おばあちゃんは103歳
今年の5月に、母は103歳で天国へと旅立たちました。
戦地で負傷した父を労わり、父の体に負担がないようにと、自らも朝早くから畑に出ては、農作業を手伝い、父が先に旅立ってからは私たち姉妹を女手一つで育ててくれました。
とにかく厳しかった母。
悪いことや喧嘩をすると、すぐに怒声が飛びました。
また、「一人でも強く生きていけるように」と家事や勉強に精を出すように強く教えを受けました。暗い戦争を生き抜いた世代だったからこその教えだったのでしょう。
103歳という大往生だったので、明るく優しい雰囲気でお別れをしたい旨を伝え、祭壇の花はピンクや紫、黄色などの華やかで美しい色どりにしていただきました。また、全体的に会場は薄いピンクで飾り付けしていただき、やわらかい雰囲気を出してもらいました。
私たち姉妹が二人とも結婚し、家を巣立ってからは母も少しは肩の荷が降りたようで、一人でも楽しそうに友達と旅行に行ったり、映画を見に行ったりしていました。
孫たちが生まれてからは心の底から可愛がってくれ、子育てで困ったことがあると、いつでも相談にのってくれました。母親の偉大さを身に染みて感じました。
人の手を借りることを嫌った母は、なんと100歳まで元気に一人暮らし。
残念ながら最期の3年間は入院生活を送りましたが、他の患者さん達とも仲良くなり、楽しそうに時を重ねることが出来ました。
母から学んだこと。それは、どんなときでも人生を楽しむということです。
戦争体験、愛する人の死、一人きりでの子育て…様々な困難に母は立ち向かいました
。その背中から、私たち姉妹はあきらめない強さを学びました。
「守るものがあれば、女は強い」は母の口癖で、その言葉は、今、いつの間にか私たち姉妹の口癖になっています。
お別れの日、最後に母の顔を見ると、こんなに長生きをしてくれたことへの深い感謝の気持ちと、胸を穿つような寂しさが襲い、涙が止まりませんでした。
しかし、ようやく涙がひくと、母のように自分の娘を守り、たくましく育てていきたいと強く思いました。
お母さん、今まで本当にありがとう。お父さんと天国で一緒に仲良く暮らしてください。
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