人が死亡すると様々な行政手続きに追われることになりますが、
注意したいのが税金面での手続きです。
税行政は市役所への死亡届など他の行政手続きと違って、
怠った場合には容赦なくペナルティを課してくる怖い存在です。
税務署の「署」は警察署と同じく強制力持って国民を拘束する存在ですので、
税務面での手続きは特に意識して準備していく必要があります。
税方面では故人の確定申告があり、準確定申告という手続きになります。
■準確定申告とは?
会社員の方は自分で確定申告をしない人もいらっしゃいますが、
医療費控除などで還付金を受けるために積極的に確定申告をする会社員の方もたくさんいます。
また自営業者の多くも確定申告が必要ですから普段から準備をしていることと思います。
その年の1月1日~12月31日までの所得を計算して税務署に申告し、
納税することになるわけですが、
確定申告が必要な人が年の途中に死亡してしまったらどうなるでしょうか。
「死んでしまったから所得税の課税は免除してあげよう」と税務署が言ってくれればよいのですが、
税収減は国として困りますから容赦なく課税してきます。
しかし死亡した人は手続きはできませんから、
国は法律で故人の相続人に対して、
故人の分の確定申告をやらせるのです。
これが「準確定申告」の手続きです。
通常はその年の3月末までの所得を計算しますが、
準確定申告では死亡した日までの所得を計算して申告します。
故人が会社勤めで年末調整をしてくれるので確定申告の義務がない人、
所得が基礎控除(38万円)以下の人、
公的年金の収入が400万円以下でその他の所得が20万円以下の人など
確定申告の義務がそもそもない人以外が死亡した場合、
相続人は故人に代わって準確定申告を行わなければなりません。
■準確定申告の準備
準確定申告は故人が亡くなってから4か月以内にしなければなりません。
申告だけでなく納付の期限も同じなので、
納税資金を準備しなければなりません。
故人の死亡から10か月以内には相続税の申告と納付が待っているので、
そちらの資金も合わせて意識しておく必要があります。
準確定申告の準備としては故人の収入状況を把握しなければなりませんから、
収入台帳等の資料を集めて計算しなければならず、
故人が事業者だった場合はかなりの手間になります。
医療費控除や社会保険料控除、生命保険料控除や地震保険料控除など
各種控除措置も利用できますので、これらの証明書類も集めておきましょう。