社葬とは?一般的な流れやマナー、一般葬との違いをわかりやすく解説

社葬とは?一般的な流れやマナー、一般葬との違いをわかりやすく解説

企業の社長や創業者などが亡くなった際には、社葬を執り行う場合があります。

社葬とはどのようなものであり、一般葬にはどのような違いがあるのでしょうか?また、社葬はどのような流れで執り行えばよいのでしょうか?

今回は、社葬の概要や種類、社葬の一般的な流れなどについてくわしく解説します。

社葬とは

社葬とは、会社が施主となって執り行う葬儀です。会社が費用を拠出し、打ち合わせなども会社の担当者が行います。

社葬は規模が大きなことも多く、社長や創業者、会社の功労者などが亡くなった場合などに行われることが多いでしょう。

社葬と一般葬との違い

社葬と一般的な葬儀(「一般葬」といいます)では、どのような点が異なるのでしょうか?ここでは、一般葬と社葬との主な違いを2つ解説します。

  • 喪主のほかに葬儀委員長が選任されることが多い
  • 費用の拠出者が会社である

喪主のほかに葬儀委員長が選任されることが多い

一般葬では、故人の遺族が喪主と施主を兼ね、葬儀の打ち合わせなどもすべて喪主を中心として行われます。

一方で、社葬の場合は喪主のほかに、企業側から「葬儀委員長」などが選任されます。社葬における主な役職と役割は、それぞれ次のとおりです。

  • 喪主:葬儀の代表者。社葬の場合も、遺族から選任される
  • 葬儀委員長:葬儀の責任者。社長など役職者が務めることが多い
  • 葬儀実行委員会:社葬の打ち合わせや運営・実行をするグループ。葬儀実行委員は、総務部員など、企業内から複数人が選任される事が多い
  • 葬儀実行委員長:葬儀実行委員会のトップ。総務部長など

つまり、葬儀の代表者である「喪主」は一般葬と同じくご遺族が務める一方で、葬儀の実行や運営などを行う「施主」は会社が務めます。そして、施主のトップは企業の社長などとなる一方で、実働については総務部員などから構成される「葬儀実行委員会」が担うこととなります。

費用の拠出者が会社である

一般葬の場合、葬儀費用の拠出者について厳格な決まりはないものの、代表して喪主が支払うことが多いでしょう。一方、社葬の場合は、施主である企業が資金を拠出します。

ただし、社葬の中でも一般葬と社葬を同時に行う「合同葬」の場合は、遺族側と費用を折半することもあります。社葬の主な種類は、後ほど改めて解説します。

社葬の費用は経費になる?

社葬に要した費用は、社会通念上相当な額である限り、原則として損金に計上できます。なぜなら、社葬には企業に貢献した故人を追悼する意図のほか、企業の広報活動としての側面もあるためです。

ただし、墓地や墓石の購入費などまでを企業が拠出した場合であっても、原則としてこれらの費用は損金に計上できません。くわしくは、顧問税理士などへご相談ください。

社葬の香典は誰が受け取る?

社葬の場合において、香典を企業とご遺族のどちらが受け取るのかについて、明確な決まりはありません。ただし、香典は通常ご遺族を慰める目的や故人を追悼する目的でお供えいただくものです。そのため、ご遺族が受け取ることが自然でしょう。

香典を会社が受け取ったからといってただちに法的な問題となるわけではないものの、参列者はご遺族が受け取る前提で香典を渡していることが多いうえ、香典を会社側が受け取ることはあまり一般的とはいえません。

そのため、会社側が香典を受け取ったことが知られると、会社の評判に影響するおそれがあります。また、会社が社葬による香典を受け取った場合、香典は課税対象となります。

一方で、ご遺族が個人から受け取った香典は、原則として課税の対象外です。また、社葬で受け取った香典をご遺族が受け取っても、「施主である会社から遺族への弔慰金」などとして課税対象となるわけではありません。

このことは、社葬で「会葬者が持参した香典等については、法人の収入としないで遺族の収入とすることができます」と、国税庁のホームページでも明記されています。なお、社葬では香典を辞退するケースも少なくありません。

参照元:

社葬の香典返しは誰がする?

