お通夜はいつ行う?亡くなった何日後?一般的な日程を宗教別にわかりやすく解説
お通夜は、故人の死を悼み冥福を祈るために行われる儀式です。一般的に故人の葬儀や告別式の前日に行われるもので、遺族の宗教や地域によって形式に違いがあります。
今回は、お通夜がいつ行われるのか、日程の調整方法、宗教ごとの違い、そして日程調整のポイントと参列する際のマナーについて解説します。
お通夜の意味と目的
お通夜は、亡くなった方の冥福を祈り、死を悼むために行われます。葬儀や告別式の前日に行われることが多く、葬儀後にお通夜をするというケースはありません。お通夜は、遺族や参列者が集まって故人と最後の夜を過ごすという場として広く認識されています。
お通夜の役割
お通夜は、葬儀の前夜に行われることが一般的です。葬儀や告別式とは別に、遺族や親しい人々が集まって、故人に別れを告げるというものです。仏式の場合は、僧侶による読経も行われますが、葬儀とは別のものです。
本来、お通夜は文字通り「夜を通して」故人を見守るというものでした。一晩中、蝋燭と線香の火を絶やさずに故人と共に過ごすというものでしたが、遺族の負担が大きくなるため、現代では短時間で終わることが一般的となっています。
加えて、葬儀や火葬の前日に行われることから、遺族や関係者が故人と別れを受け入れるための時間という役割もあります。
お通夜を行う目的
お通夜を行う目的は、故人の魂が無事に成仏できるようにという祈りと供養ため、そして故人との別れを遺族や関係者が受け入れるための儀式でもあります。特に仏教においては、死後の魂が成仏するために、読経や焼香などが必要と考えられているため、お通夜でも僧侶による読経と焼香が行われます。
加えて、お通夜は故人との最後の時間を過ごし、別れを告げるための重要な場でもあります。遺族と参列者が集まり、故人を偲び、遺族や近しい者同士がその悲しみを共有し、慰め合うための場です。
参列者の中には、スケジュールの都合でどうしても葬儀に出席できない人もいるでしょう。そのような場合には、お通夜は葬儀に代わる別れの機会となります。このように、お通夜は故人との別れの機会であり、同時に遺族を支えるための場ともなっているのです。
お通夜はいつ行われる?
お通夜は、いつどのようにして行われるのでしょうか?ここでは、葬儀や告別式とは別に行われるお通夜はいつ行われるのか、一般的な日程や時間帯について解説します。
お通夜の一般的な日程
お通夜は、故人が亡くなった日の翌日か2日後に行われることが一般的です。この日程は、遺族と葬儀場、お寺のスケジュールを確認して総合的に決定します。
遺族が葬儀社や寺院と協議して日程を決定しますが、お通夜は葬儀の前日に行われることが多くなっています。亡くなってから何日も経過してからお通夜を行うというケースがないわけではありませんが、あまり日を開けないことがほとんどです。
仏教以外の、神道やキリスト教、無宗教の場合でも、葬儀の前に一度集まり、故人を偲ぶ機会を設けることが多くなっています。
いずれにしてもお通夜は葬儀の前に行われるもので、葬儀後にお通夜が執り行われることはありません。
お通夜の時間帯
お通夜は、夕方から夜の時間帯にかけて行われることが一般的です。多くの場合、18時〜19時頃に開始され、1〜2時間程度で終了します。
お通夜が夜に行われるのは、お通夜が元々は夜通し故人についているという儀式であり、夜に静かに故人を偲ぶという伝統的な風習に基づいているためです。そして、日中に仕事や学校に通っている方たちが参列しやすいようにという配慮も含まれています。
お通夜が終了した後、家族や親しい人々が故人と過ごす時間を持つ「通夜振る舞い」が行われ、軽食が振る舞われることがあります。ただし、通夜振る舞いは省略されるケースもあり、家族だけで過ごすというスタイルも増えています。
また、近年では少なくなって来ましたが、古くからのしきたりや習慣にしたがって、夜通しで故人を見守る風習が残っている地域や家庭も存在します。
宗教ごとにお通夜が行われるスケジュールや内容は異なる
お通夜は、故人の死を悼むという目的で行われる重要な儀式で、遺族の宗教ごとにそのスケジュールや内容には違いがあります。ここでは、仏教、神道、キリスト教、無宗教の形式について解説します。
仏教におけるお通夜の日程
仏教においては、故人が亡くなってから早い段階でお通夜が行われます。一般的に、お通夜は故人が亡くなった日の翌日に行われ、その後の葬儀や告別式へと続きます。
仏教では、故人の魂が浄土へ迷わず旅立つようにという宗教的な考え方に基づいて、お通夜で僧侶による読経が行われます。この読経は、故人の成仏を祈るためのもので、故人の魂が安らかに成仏できるようにという意味が込められた祈りです。
また、仏教は細かく宗派が別れており、お通夜の形式や焼香の回数のルールが異なることがあります。ただ、どの宗派においても基本的な目的は同じです。
