永代供養とは?主な種類や費用相場をわかりやすく解説
身寄りのない方やお墓の承継者がいない方などを中心に、永代供養を選択する人が増えています。
永代供養と一般的なお墓との違いは、どのような点にあるのでしょうか?また、永代供養を選択する際はどのような点に注意する必要があるのでしょうか?
今回は、永代供養の概要や種類、メリットやデメリット、費用などについてくわしく解説します。
永代供養とは
永代供養とは、お墓の管理者である寺院や霊園が遺族に代わり、永代に供養やお墓の管理をしてくれる埋葬の形です。お墓を管理したり定期的に供養に訪れたりする親族がいなくても利用できることから、身寄りのない方などを中心に利用が広がっています。
ただし、一口に永代供養といってもさまざまな種類があるうえ、費用にも大きな幅があります。契約をする際は、埋葬方法や費用などをあらかじめよく確認することをおすすめします。
永代供養と一般的なお墓との主な違い
永代供養と一般的なお墓では、どのような点が異なるのでしょうか?ここでは、主な違いについて解説します。
- お墓の管理や供養をする者
- 費用を支払うタイミング
- 檀家となるか否か
お墓の管理や供養をする者
一般的なお墓では、そのお墓に埋葬されている者の親族などがお墓の管理や供養をします。一方、永代供養の場合にお墓の管理や供養をするのは、寺院や霊園です。
そのため、身寄りがない場合や、近隣に親族が居住していない場合などであっても利用しやすいといえます。
費用を支払うタイミング
一般的なお墓では、最初に「永代使用料」や墓石の購入費用などとしてまとまった費用がかかるほか、その後も継続的に管理費などの支払いが必要です。永代使用料はお墓の敷地である土地を永続的に使用する対価であるものの、一般的な不動産などとは異なり、原則として転売や転貸などはできません。
年間管理費の額は数千円から数万円程度であることが一般的ですが、お墓の所在地する地域や墓地などによって異なります。いずれにしても、初回の支払いだけで対価の支払いが終了するものではなく、継続的な支払いが必要となることが一般的です。
そのうえで、管理料など継続的な支払いに一定の滞納が生じると、墓地の使用権が取り消される可能性があります。墓地の使用権が取り消されると、遺骨などが取り出され、他者の遺骨などとともに埋葬される合祀へと改葬されることとなります。
一方、永代供養の場合は、契約当初にまとまった金銭を支払うのみでよく、原則として継続的な管理費などの支払いは必要ありません。この点からも、継続して管理料を支払ってくれる親族がいない場合であっても利用しやすいといえます。
檀家となるか否か
一般的なお墓に入るには、原則としてその寺院の檀家とならなければなりません。檀家とは、お布施や会費などを負担することにより、寺院を金銭的に支える家を指します。
檀家になると、日常的にお墓の管理や供養などをしてもらえるほか、盆や彼岸など法要が集中する場面であっても優先的な対応が受けられたり、僧侶への相談がしやすかったりするなどのメリットがあります。このように、寺院と檀家は「持ちつ・持たれつ」の関係であり、双方が支え合う制度です。
一方、永代供養の場合は、原則として檀家となる必要はありません。ただし、詳細はその寺院などによって異なるため、なかには永代供養を依頼するにも檀家となる必要があることもあります。
永代供養の主な種類
永代供養と一口にいっても、その埋葬方法にはさまざまな種類があります。ここでは、主な永代供養の種類を4つ紹介します。
- 合祀墓
- 集合墓
- 個別墓
- 納骨堂
なお、選択する人も多い「樹木葬」は、永代供養であることが一般的です。永代供養のうち、シンボルとなるものが樹木であるものなどを、特に「樹木葬」と呼称します。
合祀墓
合祀墓とは、故人の遺骨を骨壺から取り出し、他者の遺骨とともに広いスペースに埋葬する形態です。個別のスペースがないため、永代供養の中でももっとも安価なタイプといえます。
なお、他者の遺骨とともに埋葬されるため、後から遺骨を取り出して改葬することなどはできません。
集合墓
集合墓とは、骨壺や布袋に入れたままの遺骨を埋葬する形態です。埋葬スペースは個々に区切られているため、後から遺骨を取り出して改葬することも可能です。
ただし、一般墓のように個々の埋葬スペースごとに墓石などが建っているのではなく、象徴となる銘板やシンボルツリーなどは他者と共有することとなります。
なお、集合墓は一定期間が経過すると、合祀へと改葬されることが一般的です。改葬までの期間は寺院や霊園などによって異なるため、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。また、集合墓に埋葬されている期間中に限り、管理料が発生することもあります。
個別墓
