亡くなった方が極楽浄土に行けるようにと仏教では供養を大切にしていますが、キリスト教では仏教と違い「供養」という概念がありません。そのため、供養をする道具や祈り方なども異なる点が多いです。
ただ、亡くなった方や先祖に対して「感謝」「尊敬」とう気持ちを持ち、死後でも家族として永遠に愛するという気持ちはどの宗教も同じものでしょう。供養という考えはないものの、人が亡くなれば神のもとへ戻るということで、故人だけでなく神にも感謝の気持ちを持ちます。亡くなった方のことを偲び感謝する場所は基本的には教会でという方が多いです。
そのため、亡くなった人を家庭に祀る考え方もされず、仏壇のように自宅に何か決まったものを置くということもありません。一般的には家庭祭壇と呼ばれるものを置く家庭が多いです。ただ、必ず設置しなければならないという決まりもありません。
キリスト教にはカトリックとプロテスタントがあり、聖書の考え方が若干異なります。
●カトリックでは
家庭祭壇と言われるものを準備して、ろうそく立てとキリストの像が刻まれた十字架、花瓶を中心に飾ります。仏壇のように大きなものではないので、リビングなど明るく家族が見守ることができる場所に置くのが適しているのではないでしょうか。
そして故人の写真や聖書、マリア像などを周囲に配置します。またクリスチャンネームと言われる仏教の戒名のようなものが記された位牌を飾ります。
主に教会での祈りが中心となりますが、自宅に家庭祭壇を飾った場合には日常的に感謝の気持ちを表すようにしたいものです。朝起きた時、家族が食事をする前、眠る前などあらゆるシーンで感謝の気持ちを持ちながら祈り、神と故人、先祖への尊敬の念を表わす方が多いでしょう。
また、故人が好きだったものがあれば、日常的に供えて感謝の気持ちを祈りとして捧げるのもいいですね。ただ、「お供え」というものも特に決まりがありません。
●プロテスタントでは
プロテスタントも同じキリスト教ですから、祈りを捧げる場所は教会がメインです。しかし、自宅で故人への気持ちを祈りとして表したい場合には、カトリック同様に家庭祭壇として十字架、ろうそく立て、花瓶を配置します。
だいたいが同じ雰囲気ではありますが、大きな違いとして故人の遺影とマリア像を飾らない点があります。
そして、実は十字架にもカトリックとプロテスタントの違いがあります。プロテスタントでは十字架にキリスト像が刻まれていないのです。