社葬の香典をご遺族が受け取った場合、香典返しもご遺族が行うこととなります。

ご遺族が香典を受け取ったにもかかわらず会社が香典返しの費用を負担した場合には、課税上の問題が生じるおそれがあります。くわしくは、顧問税理士などにご確認ください。

社葬の主な種類

(広義の)社葬には主に、次の3つの種類があります。

  1. 合同葬
  2. (狭義の)社葬
  3. お別れの会・偲ぶ会

ここでは、それぞれの概要を解説します。

合同葬

合同葬とは、ご遺族と会社が合同で行う葬儀です。ご遺族など近親者で執り行う「一般葬」の後に別途社葬を行うのではなく、一般葬と社葬を同時に行う形態です。

一般葬と同じく通夜や葬儀、告別式、火葬などを合同葬として行うため、ご遺体の状態を保存したうえで、できるだけ早期に行わなければなりません。そのため、遅くともご逝去から5日後から1週間後くらいの時期に行われることがほとんどでしょう。

合同葬の場合には時間的な制約があり、準備などのスケジュールが非常にハードとなります。その反面、一般葬と社葬とが一度にまとめられるため、ご遺族の負担を軽減しやすいといえます。

なお、先ほど解説したように、社葬の費用は原則として会社が全額を拠出することが基本である一方で、合同葬の場合は会社とご遺族が費用を折半することもあります。

(狭義の)社葬

(狭義の)社葬とは、ご遺族などが葬儀や火葬を行った後、会社が別途執り行う葬儀です。一般葬の時点でご遺体はすでに荼毘に付されているため、社葬では遺骨を供養の対象とすることが一般的です。

社葬を行う時期に明確な決まりはないものの、亡くなってから1か月後くらいを目途に、四十九日を過ぎるまでには行われることが多いでしょう。

なお、(狭義の)社葬とする場合、ご遺族などによる葬儀や火葬は「密葬」として行われることが多いでしょう。密葬とは、後の社葬やお別れの会などを前提として、近親者のみで秘密裏に行われる葬儀形態です。

密葬とするのは、社葬の対象となるような方が亡くなった場合、亡くなったことがすぐに知られてしまうとご遺族が執り行う葬儀に多くの参列者が訪れ、混乱が生じるおそれがあるためです。

お別れの会・偲ぶ会

お別れの会・偲ぶ会も、(狭義の)社葬と同じく、ご遺族などが密葬を執り行った後で会社が執り行う葬儀の形態です。開催時期も、(狭義の)社葬と同じく亡くなってから1か月前後の時期とされることが多いでしょう。

お別れの会や偲ぶ会に、明確な定義はありません。ただし、(狭義の)社葬とは異なり、宗教色が薄い社葬を「お別れの会」や「偲ぶ会」と呼ぶことが多いようです。会場も葬儀会館などではなく、ホテルなどで行われることもあります。

社葬を行うのは誰が亡くなった場合?

社葬は、誰が亡くなった場合に行われることが多いのでしょうか?ここでは、社葬とされることが多い主なケースを紹介します。

  • 企業の創業者
  • 現職の役職者
  • 企業発展に特に貢献した者
  • 殉職者

企業の創業者

企業の創業者が亡くなった場合には、社葬とされることが多いでしょう。亡くなった時点ですでに現職を退いていたとしても、今の会社があるのは、創業者の功績によるものが大きいと考えられるためです。

