樹木葬とは?費用相場は?メリット・デメリット、注意点をわかりやすく解説
供養の形が多様化し、樹木葬を選ぶ人も増えています。しかし、樹木葬とひとくちにいっても、実はさまざまな埋葬形態があります。正しく理解しないまま契約してしまえば、想定していた供養が実現できず後悔してしまうかもしれません。
では、樹木葬とは、そもそもどのようなものを指すのでしょうか?また、樹木葬には、どのような種類があるのでしょうか?今回は、樹木葬とはどのような埋葬形態であるのかくわしく解説するとともに、樹木葬の注意点などをまとめて紹介します。
樹木葬とは
樹木葬とは、遺骨を埋葬する場所に墓石を設置するのではなく、樹木をシンボルとする埋葬形態です。「草花に囲まれて眠りたい」「自然に還りたい」などの希望から選ばれることが多いでしょう。
ただし、後ほど解説しますが、樹木葬と一口にいってもさまざまな埋葬形態があることに注意しなければなりません。
樹木葬の主な特徴
樹木葬は、どのような特徴を有しているのでしょうか?ここでは、樹木葬の一般的な特徴を3つ解説します。
- 樹木をシンボルとしている
- 原則として永代供養である
- 一般墓より安価であることが多い
樹木をシンボルとしている
1つ目は、その名称どおり樹木をシンボルとしていることです。
後ほど解説しますが、自然の森林に埋葬する場合と、墓地などにシンボルツリーを設置して埋葬する場合などがあります。シンボルとなる樹木は、1人の遺骨に対して1本ということは稀であり、複数の遺骨に対して1本のシンボルツリーが設置されることが多いでしょう。
シンボルとなる樹木の種類や墓地全体の雰囲気などはその墓地や霊園によって異なるため、申し込みをする際はあらかじめ現地の雰囲気を確認することをおすすめします。
原則として永代供養である
2つ目は、原則として永代供養であることです。永代供養とは、寺院や霊園が墓地の管理や供養を行う埋葬形態です。
一般的なお墓の場合は、お墓を承継した家族がお墓の管理や供養を行わなければなりません。また、これに伴い、お寺の檀家となる必要が生じます。
一方で、永代供養の場合は寺院などが永代に渡って管理や供養をしてくれるため、家族がお墓を管理する必要はありません。また、檀家となることなく利用できるものも多くなっています。
樹木葬は原則として永代供養の形をとっているため、お墓の承継者がいない場合であっても利用しやすいといえます。
一般墓より安価であることが多い
3つ目は、一般墓よりも安価であることが多いことです。
樹木葬では墓石を建立する必要がないうえ、1人あたりの埋葬スペースが一般墓よりも小さいことが一般的です。そのため、一般墓よりも費用を抑えやすいといえます。
ただし、埋葬する人数が多い場合など、状況によっては一般墓よりも費用が高くなることもあります。あらかじめ見積もりをとるなどして、トータルでかかる費用を確認しておくとよいでしょう。
【埋葬場所別】樹木葬の種類
「樹木葬とは、自然に還る埋葬方法」であると考えている人は少なくないようです。しかし、樹木葬といってもその埋葬場所はさまざまであり、必ずしも「自然に還る」方法であるとは限りません。ここでは、樹木葬の種類を埋葬場所ごとに解説します。
- 里山型
- 公園型
- 庭園型
里山型
里山型の樹木葬とは、法律(墓地、埋葬等に関する法律)の許可を受けた山林に遺骨を直接埋葬する樹木葬です。自然の野山に遺骨をそのまま埋葬するため、「自然に還る」とのイメージにもっとも近い形態であるといえるでしょう。また、里山保全を目的の一つとして設けられているものも多く、自然にも優しい埋葬方法です。
ただし、里山型の樹木葬には広大な敷地が必要であるため、都市部への設置は困難です。そのため、里山型の樹木葬はそのほとんどが郊外に設置されており、交通の便がよくない傾向にあります。
公園型
公園型の樹木葬とは、霊園や寺院の一角が公園のように整備されており、その区画内に埋葬される形の樹木葬です。公園内には草木が植えられており、景観が美しいことが特徴です。
シンボルとなる樹木は区画内に数本が植えられることが多い一方で、埋葬スペースごとに1本の樹木が植えられていることもあります。公園型の場合も広い敷地が必要であるため、郊外に多い傾向にあります。
庭園型
庭園型の樹木葬とは、霊園や寺院の一角を樹木葬の専用スペースとする樹木葬です。公園型よりも敷地が狭く都心にも設置しやすい点が特徴であり、「都市型樹木葬」と呼ばれることもあります。交通の便が比較的よい一方で、価格が高くなる傾向にあります。
【埋葬形態別】樹木葬の種類
樹木葬には、埋葬形態にもさまざまな種類があります。ここでは、埋葬形態から見た樹木葬の種類を3つ紹介します。
- 合祀墓
- 集合墓
- 個人墓
