【2024】生前葬とは?やり方は?流れや費用の相場をわかりやすく解説
生前葬とは、その名のとおり”生きている間に行う葬儀”です。一般的な葬儀は亡くなった後に遺族や親族らによって執り行われるのに対し、生前葬は生きている間に行われる葬儀形式です。
自分自身のこれまでの人生を振り返りながら、家族や友人らに感謝の気持ちを直接伝えられる場となります。今回は、生前葬の基本的な流れやメリット・デメリット、生前葬を行う際に注意したい点を解説します。
生前葬とはどんな葬儀?
生前葬は、人が亡くなった後に行われる一般的な葬儀とは異なり、本人が生きているうちに自らの意志で行う葬儀の形式です。自分の生い立ちやこれまでの人生を振り返り、家族や友人、同僚など、これまで関わってきてくれた人々を集めて思い出を共有したり、直接感謝の言葉を伝えたりする場となります。
一般的な葬儀は、故人との別れを惜しんで悲しい雰囲気になるのに対し、生前葬は感謝を伝える節目の場として前向きな雰囲気で行われることが多いです。また、生前葬は宗教や宗派に関係なくしきたりや決められた流れもないため、自由な形式やプログラムを組むことができます。
そのため、自分の希望を最大限に反映できるのも生前葬の大きな特徴の一つです。
生前葬でできること
生前葬には決まった流れがないため、自分のやりたいことを式に組み込むことができます。中でも、今までお世話になった家族や友人、同僚などを招いて、感謝の気持ちを直接伝える場を設けられることが多いです。
一般的な葬儀では、故人の気持ちを遺族が代弁する場面が多いですが、生前葬では自分の言葉で直接伝えられます。また、写真や動画、スライドショーなどを用いて、自分の生い立ちやこれまでのあゆみ、参列者との思い出を共有できることも生前葬の特徴です。
また、食事を用意して参列者と共に歓談を楽しんだり、会場内に自分の好きな音楽をかけて自分自身の個性を演出したりするなど、さまざまな点において自分のこだわりを詰めることができます。
基本的な生前葬の流れ
続いては、生前葬を行う上での基本的な流れを解説します。この流れはあくまで一例であり、生前葬は自分のやりたいことや好みに応じて自由にプログラムを組み立てられます。
- 生前葬開式の案内
- 代表者の挨拶
- 主催者の入場
- 主催者の生い立ち・あゆみの紹介
- 参列者からの挨拶
- 参列者との歓談・余興など
- 主催者からの挨拶
- 生前葬閉式の挨拶・見送り
生前葬開式の案内
まず、司会者などの進行役が、式の開始を告げるところから始まります。通常の葬儀とは違った和やかな雰囲気の中で、参列者に対して生前葬に来てくださった感謝の気持ちを込めて式の開始を宣言します。
代表者の挨拶
続いて、生前葬の開始に際し、参列者へ主催者家族の代表者から挨拶を行います。代表者は主催者の子どもや配偶者が務めることが多いです。挨拶では、生前葬に参列してくださったことに対するお礼や、生前葬の趣旨を説明すると良いでしょう。
主催者の入場
進行役の指示に従い、生前葬の主催者が会場へと入場します。最初から主催者が会場に着席している状態でも構いません。
主催者の生い立ち・あゆみの紹介
生い立ちやあゆみなど、主催者のこれまでの人生を振り返ります。進行役に原稿を読んでもらう他にも、動画や写真をまとめたスライドショーを用意すると、参列者により主催者の人となりが伝わりやすいでしょう。参列者は、主催者と共に過ごした日々を思い出し、感慨深い時間を過ごします。
参列者からの挨拶
参列者の方に主催者へのスピーチを行ってもらうこともあります。一般的な葬儀における弔辞に当たるものです。参列者へスピーチをお願いする場合は、前もってその旨を参列者へ依頼しておく必要があります。
参列者との歓談・余興など
生前葬の後半では、参列者との歓談の時間を取ることが多いです。食事やお酒を楽しみつつ、主催者は参列者へ直接感謝の気持ちを伝えると共に、思い出話に花を咲かせてリラックスした時間を過ごします。
参列者とより自由な時間を過ごしたい場合は、立食形式の生前葬にすることもあります。また、ダンスや歌など主催者の趣味に応じた余興をプログラムに組み込んだり、プロのアーティストを招いて芸を披露してもらったりするケースもあるようです。
主催者からの挨拶
式の最後には、主催者から挨拶が行われます。参列者への感謝を伝えると共に、生前葬を行うことにしたきっかけや、これから残りの人生をどのように生きていくかの意気込みを話し、生前葬を締めくくります。
生前葬閉式の挨拶・見送り
進行役から式の閉式が告げられ、生前葬は幕を下ろします。最後は、主催者が式場の出口で参列者一人ひとりと挨拶をかわしお見送りをします。場合によっては、参列者への感謝を込めてプレゼントが手渡されるケースもあるようです。
生前葬にかかる費用