現職の役職者

現職の役職者が亡くなった場合には、社葬とされることが多いでしょう。企業の社長(代表取締役)や取締役、会長などが亡くなった場合がこれに該当します。

このケースでは特に対外的な報告や役員変更後の体制を披露する必要性などが高いため、社葬とされることが多いと言えます。

企業発展に特に貢献した者

企業発展に特に貢献した者が亡くなった場合に、社葬とされることがあります。たとえば、企業の屋台骨の一つである技術を開発した者など、功労者が亡くなった場合がこれに該当します。

殉職者

殉職とは、職務を果たそうとして命を落とすことです。殉職者が出てしまった場合には、その者を称える意図やご遺族への償いとしての意図などから社葬とすることがあります。

社葬の主な意義

企業が社葬をする目的は、どのような点にあるのでしょうか?ここでは、社葬の主な意義を3つ解説します。

  • 故人を追悼すること
  • 社内の結束を強めること
  • 社外へ広報すること

故人を追悼すること

1つ目でありもっとも重要な意義は、故人を追悼することです。企業として大切な人を喪ったとの想いから、会社が葬儀を施行して故人を弔います。

社内の結束を強めること

2つ目は、社内の結束の強化です。

企業の創業者や役職者を亡くした場合、企業内の結束が揺らぐおそれがあります。そこで、社葬を開催して従業員が一堂に会し、また取引先などが弔問に訪れることで、社内の結束が強まる効果が期待できます。

社外へ広報すること

3つ目は、社外へ広報することです。

創業者や重要な役職者が亡くなった場合、企業の将来について社外の関係者が不安を感じることもあるでしょう。そこで、社葬を執り行い新体制が盤石であることをアピールすることで、関係各所に安心感を与える効果が期待できます。

社葬の一般的な流れ

社葬は、どのような流れで進めればよいのでしょうか?最後に、先ほど解説した3種類の社葬のうち、(狭義の)社葬を執り行うことを前提に、訃報から社葬までの一般的な流れを解説します。

  • ご遺族からの訃報
  • 臨時役員会の開催
  • 社内外への案内
  • リハーサル
  • 社葬当日

ご遺族からの訃報

ご遺族から、会社に訃報が入ります。訃報は人事課や秘書などに伝えられ、訃報を受けた者は社内の担当者へその旨を伝えます。訃報を受けたらまずは担当者が故人のもとへ駆け付け、お悔やみを述べます。

ご遺族のもとへ出向いた際、社葬を執り行いたい旨をご遺族に伝えて同意を得ておきましょう。社葬とすることに抵抗を持つご遺族もおり、ご遺族の意向に配慮せず社葬の準備を強行する事態は避けるべきであるためです。

また、ご家族を亡くしたご遺族は、早急に葬儀について検討しなければなりません。地域によって異なるものの、ご遺族が執り行う一般の葬儀は亡くなった翌日に通夜、その翌日に葬儀や告別式、火葬をすることとなり、時間的な余裕がないためです。

社葬をするか否かは、たとえばご遺族が行う葬儀を密葬とするか否かなどにも影響するでしょう。そのため、早期にご遺族のもとへ出向き、社葬に関する大まかな方向性を決める必要があります。

臨時役員会の開催

ご遺族から社葬の承諾をいただけたら、臨時役員会を開催して社葬の詳細を決めます。臨時役員会で決めるべき主な事項は、次のとおりです。

  • 社葬の形態(狭義の社葬とするのか、お別れ会や偲ぶ会とするのかなど)
  • 宗教形式
  • 社葬の日時
  • 社葬の場所
  • 社葬の規模と予算
  • 葬儀委員長を誰にするか
  • 葬儀実行委員長を誰にするか
  • 宗教形式
  • 香典の取り扱い
  • 葬儀社

なお、家族葬のアイリスでは全国対応で葬儀のトータルサポートを行っており、社葬についてもサポートが可能です。社葬の施行についてサポートできる葬儀社をお探しの際は、家族葬のアイリスまでお気軽にご相談ください。

