故人が亡くなってからは葬儀の手配に来客の対応にとあっという間に時が過ぎていきます。
腰を据えた遺品整理などは取りあえず後回しになるので細かな私物の整理は後手に回ることが多いです。
ようやくひと段落ついて故人の遺品整理をしていたときにたんすの引き出しから健康保険証が出てきました。
さてこれはどう処理すれば良いのでしょうか。
■各健康保険制度の提供元へ返却が必要
我が国の健康保険制度は国が一括しているわけではなく、
企業の健康保険組合や公務員の共済など複数あります。
会社員の方は健康保険、個人事業者の方は国民健康保険となり、
それぞれの保険制度の提供元へ健康保険証を返却しなければなりません。
その際ただ単に窓口で保険証を返すだけではなく、
実際には他にも説明書類などの提出を求められます。
詳しくは各制度の提供元の事務部門に問い合わせが必要ですが、
ここでは国民健康保険を例に挙げてどんな手続きになるのか見ていきます。
■国民健康保険の場合
国民健康保険の場合、保険料の納付義務は世帯主となっているので、
保険証には世帯主の名前が記載されています。
世帯主が死亡した場合で複数の世帯員がいた場合は、
死亡した方の分だけでなく世帯員全員の保険証を返却しなければなりません。
他には故人が死亡したことを証明できる戸籍謄本などの公的証明書、
本人確認のための運転免許証などの持参が必要です。
手続きの窓口は故人が生前に住んでいた市区町村の担当部門です。
法律上は故人の死亡から14日以内に手続きをすることになっていますが、
実際は多少の日数経過は問題なく処理してくれます。
■故人の被扶養者だった場合は
会社員であった健康保険の加入者が亡くなった場合、
その人に扶養されていた方は自身の今後の健康保険をどうするか
考えなければなりません。
世帯にいる他の方の扶養に入り直すか、
または自分で国民健康保険に加入する必要があります。
国民健康保険を選択する場合は以後は
健康保険料を自分で支払っていかなければなりません。
健康保険関連の手続きは通常数日を要しますので、
加入手続きから保険証の発行までに時間がかかります。
手元に保険証が無い場合でも、
加入手続きを済ませていれば保険加入者としての恩恵は受けられます。
ただ病院側でそれを確実視できないので、
一旦は全額払いとなり後日保険者に申請をして自己負担分を返還してもらうことになります。