個別墓とは、一般墓と同じように、個々の銘版やシンボルツリーのもとで個別に埋葬される形態です。ただし、集合墓と同じく、あらかじめ定められた期間が経過すると合祀墓へと改葬される点が永代供養の特徴です。
また、個別墓に埋葬されている期間中は、管理料が発生することがあります。
納骨堂
納骨堂とは、遺骨を埋葬するのではなく、建物の中で保管する形態です。一般墓を「一軒家」、納骨堂を「マンション」とたとえられることもあります。
コインロッカーのように多くの骨壺が広いスペースに並んでおり専用の鍵などで開けられる形態のほか、立体駐車場のように専用カードをタッチすることで家族の遺骨が運ばれてくる形態などがあります。
納骨堂は、墓地のスペースが不足しがちな都心を中心に普及しています。交通の便がよい場所であることも多く、「お墓参り」がしやすい点から選択する人も少なくありません。
なお、納骨堂がすべて永代供養ということではありません。しかし、永代供養方式を選択できるケースが多いため、希望する納骨堂がある場合は確認するとよいでしょう。
永代供養を選択する主なメリット
永代供養を選択することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、一般墓と比較した場合における永代供養の主なメリットを4つ解説します。
- お墓の承継者がいない場合でも利用しやすい
- 費用を抑えやすい
- お墓のメンテナンスが不要である
- 宗派を問わずに利用できる
お墓の承継者がいない場合でも利用しやすい
1つ目は、お墓の承継者がいない場合であっても利用しやすいことです。
一般的なお墓は、親族などの誰かがお墓を承継しなければなりません。また、管理料などを継続して支払うことも必要です。しかし、子どもがいない方や、子どもがいても遠方に居住している場合などには、この点をハードルに感じることが多いでしょう。
一方、永代供養は、お墓の承継者がいなくても利用できます。また、原則として、継続的に費用を負担する必要もありません。
費用を抑えやすい
2つ目は、費用を抑えやすいことです。
永代供養は、一般的なお墓と比較して費用が低いことが一般的です。そのため、「お墓に費用をかけたくない」という想いから永代供養を選択するケースも少なくありません。
ただし、先ほど解説したように、永代供養にはさまざまな種類があり、個別墓や納骨堂は費用が高くなる傾向にあります。「思ったより費用がかかった」と後悔しないよう、永代供養の種類を理解したうえで、あらかじめ費用を確認しておくとよいでしょう。
お墓のメンテナンスが不要である
3つ目は、お墓のメンテナンスが不要であることです。
一般墓の場合、お墓の清掃やお供えなどは親族などが行います。しかし、遠方からお墓参りに訪れたりメンテンナンスのためにお水を運んだりすることは、高齢の親族には負担が大きいものです。定期的にお参りに訪れてくれる親族がいない場合、お墓が荒れてしまうおそれがあるでしょう。
一方、永代供養の場合は寺院や霊園がお墓をメンテナンスしてくれるため、親族などが管理や清掃をする必要はありません。
宗派を問わずに利用できる
4つ目は、宗派を問わずに利用できることです。
一般墓に入るためには原則として檀家となる必要があり、異なる宗派の場合はお墓に入ることができません。
一方で、永代供養は原則として宗派を問わずに利用でき、檀家となる必要もありません。ただし、永代供養であっても檀家となることを求められる場合もあるため、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
永代供養の主なデメリット・注意点
永代供養を選択することには、デメリットもあります。ここでは、主なデメリットと、知っておくべき注意点を4つ解説します。
- 合祀とした場合は遺骨を取り出せない
- 親族などから反対されることがある
- 「永代」は「永遠」ではない
- 埋葬人数によっては割高になることがある
合祀とした場合は遺骨を取り出せない
1つ目は、合祀とした場合は、遺骨を取り出せないことです。
先ほど解説したように、合祀とした場合は不特定多数の者の遺骨とともに埋葬されるため、後から遺骨を取り出すことはできません。
たとえば、「いったん永代供養(合祀)にして、親族から反対されたら一般墓に改葬しよう」などということはできないため注意が必要です。
親族などから反対されることがある
2つ目は、親族などから反対される可能性があることです。
遺族が永代供養を選択した場合、他の親族から「なぜ一般墓としなかったのか」などと責められるおそれがあります。特に、合祀には抵抗を感じる人もおり、独断で永代供養とすれば関係性が悪化してしまいかねません。
そのため、永代供養とする場合には、あらかじめ他の親族に説明をして理解を求めることをおすすめします。