神道のお通夜の日程
神道では、お通夜を「通夜祭」といいます。お通夜と同様に、葬儀の前日に行われることが多くなっています。
通夜祭は、故人の魂がこの世から旅立つ前に、家族や親しい人々が集まって最後の時間を過ごすという意味があります。また、神道ではお通夜祭の後に「遷霊祭」という儀式があり、故人の魂が無事に次の世界へ旅立てるようにという祈りを捧げます。
神道の通夜祭では、神職が祝詞をあげて故人の冥福を祈ります。その後、玉串奉奠(たまぐしほうてん)という儀式が行われます。仏教のように焼香は行いませんが、玉串を供えることで故人の魂を慰めます。
宗教的な違いはありますが、故人の死を悼むという意味や最後の時間を過ごすという目的は仏教と大きく変わりません。
キリスト教のお通夜
本来、キリスト教ではお通夜はありません。しかし、日本の慣習に合わせて、葬儀の前日にお通夜にあたる前夜祭が行われることがあります。
前夜祭では、牧師や司祭が聖書を朗読し、故人が天国で安らかに眠ることを祈ります。日本の風習に合わせて行われているものであるため、仏教や神道のような儀式は少なく、シンプルな場となるケースが多くなっています。
仏教や神道と同じように、キリスト教のお通夜でも遺族と参列者が祈りとともに故人を偲びます。日本では、仏教や神道に由来する日本の伝統的なお通夜の要素を取り入れながら、キリスト教の教えに基づいて儀式が行われるケースがあります。
無宗教・自由葬のお通夜の日程
仏教でも神道でもキリスト教でもなく、無宗教のお通夜もあります。このような無宗教の自由葬では、宗教的な儀式に縛られない形でお通夜が行われます。
この場合、お通夜の形式や日程は、遺族と故人の意向に応じて設定されるため、これまでの伝統が通用しないことがあります。また、読経などの宗教的な要素を取り入れないというケースもあります。その場合でも、故人の死を悼むという目的は同じです。
自由なスタイルであるため、故人に対する感謝や別れの気持ちを持った友人や家族が集まり、思い出を語り合う場という意味合いがより強くなります。
自由葬のお通夜であっても、葬儀の前日に行われることがほとんどです。ただし、故人と遺族の希望に応じて、時間帯や形式が決定されるため、宗教的なお通夜より柔軟なスケジュールで行われることが特徴です。
地域によってお通夜の習慣に違いがある
お通夜の形式には、地域による違いがあります。ただし、お通夜が葬儀前日の夕方にかけて行われるという点において、ほとんど地域差は見られません。
東日本では、参列者に対して食事が振る舞われる通夜振る舞いの規模が大きいのに対し、西日本では、親族だけで静かに故人を偲ぶ時間を過ごすことが多いです。また、地域によっては、お通夜が夜通し行われる場合もありますが、現代では短時間で済ませることが主流です。
お通夜の日程に関する特別なケース
多くの場合、お通夜の日程は葬儀の前日に設定されます。しかし、亡くなったタイミングなどによっては日程の調整が必要となることもあります。ここでは、特別な日程調整が必要となる主なケースについて解説します。
連休中や年末年始のお通夜
連休中や年末年始に故人が亡くなった場合、お通夜の日程を調整する必要があります。葬儀社や寺院が休業している場合もあるため、数日待たなければならないこともあるでしょう。
年末年始は葬儀場の予約が取りにくい時期でもあるため、早めに手続きを進めることが重要です。年末に亡くなった場合は、年内にお通夜を行わず、年が明けてから執り行うこともあります。この場合、亡くなってから時間が経過してお通夜と葬儀が行われることになります。
遠方に親族がいる場合
遠方に住んでいる親族がいる場合、お通夜の日程を調整することがあります。特に、親族が多く集まる大規模なお通夜となる場合は、参列者の交通手段や移動時間を考慮して、通常よりも遅い日程で行うことが多くなります。
また、現代ではオンラインでお通夜に参加する方法も増えています。遠方に住む親族や友人がリモートで参加するケースも見られます。
故人の職業や公的立場による影響
故人が公的な立場の人物であったり著名人だったりする場合は、お通夜に集まる参列者の数が多くなることがあります。その場合は、大規模な会場が必要となるため、会場の日程調整と準備に複数日の時間が必要になるケースもあります。
参列者が多く訪れる場合は、受付や進行管理にも時間がかかり、受付の対応など細かい打ち合わせが必要になります。また、お通夜の時間や日程を細かく調整する必要があります。
お通夜の日程調整での注意点
一般的に、お通夜は葬儀の前日に行われますが、日程調整において考慮するべきことがあります。ここでは、お通夜の日程調整で考慮すべきことについて解説します。
遺族が考慮すべき点
お通夜の日程を決める際、遺族はまず葬儀社や寺院との調整を行う必要があります。そして、家族や親族が集まりやすい時間帯を考慮し、遠方に住む人が間に合うようにスケジュールを設定することが求められます。近親者が遠方にいる場合は、配慮が必要です。
