お通夜は「友引」にしても大丈夫?葬式はできない?理由をわかりやすく解説
「友引には葬儀はしない」という習慣をご存じの方もいらっしゃるでしょう。これは、いわゆる縁起をかついだものであり、日本の一つの風習です。
では、葬儀の前に行われるお通夜は友引でも問題ないのでしょうか?今回は、友引とお通夜について解説します。
友引の意味と由来
友引(ともびき)とは、六曜という暦の一つです。六曜とは、日常生活や行事の日程を決める際に参考にするものです。その日の吉兆を判断するものであり、宗教的な意味合いはありません。
友引は六曜の一つ
六曜の中で、友引は「友を引き寄せる日」「勝ち目がない」という意味を持つとされています。友を引くという意味から、結婚式や開店など祝い事を行うには良い日とされますが、一方で葬儀などの不幸な出来事を行うには適さないとされてきました。
また、友引は午前中と夕方が吉、昼が凶とされるため、日中に何かを行う際には注意が必要だともされています。
友引にまつわる風習
六曜には、先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口の6つがあり、すべての日がどれかに当たります。そして、それぞれに吉凶の意味があるとされています。
六曜の一つである友引は、「友を引く」という文字通りの意味を持っている日です。友引は、何事も友を引き寄せる日であり、たとえば、友引の日に何か良いことをすると、友人や周囲の人にも幸運が訪れると考えられています。そのため、結婚式や引っ越しなどの祝い事には適した日とされ、友人や知人を巻き込んで良いことが起こると考えられています。
しかし、友引は良いことだけではなく悪いことでも「友を引いて」しまうと考えられています。そのため、友引の日に葬儀を行うと「友を引く」、つまり故人が友人を道連れにしてしまうとして、この日に葬儀は行わないという風習があるのです。
友引と通夜の関係
葬儀は行わない風習がある友引ですが、葬儀の前のお通夜に関しては「友引でも問題ない」とされています。友を引くという日でも、お通夜ならマナー違反にならない理由はどのようなものなのでしょうか?ここでは、友引と通夜の関係について解説します。
友引の日に通夜をするのは問題ない
友引の日は、葬儀は避けられる傾向がありますが、通夜を行うことは多くの場合問題視されません。なぜなら、友引の「友を引く」というものが意識されるのは、葬儀や火葬の日だからです。そもそも通夜とは、葬儀ではなく「故人との最後の夜を過ごす」という意味合いのものです。
通夜は親族や友人が集まり、故人を偲ぶための大切な儀式ですが、葬儀ではありません。葬儀と同じように捉えられることもあるかもしれませんが、故人をこの世から天国に送り出す葬儀とは意味合いが異なります。
つまり、友を引く日であったとしても、通夜の日に関しては影響を受けないのです。むしろ、友引の日に通夜を行うことは、故人との別れを丁寧に行うという意味で肯定的に捉えられることもあります。
友引の影響は葬儀と火葬に限定される理由
友引の影響が特に葬儀と火葬に限定される理由は、友人にも不幸が訪れるかもしれないという縁起の悪さにあります。友引の日に葬儀を行うことで、故人が友人や親しい人を一緒にあの世に連れて行ってしまうのではないかと考えられるため、避けられてきたのです。
故人の友人や知人にはさまざまな人がおり、中にはこういった「縁起」をとても気にする人がいる可能性もあります。そのため、参列者への配慮という意味も含めて、友引の葬儀は避けられるのです。
地域や宗教による友引の扱いの違い
友引の意味合いはどこでも同じですが、地域や家によってその扱いは異なります。
たとえば、六曜などの縁起をより重視する地域では、友引の日に葬儀は一切行わないという暗黙のルールがあります。そして、火葬場も友引の日は休業しているケースも少なくありません。
一方で、友引の影響をあまり重視しない場合もあります。地域の風習が薄れている都会はその傾向が強いといえます。また、喪主や遺族が六曜を一切気にしていないという場合もないわけではありません。
友引に通夜を行う際の注意点
友引の日に通夜をすることは問題ありませんが、通夜と葬儀の日程調整など遺族側が注意するべきポイントがあります。ここでは、友引に通夜を行う際の注意点について解説します。
通夜後の翌日の葬儀日程調整のポイント
通夜を行う場合、その翌日にあたる葬儀の日程調整が重要となります。通夜は故人が亡くなった日の翌日もしくは翌々日に行われることが多いです。「友引に葬儀をしない」という点を考慮すると、お通夜の日程調整が必要になるケースがあります。
六曜を意識する場合、通夜の日の六曜ではなく葬儀の日に焦点を当てる必要があります。通夜が友引であれば、翌日か翌々日の葬儀の日が友引になることはないため問題ないでしょう。