生前葬を行う場合、会場を借りる費用や演出費用、装花などの装飾費用がかかります。どのような内容の生前葬にするかにもよりますが、親族や友人らのみで行う小規模な生前葬の場合、費用相場は約30万円からが相場とされています。レストランなどを貸し切って開催する場合は、さらに金額を抑えることも可能です。
また、食事や飲み物をお出ししたり、主催者の生い立ちを紹介するムービーを作成したりする場合は、別途費用が発生するため注意が必要です。
家族葬のアイリスでは、生前葬のご相談を受け付けるほか、葬儀のトータルサポートを全国で行っています。専門のコールスタッフが24時間365日丁寧に対応いたしますので、大切なご家族に突然の不幸があった際は、家族葬のアイリスまでお気軽にご相談ください。
生前葬のメリット
続いては、生前葬のメリットをお伝えします。生前葬には、お世話になった方へ感謝を伝えられたり、家族への負担を抑えられたりするといったメリットがあります。
- お世話になった方へ直接感謝を伝えられる
- 葬儀で自分が希望する内容を実現できる
- 残される家族への負担が抑えられる
お世話になった方へ直接感謝を伝えられる
生前葬の最大のメリットともいえるのが、今までお世話になった方々に直接感謝の気持ちをお伝えできる点です。
一般的な葬儀では、故人の気持ちを遺族らが代弁して参列者に伝える形が多いですが、生前葬では本人が生きているうちに家族や友人らにお礼の言葉を述べることができます。また、直接感謝の気持ちを相手に伝えることで、人生の終わりに向けて心の整理をすることにも繋がります。
葬儀で自分が希望する内容を実現できる
自分が望む内容で葬儀を行えるのも、生前葬のメリットの一つです。お通夜や葬儀のように決まった形や流れがないため、例えば趣味のダンスを披露したり、式場内に好きな音楽を流したりと、主催者が希望する内容を式に反映してアレンジできます。また、宗教や宗派にも縛られないため、しきたりを重んじすぎず肩ひじを張らないリラックスした雰囲気の式を実現できます。
残される家族への負担が抑えられる
生前葬のメリットの一つに、家族への負担を減らせることが挙げられます。
葬儀を行う場合、故人の遺族が葬儀会社と打合せや手配など式の準備を行うことが一般的です。一方、生前葬の場合は生前葬を希望する本人が打合せや必要な準備を行うため、家族への負担軽減につながります。
また、生前葬を行っておけば、実際に亡くなった後に行われる葬儀を簡略化できます。そのため、残された家族への金銭的負担を抑えることも可能です。
生前葬のデメリット
続いては、生前葬のデメリットをお伝えします。生前葬にはデメリットもあるため、生前葬を希望する場合はこれらのデメリットを踏まえた上で検討する方が良いでしょう。
- 家族や周りの人から理解を得づらい
- 二重で葬儀費用が掛かる場合がある
- 自分勝手な印象を与える可能性がある
家族や周りの人から理解を得づらい
生前葬は、近年は注目されることも増えたとはいえ、まだまだメジャーとは言い難い葬儀形式です。そのため、自分は生前葬を希望していたとしても家族や親族らの中には、生前葬のコンセプトを理解してもらえないこともあります。
また、年配の方など古くからの伝統を重んじる傾向にある方からは、古くからお世話になっている菩提寺で葬儀を行うことを慣例と捉え、新しい葬儀形式である生前葬を行うことに拒否感を示されて反対されることもあります。
二重で葬儀費用が掛かる場合がある
生前葬を行っている場合、実際に亡くなった後は基本的に葬儀は必要ありません。
しかし、生前葬を行っていた場合でも、遺族たちが気持ちに区切りをつける意味で改めてお通夜や葬儀を行うケースもあります。この場合、生前葬と一般の葬儀とで二重に葬儀費用がかかってしまい、残された家族に金銭的な負担をかけてしまう可能性も考えられます。
自分勝手な印象を与える可能性がある
生前葬は、自分の意思で行われる葬儀の形です。そのため、家族や親族らから理解を得られないままに準備を進めてしまうと、周囲に自分勝手な印象を与えてしまい、関係に亀裂を生じさせたり、最悪の場合トラブルに発展したりする可能性もあります。
また、参列者側も生前葬に参列した経験のある方は少ないため、生きている間に主催者の人生を振り返る生前葬を困惑の気持ちで受け止められることも考えられます。
生前葬を行なう際に注意したいこと
続いて、生前葬を行なう際に注意したい点をお伝えします。生前葬を無事に成功させるために、これらの内容を踏まえて準備を進めましょう。
- 家族の理解を得ておく
- 実際に亡くなった後のことも考える
- やりたいことをイメージしておく
家族の理解を得ておく
生前葬を行う前に一番注意してほしいのが、家族や親族らの理解を得ることです。
先ほどもお伝えしたように、生前葬は未だメジャーとはいえない葬儀形式です。そのため、家族や親族からは、生前葬を行なうことに難色を示される可能性もあります。