また、故人自らが「終活」として、埋葬などを担ってくれる親族などに永代供養とするよう依頼しているケースや、あらかじめ永代供養の契約までを済ませているケースもあります。その場合には、故人の意思であることを説明することで納得が得やすくなるでしょう。
可能であれば、終活をする本人が自ら他の親族に意向を伝えておくとよりスムーズです。
「永代」は「永遠」ではない
3つ目は、「永代」は「永遠」ではないことです。
「永代供養」という言葉から、未来永劫、永遠に供養をしてもらえるとの勘違いが散見されます。しかし、「永代」とは「長い年月」という意味であり、「永遠」ではありません。
先ほど解説したように、集合墓や個別墓で永代供養を依頼しても、その後一定期間の経過後には合祀となることが一般的です。合祀となるまでの期間はその寺院やプランなどによって異なるため、あらかじめご確認ください。
埋葬人数によっては割高になることがある
4つ目は、埋葬人数によっては割高になる可能性があることです。
永代供養は、原則として「家族ごと」ではなく、個人単位で契約するものです。一方、一般墓の場合は個人ごとに建てるものではなく、原則として家族単位で建立します。
そのため、埋葬する人数が多い場合には、一般墓よりも永代供養が割高になる可能性があります。
永代供養が向いている人
一般墓ではなく、永代供養が向いているのはどのような人なのでしょうか?ここでは、永代供養に向いている人の例について解説します。
- お墓の承継者がいない人
- 家族に負担を掛けたくない人
- 一人または夫婦だけでお墓に入りたい人
お墓の承継者がいない人
お墓の承継者がいない人には、永代供養が向いています。身寄りがない場合は、はじめから合祀とすることも有力な選択肢となるでしょう。
また、兄弟姉妹など高齢の親族のみがいる場合には個別墓の永代供養としたうえで、一定期間の経過後に合祀としてもらうことも一つの方法です。
家族に負担を掛けたくない人
家族に負担を掛けたくない人には、永代供養が向いています。永代供養では原則として継続的な管理費の支払いや、檀家としての付き合いなどが不要であるためです。
たとえば、親族がいても疎遠である場合や、行き来のある親族がみな高齢である場合などには、永代供養が有力な選択肢となるでしょう。ただし、行き来のある親族がいる場合は、独断で永代供養と決めるのではなく、あらかじめ親族と相談しておくことをおすすめします。
一人または夫婦だけでお墓に入りたい人
一人または夫婦だけでお墓に入りたい場合は、永代供養の個別墓などが有力な選択肢となります。
原則として、一般墓の場合は代々続いてきた墓にともに入ることとなります。しかし、墓に入っている親族との関係性などによっては、その墓に入りたくない場合もあるでしょう。
その場合において、子どもなどお墓の承継者がいる場合には、新たに墓を建立することも一つの方法です。一方で、子どもなど承継者がいない場合は、永代供養の個別墓などが選択肢となるでしょう。
ただし、先ほど解説したように、たとえ当初は個別墓であっても一定期間の経過後は合祀となる点に注意が必要です。
永代供養にかかる費用
永代供養にかかる費用の目安は、おおむね次のとおりです。
- 合祀墓:5万円~30万円程度
- 集合墓:20万円~60万円程度
- 個別墓:40万円~150万円程度
また、個別の銘板を作成するなど多くのこだわりを反映した場合には、これら以上に費用がかかることがあります。永代供養にかかる費用や寺院や霊園、地域、プランなどによって大きく異なるため、契約前によく確認してください。
永代費用にかかる主な費用の内訳は次のとおりです。
- 納骨料・埋葬料
- 永代供養料
納骨料・埋葬料
1つ目は、納骨料や埋葬料です。
納骨料や埋葬料とは、遺骨を永代供養墓に納める際にかかる費用です。合祀墓の場合には、納骨料や埋葬料がかからないこともあります。
永代供養料
2つ目は、永代供養料です。
永代供養料とは、永代にわたってお墓の管理や供養をしてもらう費用です。なお、集合墓や個別墓の場合には管理料などがかかることが多いものの、管理料の支払いが別途必要な場合と、永代供養料に含まれている場合があります。
まとめ
永代供養とはどのような埋葬形態であるのか、概要やメリット、デメリットなどを解説しました。
お墓の承継者がいない方にとって、永代供養は有力な選択肢となります。永代供養と一口にいっても、合祀墓や集合墓、個別墓などさまざまな種類があるため、それぞれの違いを理解しておくとよいでしょう。
また、合祀へと改葬されるまでの期間や料金などは寺院や霊園などによって異なるため、あらかじめよく確認したうえで契約することをおすすめします。
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