遠方からの参列者に対する配慮
故人の家族や親戚、友人が遠方から参列する場合は、参列者に配慮した日程調整が必要です。遠方からの参列者が無理なく到着できる日程であり、なおかつ葬儀が友引にならないように日程を調整しなければなりません。
六曜では、基本的に順番どおり暦が巡ります。原則として6日おきに友引が巡ってくるため、参列者のスケジュールと葬儀場のスケジュール、そして六曜のすべてを考慮する必要があります。
友引に通夜を行う場合の参列者への案内
通夜の日が友引であっても、特に説明は必要ありません。一般的に、通夜であれば友引でも問題がないとされているためです。
ただし、参列者から「友引にお通夜するのか?」といった問い合わせを受ける可能性があります。その際は、お通夜は葬儀ではないため友引にも問題がないという説明をすれば良いでしょう。
現代における友引と通夜の変化
現代では、通夜や葬儀に関する考え方が変化しており、友引のような六曜への意識も変わりつつあります。葬儀や火葬を友引に行うケースもありますし、葬儀や通夜という故人を送る儀式全体において多様性が認められつつあるということができます。
友引を避けない葬儀の増加
近年では、友引を気にせず葬儀を行うケースも増えてきています。六曜をいわゆる「スピリチュアル」や「占い」という類いに分類して理解する人も増えているのもその理由の一つかもしれません。
また、終活が浸透しつつあり、葬儀の内容や日程に関しては、故人の生前の希望を尊重する傾向が強くなっています。故人が「友引を避けなくても良い」という意思をはっきりさせていたり、遺族が「気にしない」というケースもあったりします。
また、火葬場や葬儀場も柔軟に対応しているケースもあるため、友引を意識せずに葬儀が行われることもあります。
六曜を意識しない若い世代の葬儀観
特に若い世代の方は、六曜に対する意識が薄れてきているといえるでしょう。そのため、友引にこだわらずに葬儀をしても問題ないと考える若者は少なくありません。
六曜は中国から伝わった占いのようなものであり、それが日本の風習として定着しました。しかし、科学的な根拠があるわけでもなく、当然法律のルールでもありません。そのため、リアリティを追い求める傾向が強い世代の方は特に、葬儀の日程を決める際にも六曜を気にしないという人が増えています。
忙しい現代社会に合わせた日程調整
現代社会では、仕事や家庭の都合などで通夜や葬儀や日程調整が難航するケースが多くなっています。そのようなときに、友引にこだわっていては日程調整がますます困難になります。
そのため、遺族や参列者の都合に合わせて柔軟に通夜や葬儀の日程を決めることも一般的になっています。特に、仕事の関係で平日の日程が難しい場合には、友引の日でも通夜や葬儀を行うことが増えており、現代のライフスタイルに合わせた形で葬儀が執り行われています。
友引における火葬場や葬儀場の対応
友引が休みという火葬場もありますが、近年では友引でも営業しているケースもあります。葬儀場も「友引には葬儀はしない」という対応ではなく、遺族側が納得していれば友引でも葬儀ができるところが増えてきています。
友引に葬儀を行う葬儀場もある
以前は、友引の日は火葬場が休業していたり、葬儀会場も友引の葬儀には対応しなかったりすることが一般的でした。ですが、火葬場や葬儀場でも遺族のニーズに合わせて、友引の日であっても柔軟に対応するケースが増えています。
これは、日程の都合で友引の日にしか葬儀や火葬が行えないという場合や、遺族や故人が六曜を気にしていないという場合に対応するためです。火葬場も葬儀場も、友引の日に葬儀を行うことに対して柔軟な姿勢を見せるようになっており、遺族や故人のニーズに合わせるという流れができつつあります。
宗教ごとの友引と通夜の違い
六曜はそもそも宗教とは別のものですが、宗教ごとに扱いが異なるケースがあります。ここでは、宗教ごとの友引の対応について解説します。ただし、地域や家、細かい宗派によっては別の対応が必要なケースもあるため、参考程度にとどめてください。
仏教における友引の扱い
仏教においても、六曜や友引に対して特別な教義は見られません。
しかし、仏教での葬儀においては、日本の伝統的な風習に基づいて友引の日に葬儀を避けることが一般的です。友引の「友を引く」という故人が他の人を道連れにしてしまうようなイメージが悪いため避けているのです。
ただし、友引の日の通夜は問題ないとされており、翌日の葬儀が友引にならないように配慮するのが一般的です。ただし、仏式であっても、友引を気にせずに葬儀を行うことも増えてきており、必ずしも六曜に従うわけではありません。
神道における友引と通夜
神道では、死を「穢れ」として捉えることが多いですが、六曜に基づいた吉凶は特に重要視されていません。そのため、神道の葬儀では友引の日に通夜や葬儀を行うこともあります。