合祀墓
合祀墓とは、遺骨を骨壺から取り出し、1つの大きな埋葬スペースに不特定多数の遺骨をまとめて埋葬する形態です。
シンボルツリーは、1つの埋葬スペースに1本が設置されることが多いでしょう。樹木葬の中でもっとも安価である一方で、他者の遺骨とまとめて埋葬されるため、後から遺骨を取り出すことはできません。合祀墓の費用の目安は、1人あたり5万円から30万円程度です。
はじめから合祀墓を選択することもできる一方で、当初は集合墓や個人墓へ埋葬されても、一定期間の経過後はこの合祀墓へと改葬されることが一般的です。集合墓や個人墓から合祀墓に改葬されるまでの期間はその墓地や契約内容などによって異なるため、契約前の確認は必須といえます。
集合墓
集合墓とは、家族専用の区画が設けられ、そのスペースに家族単位で埋葬される形態です。骨壺のまま埋葬される場合のほか、遺骨をパウダー状としたものを専用の布袋に移して埋葬される場合もあります。先ほど解説したように、一定期間の経過後は合祀墓へと改葬されることが一般的です。
集合墓の費用の目安は、1人あたり10万円から70万円程度です。
個人墓
個人墓とは、1人ずつに専用の区画が設けられ、そのスペースに埋葬される形態です。集合墓と同じく骨壺のまま埋葬される場合と、パウダー状とした遺骨を布袋に入れて埋葬される場合とがあります。
樹木葬の中で費用はもっとも高くなり、費用の目安は1人あたり30万円から150万円程度です。一定期間の経過後は、合祀墓へと改葬されることが一般的です。
樹木葬を選択する主なメリット
樹木葬を選択することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、樹木葬の主なメリットを4つ解説します。
- 「自然に囲まれて埋葬されたい」など故人の希望をかなえやすい
- 一般墓より費用が安い傾向にある
- お墓を管理する手間がかからない
- お墓の承継者がいなくても利用しやすい
「自然に囲まれて埋葬されたい」など故人の希望をかなえやすい
1つ目は、「自然に囲まれて埋葬されたい」「自然に還りたい」など、故人の希望をかなえやすいことです。
自然回帰を望む人は多く、樹木葬はその希望を叶える一つの方法となります。なお、自然回帰を望む場合、粉末状とした遺骨を海などに撒く「散骨」も選択肢にあがりやすいでしょう。
ただし、先ほど解説したように、樹木葬であるからといって必ずしも自然回帰ができるとは限りません。故人が自然回帰を強く望んでいた場合は、里山型の樹木葬が有力な選択肢となります。
一般墓より費用が安い傾向にある
2つ目は、一般墓と比較して費用が安い傾向にあることです。
樹木葬では、1人あたりの埋葬スペースが一般墓よりも小さいことが多いうえ、集合墓や個人墓であっても一定期間の経過後は合祀墓へと改葬されることが一般的です。また、墓石も購入も必要ありません。そのため、一般墓よりも費用を抑えやすいといえます。
ただし、後ほど解説しますが、状況や契約内容などによっては一般墓よりも費用が高くなる可能性もあります。そのため、あらかじめ見積もりをよく確認してください。
お墓を管理する手間がかからない
3つ目は、お墓を管理する手間がかからないことです。
樹木葬は永代供養であることが一般的であり、お墓の管理や供養は寺院や霊園管理者などが担ってくれます。そのため、家族などにお墓を管理する手間がかかりません。
お墓の承継者がいなくても利用しやすい
4つ目は、お墓の承継者がいなくても利用しやすいことです。
先ほど解説したように、樹木葬のほとんどは永代供養の形をとっています。そのため、家族がお墓を承継する必要がなく(承継できず)、お墓の承継者がいなくても利用することが可能です。
また、一般的なお墓の場合は定期的に管理費や維持費を支払い続けなければならない一方で、永代供養である樹木葬では利用時の一括払いのみでよく、原則として継続的な支払いは必要ありません。この点からも、承継者がいなくても活用しやすいといえます。
ただし、集合墓や個別墓への埋葬期間中は定期的な管理料の支払いが必要となる場合もあるため、あらかじめ寺院や霊園管理者に確認しておくとよいでしょう。
樹木葬を選択する主なデメリット・注意点
樹木葬にはメリットも多い一方で、デメリットや注意点もあります。ここでは、樹木葬の主なデメリットと注意点を解説します。
- 里山型の場合はお墓参りがしづらい傾向にある
- 周囲から反対意見が出る可能性がある
- 合祀とされた後は遺骨をとり出すことはできない
- 状況によっては一般墓より費用が高くなることがある
- 景観が変化する可能性がある
里山型の場合はお墓参りがしづらい傾向にある