社内外への案内

社葬についての詳細が決まったら、社内外に対して案内をします。社外への社葬のお知らせは、案内状を送って行うことが多いでしょう。社葬案内状の例文は、次のとおりです。

 

「社葬」のご案内

弊社代表取締役社長 葬儀太郎 儀 令和〇年〇月〇日午前〇時〇分永眠いたしました

ここに生前のご厚誼を深謝し謹んでご通知申し上げます

なお密葬の儀は近親者にて滞りなく相済ませました

つきましては告別の儀を社葬により左記の通り執り行います

ご多用中大変恐縮ではございますがご来臨賜りたくご案内申し上げます

一、日時 〇月〇日(〇)午後◯時から午後◯時

一、場所 〇〇会館(福岡県〇〇市〇〇1-1-1)

電話番号 092-XXX-XXXX

尚 誠に勝手ながらご香典 ご供花 ご供物の儀は故人の遺志により固くご辞退申し上げます

令和〇年〇月〇日

株式会社〇〇

葬儀委員長〇〇〇〇

喪主〇〇〇〇

 

一般葬とは別に社葬を執り行う場合は、その旨がわかるよう明記するとよいでしょう。また、香典などを辞退する場合は、その旨を記載します。

なお、企業の規模などによっては取引先などへ個別で案内を送付するほか、新聞に訃報を掲載し社葬の案内をすることもあります。

リハーサル

社葬では、社外の関係者が多く訪れることが予想されます。そのため、あらかじめリハーサルをするなどして入念な準備をするとよいでしょう。

リハーサルをすることで葬儀実行委員会のメンバーなどが全体の流れを把握でき、当日落ち着いて対応しやすくなります。

社葬当日

準備を万端として、社葬当日を迎えます。

社葬当日は、次の流れとなることが多いでしょう。こちらは、無宗教式の場合の一例です。

  1. 受付・参列者入場:開始時間前に受付を行い、参列者が入場します
  2. 開式の辞:司会者などが開式の辞を述べます
  3. 黙祷:故人の冥福を祈り黙祷を捧げます
  4. 故人の経歴紹介:故人の来歴や会社での功績などを紹介します
  5. 弔辞:葬儀委員長や取引先、故人の友人などが弔辞を述べます。社葬では、3人から4人程度が弔辞を述べることが多いでしょう
  6. 弔電奉読:いただいた弔電を読み上げます。数が多い場合は2通から3通程度を読み上げ、他はお名前などを紹介します
  7. 葬儀委員長による謝辞:故人との思い出などのほか、参列者へのお礼などを述べます
  8. 喪主挨拶:遺族を代表し、喪主が参列者へお礼の挨拶をします
  9. 献花:葬儀委員長・喪主・遺族・親族・来賓・会葬者の順に献花をします。会葬者が多い場合は全員が献花をせず、代表者が献花をする場合もあります
  10. 閉式の辞:司会者などが閉式の辞を述べて、散会となります

ただし、これは一例です。実際の流れや進行については葬儀社の担当者などとよく相談したうえで検討するとよいでしょう。社葬についてお困りの際は、家族葬のアイリスまでお気軽にご相談ください。

まとめ

社葬の概要や一般葬との違い、社葬の流れなどを解説しました。

社葬とは、企業の創業者や役職者、功労者などが亡くなった際に、会社が施主となって執り行う葬儀です。社葬には、ご遺族と合同で行う「合同葬」や、近親者による密葬の後で行う「(狭義の)社葬」、「お別れの会」などがあります。それぞれ行う時期やスケジュールなどが大きく異なるため、どのような形態で社葬を執り行うのかを定めることが先決です。

社葬には、社外の取引先など多くの参列者が予想されます。社葬を滞りなく進行させられるよう、社葬の実績のある葬儀社にサポートを受けるとよいでしょう。

家族葬のアイリスは葬儀のトータルサポートを行っており、社葬のサポートも可能です。

社葬についてお困りの際は、家族葬のアイリスまでお気軽にご相談ください。