ただし、神道であっても、日本の伝統的な風習を重視して、友引の日の葬儀は避ける慣習が残っている場合もあります。この場合でも、通夜は行って問題ありません。
神道の場合も仏教と同様に、友引の日に通夜は問題ないとされており、葬儀に関しては遺族の意向や地域の風習を重視して決定されることが多くなっています。
キリスト教式の通夜における友引の意味
キリスト教では、六曜や友引を意識しないケースが多くなっています。
キリスト教式の葬儀や通夜は、キリスト教の信仰に基づいて行われるものであるため、日取りについては故人や遺族の都合が優先されます。そのため、友引の日の通夜は問題なく、葬儀を行うことに対しても問題視されません。
キリスト教徒の中には、六曜を気にしない人が多く、友引の日に葬儀を行っても問題が起こりにくいのです。ただし、参列者の中に六曜を気にする人がいる場合は配慮されることもあります。
現代は六曜にこだわらないケースもある
六曜という宗教とも異なる風習にお通夜や葬儀の日程が左右されることも少なくありません。しかし、現代では六曜にこだわらない葬儀も多く見られるようになりました。六曜にとらわれにない日程調整にはメリットがあります。
友引にとらわれず日程を決めるメリット
友引にとらわれずに葬儀やお通夜の日程を決められれば、遺族や参列者の都合を優先できるという大きなメリットがあります。
特に若い世代の方では、仕事や家庭のスケジュールに合わせて葬儀の日程を調整することが縁起よりも重要視される傾向があります。六曜にこだわると葬儀を友引にできないため、葬儀前日のお通夜の日程調整に影響を与えることがあります。
しかし、友引に葬儀を避けるというこだわりを捨てることで、日程調整を効率的にできるのです。その結果、故人を偲ぶためにより多くの方がお通夜や葬儀に参列できるようになります。また、火葬場や葬儀場の混雑を避けられるため、スムーズな進行が期待できます。
友引に葬儀をするという選択肢
友引に葬儀を行うという選択肢をタブー視しなければ、遺族や参列者の希望に柔軟に対応できるようになります。
亡くなるタイミングによっては、友引の日にしか葬儀を行うことができないというケースもあるでしょう。また、故人の意向を尊重することを優先して、友引を気にせずに葬儀を行うことも一つの方法です。
友引をはじめとする六曜に対する古くからの風習が薄れてきている現代では、友引に葬儀を行うことに対して違和感を持たない人が多いことも事実です。遺族や参列者の理解を得られる場合は、友引に葬儀をしても特に問題はありません。
まとめ
友引は、六曜という暦の一つです。友引は昔から「友を引く」とされており、葬儀や火葬は「友を引く」として縁起が悪いことから避ける風習がありました。
ただし、友引で避けるべきなのは「葬儀と火葬」のみで、お通夜に関しては友引でも問題がないとされています。これは、お通夜は「故人との最後の夜」という意味であり、葬儀や火葬とは異なるからです。お通夜は故人との最後の夜を過ごすという儀式であるため「友を引く」とする日であっても問題ないのです。
お通夜は葬儀前日に行われるケースが多いため、葬儀が友引にならないようにお通夜の日程調整がされるケースがあります。
しかし、現代においてはその風習にとらわれずに、遺族や参列者の都合や故人の意思が尊重されるケースが増えています。また、宗教や地域、家や世代によって友引に対する考え方が異なります。火葬場や葬儀場の対応も、遺族のニーズに合わせて柔軟になりつつあります。
家族葬のアイリスでは、お通夜や葬儀に関するサポートを行っています。葬儀を友引に設定したいというご遺族の意向にも対応可能です。アイリスは24時間365日対応で、いつでも気軽にお電話でご相談いただけます。お通夜から葬儀までのトータルサポートで故人様とのお別れの行事を精一杯サポートいたします。
最新の葬儀エピソード
- 【2024】親が死んだらすることは?やることリストをタイミング別に解説
- 納骨に適した時期はいつ?宗教別の納骨のタイミングと準備の流れをわかりやすく解説
- 納骨にかかる費用はどれくらい?納骨までの準備や流れと併せてわかりやすく解説
- 出棺の挨拶の例文は?エピソードは入れるべき?そのまま使える文例を紹介
- 直葬式とは?一般的な流れや費用、注意点をわかりやすく解説
- お葬式の時間はどのくらいかかる?全体の流れと所要時間をわかりやすく解説
- エンバーミングとは?処置の流れ、メリット・デメリットをわかりやすく解説
- 【2024】葬儀費用は平均どのくらい?費用の内訳、抑える方法と使える制度を解説
- 戒名とは?意味や位の一覧、値段の相場をわかりやすく解説
- 【2024】告別式とは?葬儀・通夜との違い、流れなどをわかりやすく解説