このような状態で生前葬を行うと、関係にしこりを残してしまうこともあるため、注意が必要です。生前葬への理解を得るために、なぜ自分が生前葬を行いたいのか、生前葬の目的などを説明したうえで、家族や親族からの意見も聞きつつ、しっかりと話し合いを行いましょう。
実際に亡くなった後のことも考える
生前葬を行う際は、自分の死後の取り扱いについても考えておく必要があります。
人が亡くなった後、ほとんどの場合、遺体は火葬されます。一般的なお葬式の場合は、お通夜や葬儀を経て火葬されますが、生前葬を行っている場合はお通夜と葬儀を省略し、直接火葬へと進む直葬の形がとられることが多いです。
なお、先祖代々受け継いだ墓や菩提寺がある場合は、生前葬を行うと墓への納骨を許されないこともあります。なぜなら、中には生前の葬儀を認めていない宗教もあるためです。
生前葬を行う場合は、死後の遺体の葬り方についても家族としっかり話し合っておきましょう。
やりたいことをイメージしておく
生前葬は、しきたりや決まった流れがないため、自分で式の内容を考える必要があります。
中には生前葬の内容を提案してくれる葬儀会社もありますが、生前葬の経験のある葬儀社はまだ少なく、納得する提案を受けられるかも葬儀社次第です。そのため、式の中でやりたい内容を具体的にイメージしておく方が生前葬をスムーズに計画できるでしょう。
生前葬に関してよくある質問
ここまで、生前葬に関する基本情報やメリット・デメリットなどを解説してきました。最後に、生前葬に関してよくある質問を解説します。
生前葬はいつからやるの?
生前葬を行うのに特に決まったタイミングはありませんが、退職したタイミングや古希や傘寿といった長寿の節目に行う方が多いです。その他にも、病気などで余命を宣告されるなど死を身近に感じた機会に行う方もいるようです。
どんな場所で生前葬ができる?
生前葬の開催場所には、さまざまな選択肢があります。
家族や友人のみでこぢんまり行う場合は、ご自宅などで行うことも可能です。一方で、お世話になった方々を大人数呼びたいという場合は、ホテルの宴会場や貸し切れるレストランのほか、葬儀ホールなどを利用して行われることもあります。
なお、選ぶ会場の大きさによってかかる費用が変わってきますので注意しましょう。
生前葬とお別れ会の違いは?
お別れ会は、葬儀後に故人とゆかりのある方々を集めて故人とお別れをする会を指します。生きている間に行われる生前葬に対し、お別れ会は亡くなってから行われるのが大きな違いです。
また、生前葬は主催者が自ら計画をして開催されますが、お別れ会は故人と関係のあった方が発起人となって行われることも違いの一つです。
生前葬に宗教は関係する?
ほとんどの場合、生前葬には宗教・宗派による制約はありません。そのため、生前葬では宗教的な儀式に縛られることなく、自分の好きな内容を取り入れた式にすることが可能です。
もちろん、宗教儀式を取り入れることもできますが、必ずしも必要ではありません。
生前葬に香典はあるの?
基本的に、生前葬には香典の考えはありません。
香典には、亡くなった方に対して供える金銭や供物のことを指し、家族を亡くした遺族へ励ましの意味でお渡しする物です。そのため、生きている状態で行なわれる生前葬では、香典を辞退するケースが多くみられます。
一方で、生前葬は会費制の形で行われることが一般的です。そのため、参列者に生前葬への招待状を送る際は、会費制であることについて明記する必要があります。
また、参列者の中には香典の取り扱いについて迷う方もいます。そのため、併せて香典辞退の旨を記しておくことも大切です。
まとめ
生前葬の基本的な流れやメリット・デメリット、生前葬を行う際に注意したい点など、生前葬の概要をお伝えしました。
生前葬は、生きている間に家族やお世話になった方に感謝の気持ちを伝え、これまでの人生を振り返ることのできる特別な葬儀形式です。生前葬は、自分の望む内容で執り行うことができるなどメリットがある反面、まだまだ認知度の低い葬儀形式です。
そのため、生前葬を行う場合は、家族や身近な人の理解を得ることが大切です。生前葬を行う場合は、自分のやりたいことを明確にしつつ、参列者への感謝の気持ちを表せられる会を目指しましょう。
家族葬のアイリスでは、葬儀のトータルサポートを全国で行っています。大切な家族に突然のご不幸があった際も、専門のコールスタッフが24時間365日対応いたしますので、家族葬のアイリスまでいつでもご相談ください。
また、生前葬に関するご相談もお受けしています。気になることがあればお気軽に家族葬のアイリスまでお問い合わせください。
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