし、長くなり過ぎないよう注意しましょう。また、個人的な話をすることは避け、故人との思い出話をするとしても簡潔な内容に留めます。

高らかに発声しない

4つ目は、高らかな発声をしないことです。

冒頭で解説したように、献杯は「乾杯」ではありません。おめでたい場ではないため、乾杯のように「けんぱーい!」と高らかに発声するのはマナー違反です。

献杯は、故人の遺影の方を向き、遺影のほうに少し(自分の顔の高さくらいまで)グラスを持ち上げ、静かに「献杯」と発声します。

グラスを合わせない

5つ目は、グラスを合わせないことです。

繰り返し解説しているように、献杯は乾杯とは異なります。そのため、他の参列者などとグラスを合わせることは避けましょう。

まとめ

献杯の挨拶の概要や献杯の挨拶をするタイミング、注意すべきマナーなどを解説するとともに、シーン別の献杯の挨拶の例も紹介しました。

献杯とは、故人に敬意や哀悼の意を示し、盃を捧げる行為です。通夜振る舞いや精進落とし、お斎など、弔事での会食の開始時になされることが一般的です。

献杯の挨拶は喪主が行う場合もある一方で、故人との関わりが深かった人が喪主から依頼されて行う場合もあります。基本的なマナーを知っておくことで、献杯の挨拶に落ち着いて臨みやすくなるでしょう。

宗教的な用語などに不安がある場合には、遺族や宗教者、葬儀社の担当者などに事前に確認しておくと安心です。

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