樹木葬の中でも、里山型は広大な敷地が必要であるため、交通の便がよくない場所に設置される傾向にあります。公共交通機関だけでは出向くことが難しく、自家用車やタクシーが必要となることが多いでしょう。
そのため、お墓参りがしづらく、お墓参りに訪れる人が少なくなりやすいことを理解しておく必要があります。
周囲から反対意見が出る可能性がある
樹木葬は比較的新しいお墓の形であり、伝統的なお墓の形態とはいえません。そのため、親族などから反対意見が出る可能性があります。また、お墓参りがしづらいことから反対される場合もあるでしょう。
強い反対意見が出されているにもかかわらず、樹木葬を決行すれば、親族関係に亀裂が入る事態となりかねません。そのような事態を避けるため、樹木葬を選択しようとする際はあらかじめ親族に意向を伝え、相談しておくことをおすすめします。
また、自身が終活の一環として樹木葬の契約をしようとする際は、自身から親族などに対し、樹木葬としたい旨を伝えておくとよいでしょう。自身の口から伝えておくことで、実際に埋葬を担ってくれる家族が、親族から責められる事態を避けやすくなるためです。
合祀とされた後は遺骨をとり出すことはできない
先ほど解説したように、樹木葬には主に合祀墓と集合墓、個人墓などがあります。そして、当初は集合墓や個人墓を選択しても、一定期間の経過後には合祀墓へと改葬されることが一般的です。
いったん合祀されると、その後は遺骨を取り出すことはできません。つまり、合祀墓に埋葬されてから何らかの理由で後悔したとしても、もはや遺骨を取り出して一般墓などへ改葬することはできないということです。
なぜなら、合祀墓では遺骨を骨壺から取り出したうえで、不特定多数の者の遺骨とともに埋葬されるためです。そのため、樹木葬を選択する際は、この点をよく理解しておく必要があるでしょう。
状況によっては一般墓より費用が高くなることがある
樹木葬の費用は、一般墓の費用よりも安くなることが一般的です。ただし、状況によっては、樹木葬の費用が一般墓よりも高くなることがあります。
たとえば、家族など多くの者を樹木葬とする場合が挙げられます。なぜなら、樹木葬は埋葬される人の単位で費用がかかる一方で、一般墓では埋葬する人の数が2人になっても費用が倍になるわけではないためです。
また、都心にある人気の樹木葬や個人墓では費用が高くなる傾向にあるほか、プレートなどを凝ったものとすればその分費用が高くなります。そのため、「樹木葬イコール安い」と思い込むのではなく、希望する墓地やプランなどに合わせて見積もりをとることをおすすめします。
景観が変化する可能性がある
樹木をシンボルとする性質上、樹木葬は景観の変化が大きくなる傾向にあります。
たとえば、春や夏には草花が咲き華やかであったとしても、冬場には葉が落ち、寂し気な印象となる可能性があります。また、年月の経過とともに樹木の形状が変わる可能性があるほか、管理状況によって景観が変わる可能性も否定できません。中でも、里山型の樹木葬では景観の変化が大きくなりやすいでしょう。
樹木葬を選択する際は、景観が変化することを念頭に置く必要があります。
樹木葬にかかる費用の種類
樹木葬には、どのような費用が掛かるのでしょうか?最後に、樹木葬に係る主な費用を解説します。具体的な金額はその寺院や霊園、プランなどによって異なるため、希望する墓地や霊園から見積もりをとることをおすすめします。
霊園使用料
霊園使用料とは、埋葬のためにその土地や区画を使用する費用です。合祀の場合が最も安く、集合墓や個別墓で高くなる傾向にあります。
永代供養料
永代供養料とは、永代に渡って遺骨を供養する費用です。定期的に支払うのではなく、契約時や納骨時にまとめて支払うことが一般的です。
埋葬料・彫刻料
埋葬料・彫刻料は、埋葬にかかる費用や、お墓に添えるプレートに名前を彫刻することにかかる費用です。霊園使用料などにはじめから含まれている場合もあります。
管理費
管理費とは、霊園の施設の維持や管理などにかかる費用です。
樹木葬の場合、はじめから霊園使用料に含まれていることも少なくありません。また、生前に契約した場合、実際に埋葬するまでの期間中だけ管理費がかかることもあります。
まとめ
樹木葬の概要や種類、メリットやデメリット、注意点などについて解説しました。
樹木葬とは、墓石ではなく樹木をシンボルとする埋葬方法です。山林などにそのまま埋葬する「里山型」や墓地や霊園の一角に埋葬する「公園型」、「庭園型などさまざまな種類があります。また、埋葬方法にも合祀墓や個人墓などの形態があるため、樹木葬を選択する際は、どのような形での埋葬を希望するのかしっかりと検討しなければなりません。
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