また、お通夜は葬儀の前に行うことが一般的であるため、お通夜の日程調整と同時に、葬儀の日程を調整することになります。さらに、参列者が多く見込まれる場合や、故人が公的な立場にあった場合や著名人である場合は、受付の手配や駐車場の確保、会場の準備など、さまざまな要素を考慮して進行します。
参列者がお通夜に参列できない場合の対応
訃報の連絡をもらったら、原則として参列者は遺族側の案内に従ってお通夜に参列することとなります。しかし、どうしてもお通夜に参列できない場合もあるでしょう。
その場合は、遺族に事前に参列できない旨を伝えることがマナーです。連絡をもらったにも関わらず、参列できないからそのままにするというのはマナー違反となります。
連絡をする際は、お悔やみの言葉を添え、後日弔問に訪れる意向を伝えると良いでしょう。事情があって後日の弔問も難しいという場合は、香典を郵送しても失礼にあたりません。
近年、仕事や家庭の事情などで葬儀やお通夜に出席できない人が増えていますが、郵送でお悔やみの言葉とともに香典を送ることが一般的です。
家族葬や直葬の増加に伴うお通夜の変化
近年では、「家族葬」や「直葬」といった小規模な形式の葬儀が増えています。それに伴い、お通夜の形式も変わりつつあります。どのような形式であっても故人の死を悼むという大切な場ではありますが、日程や時間帯、お通夜の意義は、時代と共に変化しています。ここでは、お通夜の変化について解説します。
お通夜を行わない選択肢もある
近年、家族葬や直葬が選ばれるケースが増えており、お通夜を行わずに葬儀だけを行うケースも増えています。
直葬とは、お通夜や告別式を行わず、遺体の火葬のみを行う形式です。古い考え方を持つ人にとっては受け入れがたいかもしれません。しかし、家族や故人の意向を尊重した上でシンプルな形式とすることで、時間や費用を抑えることができるというメリットがあります。
オンラインでのお通夜参列
オンラインでお通夜に参加するという形式も増えています。
コロナ禍以降、オンラインでお通夜に参加するというスタイルが広がりました。遠方に住む親族や友人がインターネットを通じてお通夜に参列し、遺族にお悔やみを伝えることができるようになっています。
オンラインでの参列には、物理的な距離があっても、故人に別れを告げることができるメリットがあります。
忙しい現代社会に対応したお通夜
現代においては、短時間のお通夜が増えています。また、弔問客に配慮して、簡素なお通夜を希望する遺族も増えており、家族葬や少人数での通夜が主流になりつつあります。
【参列者側】知っておきたいお通夜のマナー
お通夜に参列する際は、マナーを守ることが重要です。人の死は非常にデリケートなものであるため、服装や言動には細心の注意が必要です。特に、故人と遺族に対して失礼のないように言葉や行動に気を配ることが大切です。最後に、参列者が知っておきたいお通夜のマナーについて解説します。
遺族に対する言動に注意する
お通夜では、遺族の方に対してお悔やみを申し上げる挨拶をして、お香典をお供えします。
お通夜の流れは先ほど解説した通りですが、遺族や他の参列者の方と雑談することもあるでしょう。その際に、故人の死因について尋ねることはマナー違反です。
特に、突然の訃報で驚いた場合は、どうして亡くなったのか気になってしまうかもしれません。しかし、これを遺族に尋ねるのは大変失礼にあたります。事故や怪我、病気で亡くなった場合は、闘病生活について尋ねることもタブーです。
お通夜は、あくまでも故人の死を悼むための場です。故人との楽しかった良い思い出話や遺族に対する慰めの言葉にとどめておきましょう。
通夜に参列しない場合は後日弔問したり香典を送ったりする
近年、家庭や仕事の事情でお通夜に参列しないというケースも増えています。家族葬や直葬が増えているため、葬儀のスタイルによってはそもそも参列が難しい場合もあります。
その際は、後日弔問することを伝えたり、手紙や香典を送ったりするなどして、故人や遺族に対する敬意を示すようにしましょう。
まとめ
お通夜は、故人の死を悼み、その冥福を祈るための日本の伝統的な儀式です。宗教や地域によってその形式や意味は異なりますが、遺族や参列者にとって、故人との最後の時間を共有する大切な場であることに変わりはありません。
現代では、家族葬や直葬、オンラインでのお通夜参列といった新しい形式が登場し、より多様な形で故人との別れを告げることが可能になっています。お通夜に参列する際には、服装や言動に注意し、遺族に対する配慮を忘れずにマナーを守ることが重要です。また、どうしても参列できない場合には、適切な対応を取ることで、故人や遺族に対して敬意を示すことができます。
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